島セルフレポ1 ジュリエットからの畑
きのう発売されたゲーム「春ゆきてレトロチカ」、面白いよ!
と言いながら「あつまれ どうぶつの森」(以下あつ森)の島セルフレポを書く。
やや断腸の思いがしないことも無いが(レトロチカやりたい)何となく宣言を守りたい気もするので。今日のところは。明日?おっおーtomorrow never knows...
ではまずマップから。
北側に広めの三段目があることがお分かり頂けるだろうか。
これは畑。
本日はこの畑についてご案内したい。
昨年十一月の大型アップデートで農業が可能になったと聞き、今までなかったんだっけ?と興味を持った。
どうやらハロウィンにあわせてカボチャ栽培だけ解禁されていたらしい。森離れしすぎていて初耳にも程がある。
農業かー。ハッピーホームパラダイス(以下ハピパラ)といい、のんびり無人島暮らしに仕事要素が追加されるのね。
と思ったけど実際ノリとしては花を育てるのとまったく変わらない。放置しても花みたいに大変なことにならないだけで。
でもその畑で収穫したものを使って料理ができるところまでやってくれたのはすごい。本当すごいよあつ森。ありがとうあつ森。リアルなら無人島初期に切望するであろう文明のかほり。
やっぱり無人島なので(一応)、ある段階までは島にある木の実しか食べものが無い、そういうリアリティは是非ともほしいところ。
まあ、食べなくても問題ないとか、料理家具は結構バリエーションがあるとか、焚き火をリメイクするとマシュマロがついてくるとか、でも食べられないとか、だって食べなくても問題ないから……とか、あつ森ならではの謎を堪能する期間としては充分すぎたと思われる。発売からの約一年半。
畑で採った食材以外に、果物や魚も料理に使えるようになったのは素晴らしいの一語に尽きる。
夏場だろうが何だろうが永遠に腐らない魚をただただ収納の肥やしにしていた甲斐があったというもの。
というわけで、畑仕事をした後、すぐに食事できる農園を作りました。
我がフィア島はエリアごとに元ネタというか、自分の中の引き出しにある思い出や体験の再現みたいなものが、そこそこ、またはいちいち反映されている。
よく言われていることだが「ゼロから作り上げることは不可能」というのは事実だろう。
創作でも行動でも何かしらの影響や動機があり、それらは外部情報によって成立している。
結果としてインスパイア、リスペクト、オマージュ、パクリのどれになるかは、内部情報(価値観とか品性)に頼って決まるとしたら皮肉なもの。
畑の話に戻ると、ここは映画「ジュリエットからの手紙」を観た後に、その印象のもとで作った部分が大きい。
「ジュリエットからの手紙」はホラー映画ではありません。ラブストーリー。正しくは多分ラブコメ。
原題は Letters to Juliet なのに何故か邦題は「ジュリエットからの手紙」。
舞台はイタリアのヴェローナ。ここはシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」の舞台でもある。
つまりジュリエットが生まれ育った街。なので、例のバルコニーもある(ジュリエットのモデルになった女性の生家とされている。あくまで「されている」)。
そこには手紙を張るスペースがある。ジュリエットに恋の悩みを相談する手紙を、世界中の観光客が残していくらしい。
ジュリエット……心中するじゃん……?
悲恋だし。バッドエンドじゃん?
と日本人の感覚では、少なくとも私はちょっと違和感があるのだけれど、よく考えると恋愛が成就していないと心中もできやしない。
かたちはどうあれ添い遂げることができた、というのは恋愛として大往生とも言える。
あと欧米ではその「添い遂げる」のがいかに難しいかという話でもある。この映画のヒロインはアメリカの女性だが、アメリカの離婚率たるや今さら驚くにも値しないし、地元のイタリアだってそのあたりは保守的なスタンスであったものの確実に「添い遂げない」夫婦は増加している。なお、この映画は二〇一〇年公開。十年まえぐらいというと、イタリアでは離婚がまだまだ難しい時代。
そんな事情を背景に、ジュリエットは「恋愛の守り神」のような存在として、ヴェローナの象徴にもなっていると言う。
(まあ、ジュリエットはロミオと出会って結婚を経て心中するまで一週間もかかってないんだけどあまり深く考えてはいけない。そういえば藤子・F・不二雄のショートショートで「ロミオとジュリエットを蘇生させたら……」という話もあったね。良いオチだった)
このジュリエットのバルコニー。私も訪れたことがある。
大学卒業後、格安ツアーでイタリアをまわった時に数時間だけヴェローナに立ち寄った。
今世紀に入って直後だったのだが、ジュリエットへの手紙コーナーってあったっけ……?と首をかしげている。どうにも記憶があいまい。
