見出し画像

大艦巨砲主義と天使の絶景。アメリカの壮大なスケールを全身で感じる、ミリタリー×ドライブな日々のはじまりはじまり。

2日間のひたすらドライブDaysを終えて、ロサンゼルス南部・ロングビーチに到着。ようやく天気も回復して、イメージ通りの「日光がさんさんと降り注ぐカリフォルニア」になったところで、旅の中盤戦はミリタリー×ドライブ尽くし、たかっかの本領発揮です!

さて、このロングビーチ、旅の初期の計画ではまったく泊まるつもりがなかった場所。

ロサンゼルス周辺は宿代も食費も超高そうだし、ハリウッドやディズニーランドには興味ないので、特に見たいものもなく。むしろ、さらに南にあるアメリカ海軍の一大拠点、サンディエゴに行こうと思ってた。

サンディエゴへのルート選定や宿の手配まで済ませたものの、決して安くはなかったし、ロスからさらに200kmほど移動するのも何かと面倒。

どうしよっかなーと、Googleマップをグリグリやっていた時に見つけたのがココ。

戦艦アイオワ。
大艦巨砲主義、私の好きな言葉です。


サンディエゴに行ったところで、現役の米軍艦艇を遠目に見られるだけだし(軍港クルーズもあるけど)、めちゃんこ魅力的な何かがあるわけじゃない。ならば、戦艦を見学した方が楽しいじゃん!てことに。

で、戦艦アイオワが展示されているのがロングビーチで、調べてみると宿代も割とリーズナブル(てかサンディエゴより安い)で、かつ場所的にも前日〜翌日のプランに組み込みやすかったから、こっちにしたわけです。



宿から戦艦まで、クルマでわずか10分。

ただ、今日は後半にドライブを控えていて、昨日のビーチ散策時に安いガソリンスタンドを発見していたから、まずはそこで給油。

今回はタッチ決済対応端末だったから、なんの戸惑いもなく完了(そうじゃないとどうなるかは、昨日のnote読んでね!)。



乗艦!

入口のスタッフ(たぶんボランディアのおじいちゃん)に「Have you been to the ship before?(前に船に乗ったことある?)」と聞かれましてね。

「Yes(心の中:そんな口を聞いていいのか?私はかつて史上最大の戦艦・大和を建造した会社でよろしくやっていた身だぞ)」

と答えたら、「ならOK、ゆっくり見ていきな〜」ってなったんだけど。

定冠詞の「the ship」だったから、これ「このアイオワにきたことある?」だったよなー、と気付いたのは5秒後の話。英語むずかしいアルネ。



ここからミリタリー成分がどんどん濃くなっていくアメリカ旅。

とはいえ、ディープな解説をする気はなくて、初歩的な基礎知識だったり、「へー!すご!」みたいなことだけをサラッと紹介していきます。

まず、よくある認識として、「戦艦=軍隊が使う、戦う船」というのがあるんですけど、実際はもう少し狭い意味を持ってまして。

軍隊が使う船は、軍艦(自衛隊の船は自衛艦)。

戦艦とは、軍艦の中のジャンルのひとつで、「強力な大砲で敵艦を沈めるのが主任務で、同等の敵から攻撃されても耐えられる防御力を備えた艦」。

パイレーツ・オブ・カリビアンとかでやってる、帆船を並走させてボカスカ撃ち合うような海戦が、技術の進化に伴って遠くから大砲を撃ち合うスタイルになり。

横須賀に展示されてる戦艦三笠が活躍した日本海海戦は、まさにそんな戦い。あれは1905年、日露戦争中の出来事。

そこからさらに進化が進み、1940年代の太平洋戦争でピークを迎えて、アイオワや大和みたいな戦艦が誕生。

でも、太平洋戦争の終戦後、新たな戦艦が開発されることはなく、現代の海軍で戦艦を保有する国はありません。

なぜかというと、海戦の主役は砲弾を40km先まで飛ばせる戦艦から、1000km先まで飛んで爆弾を落とせる飛行機になり、さらにはその爆弾がミサイルに進化したから。

こうなると、現代の海戦に必要なのはミサイルを撃てることと、敵のミサイルを撃ち落とせること…となって、もはや強力な大砲と防御力を備えた戦艦は、無駄にデカい鋼鉄の塊に成り下がりました。

現代の軍艦の防御力は、不審船に積んであるような重機関銃とか、ロケット弾の破片に耐えられる程度で、ミサイルが1発直撃したら、沈みはしないかもしれないけど戦闘不能に陥ります。

逆に、アイオワクラスのガチ戦艦なら、現代の対艦ミサイルを10発喰らっても致命的なダメージにはならないでしょう。ひょっとしたら100発でも沈まないかもしれない。

戦艦というのは、そういう船です。

現代戦は「先に見つけて、やられる前にやる。撃たれたら撃ち落とす。撃ち落とせなかったら諦める」。

戦艦の砲撃戦は「どちらかが沈むまでひたすら殴り合う」。

現代の軍艦が失ったこの思想から来る、まさに「浮かぶ城」といえる迫力、それが戦艦の魅力なのです!!



