バロックも現代も

音楽というスペースⅠ

日本に戻って2日。北嶋愛季さん(チェロ)とリハーサル+大越崇史さん(ピアノ)との室内楽レッスンで、既に20時間フルートを吹くという好スタートを切りました。

物心つく前からピアノを触り、そこからフルートへと移行して四半世紀+α 音楽を奏でることはご飯や睡眠と同じような存在となり、この三つさえ揃っていればどこでも幸せに生活できるのでは・・・と思っています。(あと女性が働ける国であること)

2月16日の北嶋さんとのコンサートは、1部は0歳から聴けるコンサート、そして2部はフルコンサートを予定しています。1部も子供向けの作品ではなく、バロックから現代までの作品を掻い摘んでお届けするという挑戦。

こういった取り組みは、私が普段活動しているフランスでは、よくある企画で、かの有名なアンサンブル・アンテルコンタンポランもバリバリの現代プロジェクトで家族コンサートを行ったり、パリのオペラ座もシェーンベルグの月に憑かれたピエロ+浄瑠璃という教育プログラムを組んでいるのです。

多感な時期にこそ、味見としてこういった経験をしておくのも悪くないと思いませんか?小学生の時に生牡蠣や海鞘を食べてみる感覚に似てるかな(経験者)。CDやビデオとは違ったアコースティック楽器の響き、いい大人が愛だとか恋だとか、人間っぽい感情を出す場に触れるという経験も悪くない。そしてそういう経験を公園的・ラボ的なスペースとして家族で訪れてみてもらいたいなと思っています。

そしてニッチなプログラムだからこそ、客席と私たちがおしゃべりができる気楽さが必要かなと。質問も大歓迎。じっと静かにしていなくても大丈夫。

取り上げる作曲家はバッハ、シェドヴィル、ダンツィ、カプースチン、ミュライユ、ピアソラ、グリエール、ソッリマ、上林裕子(敬称略)なかなかでしょう?バッハとピアソラしか知らないという方多いと思うのですが、これフルートやチェロの人でもこの2つ以外演奏した事ある、もしくは知っているという方少ないと思うのです。だから知らなくても大丈夫。小説のあら筋を知らないまま新しい本を手にする感覚。

10代の時に谷崎潤一郎を手にした私に、周りは「それまだ早いよ、難しいよ」と言っていたけれど、私はすぐに虜になった。いまだに春琴抄は心の宝物。そんな時間になればいいなと思っています。そして「谷崎が好きならクンデラやポーも好きなはず!ボードレールも!」と文学の海へと繰り出す方々は、「ミュライユの最新作きたー!」と楽しんで頂けるでしょうし。

コンサートは十人十色。楽しみ方も過ごし方も。私たちの人生がそうであるように。音楽はそういうスペースなのだと思っています。

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