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【レオニード貴海】【掌編】under 1000

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1000字程度までの短めの拙作を集めました。どうぞよろしく。
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#掌編

【掌編】座敷童子

「引っ越すことになった」  私が言うと、振り向いた彼女の目は火が点いたように一瞬輝き、す…

【掌編】九月の朝

 音のない朝、耳鳴りの響きが頭部の周りを埋め尽くしている。いつからか目覚めていた。部屋を…

【掌編】猫氏

 玄関の戸を開けてすぐ、足元をなにかもふもふしたものが通り過ぎていった。思わず声が出た。…

【掌編】デジ亀

 息子の入園祝いにデジ亀を買った。  充電水槽と併せて総額13,000円強となかなかに割高だっ…

【掌編】届けて

 発車メロディが鳴り響き、ドアが閉まる。  ほとんど転げるようにして、ホームの階段を駆け…

【掌編】起死回生のイリーガル

 人災という言葉がある。  大地震や津波などといった自然災害そのものではなく、本来行って…

【掌編】東京駅奇譚〜トイレ編〜

「カレー味のうんことうんこ味のカレー、どっちがいい?」  東京駅構内のトイレの個室。まさかこんなところで聞かれるとは思ってもみなかった。 「青い紙と赤い紙ではないのですか」  僕は丁寧に問い直した。何事にもセオリーというものがある。 「そういう残酷なのはもう流行らないんです。令和ですよ、令和」  なるほど。世知辛いのは幽霊も同じか。 「だいいち、大事件になっちゃうじゃないですか。いちおうここが私の住処なわけでね、あまり煩くされたくないの」 「二択は二択なんですね」 「最低

【掌編】モーニング・メモリ2020

 午前五時十五分。  ごんごん、と頭を壁に何度かぶつけた後、ミス・ベイビーマロンヘッド(…

【掌編】誘拐保険

 嵐の夜だった。  何気なく窓の外を見ると、手すりのところに男がぶら下がっていた。いや、…

【掌編】淵源の記憶

 澄んだ水がゆっくりと流れていく。小鳥たちの高い声が森の奥から聴こえる。時折吹くまだ涼し…