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余命は自分で決めたいと思う派です「殺人出産」

村田沙耶香さんは好きな作家のひとり。
読んだ後にじわじわっとながーく頭の中に居てくれる。
ひさしぶりに「殺人出産」を読んだ。


本当にありそうな未来のお話

表題作の「殺人出産」は初めて読んだときも衝撃だった。
10人産んだら1人殺してもいい、、そんな制度ができたら利用するだろうか?
復讐したい相手がいるなら選ぶ人もいるだろう。
とんでもない設定に思えるけど、読んだときには意外にすんなり理解できたんだよな。こんなルールができても”アリ”と思えるタイプだと思う。

村田さんの作品は「生」や「性」、「常識」などをテーマに扱っているものが多くて、その考え方や価値観が自分のものと近いと感じることがある。
”わかる!私もそれアリだと思う!!”みたいな設定も多い。こわさもありつつ、おもしろい。

今回は「殺人出産」の一番最後におさめられている作品「余命」について。
そこは医療が発達して人が死なない世界。人口の管理はできているので、人は死ぬことを選べるようになる。
必要な手続きは、事前に役所に申請するだけ。死亡する日・死に方・死ぬ場所はお好みで。
10代で死を選ぶ人もいれば、200歳まで生きる人もいる。
人生が永遠に続くのならば、最期を決める権利があるのも不思議じゃない。
そんな世界。いずれこうなる未来もありそうじゃない。

今の世界でも最期の日を選びたい

大人になってから、自分が死ぬ瞬間は自分で決めたいなと思うようになった。なんでそう思ったんだっけな。
よく高齢者の一人暮らしで、亡くなってからしばらく発見されなかったというニュースを聞く。自分が死んでしまったら後のことはどうしようもないが、時間が経てば経つほど掃除やら手続きやらが大変そう。
私の祖父や祖母は最期は病院で亡くなったのだが、それは家族で同居していたから。倒れても発見してくれる人がいる。
私自身は生涯一人暮らしの可能性が高いので、死んだ後に気づかれないのは確実。
さらに、なけなしの遺産やら家財道具やらの処分はどうすればいいのやら、、と余計な心配をしている。譲る先は自分で決めたい。
だったら身辺整理をして、じゃあこの日に旅立ちます、と決められた方が安心なんだよなあ。
長期旅行に行く前みたいにいろいろと準備しておきたい。

死んだ後まで誰かに迷惑をかけたくないとも思うけど、それよりも死んだ後でも自分の持ち物とか部屋の中を勝手に入られたくないし、適当に扱われたくない、という気持ちの方が強いかも!?
死んだ後に何を言ってんだとも思うけど、想像するとなんだかそれが嫌かな。
ちょっと潔癖症なところはあるし、特にプライベートな空間には他人を入れたくないのよ。
何度も言うけど、死んだ後なのでどうしようもないんだけどね。。笑

「誰かを殺したいと思ったことある?」「どんな死に方がいい?」なんてことを友人に聞いたことがあるけど、拒否反応を示す人がいるのでちゃんと聞けたことがない。
物騒な話題だけど、ポップで明るくタラればの設定で聞いているのになあ。
全く考えない・考えたくないタイプの人もいるみたい。
それも分かるからすぐに話題は変えるけど、誰かと話してみたいのよね。
自殺願望とはまったく別物なのだが、こういう話題を明るく軽く話せる場が欲しい、かも。

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