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【小説】宇宙一かわいいぼくのおくさんのはなし第1話 うちのおくさんが泥酔して帰宅した件

 ぼくが会社から帰宅すると、珍しくいつもは笑顔で出迎えてくれるうちのおくさんがいなかった。
彼女の職場はかなりのホワイト企業だから、いつも定時上がりなんだけど。
 スマホにおくさんからLIMEのメッセージ。
「今日はプロジェクトが成功したお祝いに、チームの女子だけでお疲れ様会やります」。
「ゆっくり呑んできて。ぼくはひとりで適当に夕飯食べるよ」
 ぼくはそう返信する。
「こら、ちゃんと野菜食べなきゃダメ」
 怒った顔のアニメキャラクターのスタンプとともに。そんなメッセージが返ってくる。
 ぼくは苦笑しつつも、買い置きのカップラーメンを取り出すのをやめる。 
 仕方なく、冷蔵庫の野菜室を見る。
「使ってよし」と書かれたメモが貼られた具材をいくつか手に取り、シンクの方へもっていく。適当に切り刻んで鍋を作ることにした。
 白菜、舞茸に鶏胸肉というのが、ぼくのひとり鍋の定番だ。
 奥さんがいるときなら、もう少しちゃんと細かく刻むんだけど、どうせひとりだものな。
 そうして作った鍋はそこそこ美味しいけど、やっぱり物足りない。
 そう思いながら、テレビをつけて契約している某アニメストアでアニメを見始める。
 こういう時は溜まった未見のアニメを一気に消費するチャンスだ。
 田舎のスローライフを描いたアニメ「のむのむびよりのむすとっぷ」を見ながら、安い発泡酒を飲んでいると眠くなってくる。
 なんとか4話ほど見たあたりで、玄関のチャイムが鳴る。
 インターホンのモニターを見に行くと、珍しく完全に出来上がっているうちの奥さんと、同僚の褐色巨乳さん(ぼくが勝手に心の中で呼んでいる名前。本名は知らない)がそこにいた。
 慌てて玄関のドアを開ける。
「ただいまかえりましたー!」
陽気に片手をあげて挨拶する我が奥さんと、無表情の褐色巨乳さん。
 彼女も飲んでいるはずだけど、お酒に強いらしい。
 顔色は変わってないし、冷静な表情だ。
「あー、すいません。うちのがご迷惑おかけしました」
「いえ、いつもは私の方が職場でお世話になっておりますので」
彼女はぼくにおくさんを任せると、しゅたっと片手をあげて軽やかに夜の街へ去って行く。まあこの辺は街灯も多いし、駅や交番も近いから大丈夫だろう。
「今日も仕事で大変だったからほめろー!」
そう言うなり抱きついてくるぼくの奥さん。
 めっちゃ酒くさいけど、いい匂いもする。
あと、いつもながら手に余るサイズのおっぱいが、ぼくの理性を決壊させるべくせまる。
 興奮を抑えて、ぼくは言う。
「ほら、ちゃんと着替えてお風呂入ろう。化粧も落とさないと、翌日後悔するよ」
「やだ」
「こどもじゃないんだから。ほらお風呂場いくよ」
「わたしのこと、かわいいって三回言わなきゃお風呂はいらないっ!」
 すっかり幼女化するぼくの奥さん。
 ちくしょう、なんだこのかわいいいきもの。
「かわいい、かわいい、かわいい」
「心がこもってないっ!やりなおし!」
 その後ぼくは、軽く十回近く「かわいい」と言わさせられたのだった。
 もちろん翌日、しっかり「リベンジ」したのは言うまでもない。

(おしまい)

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