予想よりバルコニーが低かったとか、四方が家に囲まれているのでロミオが這いのぼったらバレバレだろうとか、そういうことはよく覚えている。ツアーのメンバーの中にたまたま新婚さんがいらっしゃって、有料だけど入場できるというので、奥さんがバルコニーに立って旦那さんを見下ろし「ロミオよロミオ」と戯れていたのも忘れがたい(一体ツアーの何人が「心中するじゃん」って内心ひそかに思ったことだろう。笑顔で拍手しつつ)。
観光客が残していくジュリエットへの手紙には、返事が届くという。ジュリエットから。「ジュリエット・クラブ」なるボランティア団体に属す「ジュリエットの秘書」たちが代筆しているそうだ。
この団体は実在する。
ただ、いつから活動しているのかはよくわからない。私が訪れた二〇〇一年にはまだスタートしていなかったのかもしれない。ただ、映画では、五十年ぐらい前にある女性が「ジュリエットへの手紙」を書いたことがストーリーの端緒となっている。
ボランティア団体はなくてもジュリエットに向けて手紙を書くことはできるので、そもそも返事を期待せずに残す「ジュリエットへの手紙」が、風習としてヴェローナ付近ではあったとか、そういうことかもしれない。そのニーズにこたえてボランティア団体が発足した流れだとすれば不自然でもない。映画の邦題は「ジュリエットからの手紙」(返事)の方にフォーカスしてしまうがあまり深く考えてはいけないのである。
(ちなみに現在はわざわざヴェローナまで行かずともメール対応もしてくれるらしい。主要言語に対応しているそうだから興味のある方は恋の悩みをジュリエットに相談してみては?で、どんな感じかを教えてほしい。私は参加資格がないので)(ノロケじゃなくて……)
先述の通り私はヴェローナには数時間しかいられなかったが、映画ではヴェローナの街を起点に郊外を車で走りまわることになる。
その先には様々な職種のイタリア男性がいる。漁師とか。別の街のビジネスマンとか。
当然、景色も変わる。海辺だったり、都市部だったり。
その点と点をつなぐのは草原や林道や木陰。
そして、クライマックスで農場。ちょっと坂をのぼったところに古くからの農園があって、ヒロインたちが探してきたロミオがそこにいる。
ロミオとジュリエットの再会、という話なのだが、再会してからもストーリーはちょっと続く。
再会を祝して盛大にランチを囲むのだが、郊外のイタリア人、お外で食事なさるのとっても素敵よ……。
どうも豪農らしく(あるいはイタリアの郊外では標準なのかも?)、広大な敷地をお持ちのようなので畑のそばではないのだろうけども、テーブルに並ぶ食事は畑で採れたフレッシュな野菜を使っているのかな?と容易に妄想してしまう。しかもものすごくおいしそう。
イタリア人の屋外での食事風景といえば「アマデウス」で観たのが最初だったと思う。幼少期のサリエリ(イタリア出身)が陽光のもと家族とランチ?をもくもくと食べていたら父親がいきなり脳梗塞で亡くなるシーン。舞台版ではこの回想はセリフで行われるけどサリエリが「父親が死んだ!神よ!グラーツィエ!」と続けるのが衝撃だった。
あと「ジュリエットからの手紙」と前後して観た「君の名前で僕を呼んで」でも、外での食事風景が何度か出てくる。
もちろん時代や地域によるだろうけど、イタリア人って家族総出で客人を迎えて外で「我が家の味」をふるまうイメージがある。なのに屋根つきのサイゼリヤを絶賛してくれるイタリアの紳士……グラツィエミーレ。タントタント。
で、何だか大抵のそういう食事風景の中には藤みたいな垂れている花が近くにある。気がする。
そして食事の後はたっぷり昼寝をする。気がする(スペインがまざっていないか?)。
昼寝は家でもするし、公園の庭とか、芝生で行うものなのだろうけど、せっかくだから畑のそばでどうぞ。
というより、厳密に場所を離してしまうとイメージが四散して一つのまとまりにはならなくなる。要するに私の都合。
大体この畑をこうやって作ったことで、島全体のコンセプトが決まった。
おおむね自給自足で生きている島。
でも外の世界も歓迎する島。
まさか畑が島の決め手になろうとは……世の中、わからないものです。
島の他のエリアはこの畑から広がっていったので、順次、巡っていく予定。あくまで予定。
そして島主、即ち私は「畑の管理者」という設定にもなったので、家も畑の横にお引越しした。もとは一段目の海側にあったから結構な大移動(あつ森タイムでは一晩だけど引っ越しこわい)。
畑の管理とキッチンを取り仕切るからにはタフでないとお話になりません。仮に旦那がいたら恐妻家レベルがふさわしい。
そのあたりの表現は家の内装で決まるかな、と思っていたら結果的に「あれ?」ってことに。よくある話。これも後日。
以上、畑の話でした。
畑についてはほぼ映画のイメージで作っていったものの、実際に訪れたことのあるヴェローナの街や雰囲気は別のエリアで活かそうとしてどうなったかは、これもまた後日。
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