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東大を出て、アクアリウムに人生を捧げる

先日、東京大学の修士課程を修了しました、高倉葉太と申します。

修了後すぐの、2019年4月8日。

僕はアクアリウムを広める会社「Inoca(イノカ)」をつくりました。

最近は大学を出てすぐに起業する人も多いので、起業すること自体はあまり驚かれません。

ただ、「アクアリウムで起業する」というと、

・なんでアクアリウムなの?
・もっとかっこいい領域でやればいいんじゃないの?
・水槽で食べていけるの?
・自分の趣味の押し付けなんじゃないの?

などなど、不思議に思われることが多いです。

でも僕は、納得と自信を持って、この道を選びました。今回は、自分の思いを一人でも多くの人に伝えられればと思います。

僕とアクアリウムとの出会い

アクアリウムをやっていると、そもそもなんでアクアリウムはじめたの?
とよく人に聞かれるのですが、父と祖父の影響が大きいです。

もともと父親がアクアリウムをしていて、家に水槽があったんです。

でも父親は一切世話をしていなくて(笑)

見かねた僕が、「それなら代わりに世話をする」と言って始めたのがきっかけです。

そこからは、エビの繁殖をしたり、古代魚を飼ったり、水草水槽にチャレンジしたり、海水水槽をしたりと・・・・ズブズブとアクアリウムの世界にはまっていきました・・・・・

試行錯誤しながら、自分で環境・世界を創り上げていくというところが、とても楽しかったです。

さらに祖父は、大の生き物好きで、家中に色んな生き物を飼っていました。
自分も、その血を引き継いだと思っています。

上京してしばらくはアクアリウム熱は冷めていた

大学生になり、上京するときも、水槽を一緒に連れてきていました。

しばらくの間は、東京でも色々とアクアリウム活動をしていたんですが、
どんどん熱は冷めていきました。

理由としては、
・周りにアクアリウムをやってる人が一人もいない
・水槽を見てくれる人が誰もいない

というのがとても大きかったと思います。

関西にいた頃は、アクアリウム友達(ほとんどが、自分より20歳くらい年上の方達でした)がたくさんいたり、実家で母親が英語塾をしていたのでその生徒さんが見てくれたりと、たくさん刺激があったんですが、

東京に来てからそれが0になってしまったんです。

それで、しばらくアクアリウムからは遠ざかっていました。

アクアリウムに、もう一度向き合う

大学院生になってから、自分の進路に悩むようになりました。

人類の進化を加速させたい」という漠然とした思いはあって、起業したいと考えているけれど、実際何を作りたいのかが全く見えていませんでした。

そんな中、出会ったのが、リバネスの丸 幸弘さんです。

はじめに自己紹介をしたときに
「君は本当にしょうもない人間だな、なにか自分の芯はないのか?」
と言われて
僕は、
「アクアリウムはずっと好きだったけど最近はあんまりやってないし、なによりアクアリウムを仕事にするなんて、なんかダサいし・・・」
と答えました。

すると丸さんに、
「君は、アクアリウムの何を知ってるの?ちゃんと業界のこと見た?一回全部見てから出直してこい」
と言われたんです。

その時は相当な衝撃でした。確かにずっと身近にあったアクアリウムだけど、先入観のせいで本気で考えてこなかったなと。

その後は、行きつけの店舗さんだったり、色んなメーカーさんだったり、たくさんのアクアリストの方だったりたくさんのアクアリウムを巡る人に会い、業界の色んなところも見ました。

そういう中で、

「あ、自分こんな魚好きだったんだ」という自分の原点に再び出会えたり、自分が今までいかに無駄に命を犠牲にしてきたかということに気付けたり、過去の自分みたいに上手に魚を買えない人がたくさんいることを知ったり、実はアクアリウムや水生生物を巡ってこんな大変なことが起きているんだ、という業界のいろんなことを知りました。

自分がやるしかない。

そして、

アクアリウムが大好きで、もっとその魅力を広めたい。そうすることで社会が良くなると信じている。

その上で、研究や起業などの社会に価値を生み出す仕事と、アマチュアのアクアリストの熱量を両方を知っていて、両者をつなげて価値を生み出せる。

それは自分しかいない、自分がやるしかないと決断して、
イノカを設立するに至りました。

あの時、真正面から僕を叱ってくださった丸さん、そして何も知らない僕に、アクアリウム業界のことを優しく教えてくださったたくさんの方々がいなかったら、イノカは出来なかったと思います。

