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高宮零司
2021年6月10日 11:32
ぼくの朝は、ねこに起こされるところからはじまる。 ねこの名前は「微力《びりょく》さん」。 名前の由来は話すと長くなるので、また今度話すとしよう。 彼女は、かれこれ3ヶ月ほど前に上司から無理やり誘われた譲渡会で引き取ってきた、由緒正しき三毛猫ふうの雑種だ。 生まれて間もなく保護された彼女は、いまやぼくの家の支配者だ。 今日もぼくの鼻先に当然の権利とばかりにお尻を向けてくるので、否応なく目が
2021年5月13日 01:20
ぼくが会社から帰宅すると、珍しくいつもは笑顔で出迎えてくれるうちのおくさんがいなかった。 彼女の職場はかなりのホワイト企業だから、いつも定時上がりなんだけど。 スマホにおくさんからLIMEのメッセージ。「今日はプロジェクトが成功したお祝いに、チームの女子だけでお疲れ様会やります」。「ゆっくり呑んできて。ぼくはひとりで適当に夕飯食べるよ」 ぼくはそう返信する。「こら、ちゃんと野菜食べな