金持ちジュリエット
ロミオはジュリエットを愛していた。しかし、ジュリエットはロミオを愛していたのだった。
「ああ、美しいジュリエット。この想いが、何故届かないのか」
嘆くロミオ。
「おお、麗しきロミオ。私の心は、あなたのもの」
咽び泣くジュリエット。
しかし、ロミオはジュリエットとの婚約を目論んでいた。
「なんといっても、あのジュリエットだ。顔は、あまりタイプではないが、すごい金持ちだ。俺は絶対に働きたくないんだ」
ジュリエットの考えは、ひとつも揺らがない。
「私にふさわしいのは、当然ロミオ。イケメンとはいかなくても、貴族同士、我が血統と釣り合うのは、やはりあのロミオしかいないわ」
そんな光景を横目に、二人の若者は甘いキスを交わしていた。
「僕は幸せだよ、ジュリエット」
「私もよ、ロミオ。私たちは持たざるもの。だからこそ、真実の愛を見つけることができたのかも知れない」
遠くからジュリエットの声が轟いてきた。
「私と結婚するのよ! ロミオ!」
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?