1997年3月31日②(サラリーマン最後の日)

1997年3月31日(サラリーマン最後の日)

三井リースで通った最後の日。俺は花束を抱えながら電車の中で考えていた。みんなが、 出会えることができた人たちが、いつまでたっても仲良く人生を共に過ごすことはできないのだろうかって。今日もらった色紙の中にみんなが書いてくれた言葉があった。“夢を叶えてくれ”って。


僕がみんなに語った夢って何だっけ? 旅に出ることと出ることか?農業をやることだろうか? いや、多分“自然の中で暮らしペンションやりたい”って言ったことを指して、“夢”と言ったのではないかと思う。

その言葉は近い未来を指してやりたいと言ったものではなく、遠い未来を指していたのだが、みんなにはそれが僕の夢として映ったのだろう。そしてその夢はおそらく僕だけの夢ではなく、みんなの夢にも共通してるんじゃないかっていう気がした。


僕が宿をしていればそこに皆が集まってくるだろう。そしてその場所でまたみんなが仲間として集まることができる。そんな空間を実は皆求めているんじゃないだろうか。そう思ったとき、僕は遠い夢として見ていたものを目標に置き換えることを決めた。

そしてその目標は僕の使命である気がした。今まで僕と僕を愛してくれた人たちに恩返しをするにはまず、僕の夢を叶えることだってやっと気づいた気がした。


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