本当に、ありがとうございます。

「人と水生生物が寄り添う社会を作ること」

僕たちイノカは、とにかく水生生物を愛しており、主要メンバー全員が自宅で魚を飼っています。

この水生生物の面白さをもっと世の中に広めたいという思いを持っています。

僕たちが伝えたいのは、

とにかく水生生物とアクアリストは熱い

ということです。

抗がん剤から化粧品まで。
今の人類を支えるいくつもの技術が、水生生物の研究から生まれています。

・魚の無造作な動きが、ロボット開発へ役立てられている


・心臓を再生する魚から心臓の新たな治療法の発見へ


・人と似た脳を持った魚の研究から自閉症の治療へ


・海草の研究で本物の江戸前寿司を復活させる

などたくさん水生生物から人類にとって大変役立つ研究が生まれているのです。(自社メディア・noteからの抜粋です。)

水生生物はまだまだわかっていないことも多く、今後も人類にイノベーションをもたらすことが予測されます。

そして、もう一つの熱いのは「アクアリスト」です。
家庭などで魚を飼育している人を指します。

彼らが面白いところは、自宅の生体を健康に美しく育てるため、研究者顔負けなくらいあの手この手を使って日々生体と向き合っているところ。

魚が健康に育つように自分で餌をブレンドしたり、
数十万円かかる光の測定器を購入してサンゴをいい色にするためにはどういう光の設定がいいのかを研究したり、
水中の50項目以上の微量元素を測定して最適の環境を追い求めたりと・・・

僕は彼らに可能性を感じました。そして直感したことは

「将来サイエンスはオープンになるのではないか?」

ということです。

今は、研究者と呼ばれる人だけが研究を行なっていますが、生き物を愛し、毎日試行錯誤しているアクアリストも実は研究者なのではないか?

きっちり彼らなりに仮説を立て、それを実際にあの手この手使って、細かく条件管理をしたりすることで実現していく。

この営みは、とても研究に近いと感じました。

彼らの熱を世の中に還元しない手はない

もちろん、まだまだ障壁は多いです。

アクアリスト自身がまだまだ知識が足りない部分があること、研究者とアクアリストの間に溝があり、交流がなかったり研究情報が共有されていなかったりすること‥

しかし僕は、そういう障壁を取っ払えば、アクアリスト発の素晴らしい研究結果がどんどん生まれていくと確信しています。

僕らはこの、水生生物とアクアリストの面白さを世の中に伝え、
人と水生生物がいままで以上に寄り添え会える社会を作っていきたいと考えています。

まずは多くの人に知ってもらうところから

では、そんな世界をどうやって実現していくのか。

はじめは業界の中で、ということも考えていましたが、今は新しい市場を切り開き、アクアリウムの需要を増やし、アクアリウムってこんな無限の可能性があるんだよ、ということを世の中に広めていきたいと思っています。

そこでまず僕らは、公共のスペースにアクアリウムを設置する事業をはじめました。

(↓水槽設置担当者が管理している水槽)

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先ほどアクアリストの熱を世の中に還元すると話しましたが、イノカはまず一人目のアクアリスト、増田直記を迎え入れました。彼はCAO(Chief Aquarium Officer)に任命しています。笑

彼の思い、熱を広げるべく、彼が作る水槽をチームでサポートして、僕らの思いを込めた水槽を設置していこうとなりました。

僕らのチームは、エンジニア2名xUXデザイナー1名xアクアリスト1名というとてもユニークな構成です。
増田が作った水槽を、他3人の力を活かして、

・水槽にドローンつけたり

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・3dプリンタxサンゴでアート作品を作ったり(制作中)

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・水槽コミュニティを作って運営したり

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・水槽が話せるようにしたり・・・

ありとあらゆる手を使って、キャッチーに見せられる、誰でも楽しめるような水槽を作っています。

さらに、設置場所の管理者さんにもメリットが出るように

・シェアオフィスに置いて、人が集まるしかけを作り、入居者同士のコミュニケーションを産む
・地域の生体を生かした水槽作り
・企業のCSR活動の一貫として本物のサンゴ礁に近いものを作る

などの価値を提案させていただいています。

こうやって、いろんな場所に水槽を設置することで、水生生物・アクアリストの魅力に気づいていただけるように動いています。

将来的には、設置した水槽を研究者などに公開することで水生生物の研究を活発にし、水生生物が秘める神秘を解き明かしていき、より良い社会をつくっていきたいと考えています。

「人と水生生物を繋ぐ」、そんな企業を目指して、
一歩ずつ進んでいきたいと思います。

少しでも弊社や水槽設置に興味持ってくれた方は

twitter: 

https://twitter.com/Innoqua_inc

hp:

までご連絡いただければと思います。

今後とも応援のほど宜しくお願い致します。

高倉葉太




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