では、ディープな話はしないと言ったから、なるべくサクッとアイオワ編は終わらせますw

まずこちら、いわゆるブリッジの内部。

ど真ん中に居座っている、銀行の金庫みたいなドアの付いてる部分が司令塔と呼ばれる部分で、この金庫の筒は各フロアをぶち抜いて上下にも続いています。

厚さ40cm以上の特殊鋼で守られた区画で、戦闘になると司令官や艦長といった重要人物はここに入って指揮をとり、他のフロアでは武器の制御システムや操艦・通信関連の機器類など、戦艦を機能させる上で最重要なヒトやモノはこの内側に。

なので、仮に砲弾がブリッジに直撃して爆発すると、ガラスや窓枠は吹き飛ぶし、部屋も原型を留めてないかもしれないけど、司令塔は無傷で残り、戦闘には支障なし、となるわけです。

司令塔の中。

レトロな機器が並んでるのは当然で、アイオワは1940年代に建造され、湾岸戦争前の1980年代に最後のリノベが行われたから。

ただ、それでも建造当時はアメリカの威信をかけて建造された一大プロジェクトなわけで、当時としては最先端のもの。

中でも、主砲の射撃指揮装置(自艦や相手の動き、風速、地球の自転とかを考慮して狙いをつけるモノ)は、まだデジタル式のコンピュータが発明される前の時代なので、歯車がガチャガチャして動く機械式計算機を使用。

が、これがめちゃくちゃ高精度だったらしく、80年代のリノベでも更新する必要なしとして、そのまま使われたんだとか。



博物館としての要素も持ってるから、もちろん案内板なんかも充実。

全部紹介してたらキリがないけど、たとえばこれはどこにどんな防御がされてるのかを解説していて、さっきの司令塔、3基の主砲、船体の前後方向3分の1ぐらいがMAX防御なのがわかる。

あとは、最大2500人の乗組員を支えるための食堂、ランドリー、床屋なんかもありますよー、みたいなのとか。

ちなみに月1で、ここでヘアカットしてもらえる日があるらしいw

別料金で主砲塔に入れるツアーやら、通常非公開のエリアも使う脱出ゲームやら、それはそれで気になるも、ドライブも楽しみたいから一般見学のみでおしまい!

それでも、じっくり見てたら3時間以上いたという。
解説をじっくり読まず、サッと回るだけなら1時間ちょいで充分な気がする。



戦艦をたっぷり堪能していたら15時近くなってしまい、やっぱり始まるラッシュアワー。

さすがにこの時間はまだ大混雑というほどではないものの、ロスのダウンタウンを抜ける高速はこんな感じで。

ナビ画面の時計部分を見ると、15:26。
これが16:00になると、景色はこうも一変。

アメリカ西海岸最大の都市の中心部から、わずか30分でコレですよ。
この感覚は僕も持ってなかったから驚いた。

そして、16:07にはこうなる。
遠くに街並みが見えます。

ここはロサンゼルスの中心部から20kmほどの所から始まる、エンジェルス国有林。

なんかもう、新宿から20kmのところに箱根がある感じ。
(実際は新宿〜川崎ぐらいの距離)

そして、この道の名前は「Angel's Crest Highway」。

カッコいい!

Los Angelesはスペイン語で「ザ・天使」、そのAngelesから来ているんでしょう。Crestの意味は、1・2・4のどれとも取れるなぁ…。

1. (鳥などの)とさか,冠毛;(トカゲなどの)背の突起;(馬などの)首筋,たてがみ
2. 〔通例the ~〕(山の)頂上,尾根;波頭≪of≫;《解剖》(骨の)稜りょう
3. 紋章,家紋;(かぶとの)羽根飾り,前立て;《建築》棟むね飾り
4. 〔通例the ~〕頂点,絶頂,最高[最上]のもの

goo辞書より


で、まぁ、すごいんですよこの道が。

どこを見ても青空

僕もこのnote書くのに調べてビックリしたんだけど…。

この道の最高地点は標高2,300m…これは富士山5号目(クルマで行ける一番上)と同等、日本の国道最高地点の渋峠が2,172mだから、それ以上。

まさかそんなところを走ってたとは知らずww

しかも、そんな2,000m級の山脈を縫って、全長は100kmオーバー。
アメリカのスケール、ヤバすぎる…。

僕にとってアメリカの道は「荒野をひたすらまっすぐ走る」というイメージだったから、これは嬉しい誤算を通り過ぎての驚き。

日本の道で一番近い存在は長野県のビーナスライン(標高1800m級、全長76km)だけど、あんなもんじゃない。

まず、Highwayの名のとおり、かなり走りやすく整備された道で、制限速度も45〜55マイル(約70〜90km/h)。実際に皆さんそれぐらい出してるし。

かといって単調というわけではなく、箱根ターンパイクぐらいのカーブが続く。90km/hで走れたら楽しいよねー、ターンパイク←50km/h制限

そして、さっき上げたような周り一面に青空が広がるような場所もあれば、針葉樹林もあり…。

ゴツゴツした岩山もあり。

そして、片道だけで登って下る。
それだけでもレアなのに、いくつもの山を跨ぐからアップダウンが連続。

おまけに標高が高いもんだから、下りの時に見下ろす&見渡す景色がまた壮大。

なんかもう、日本じゃガチ登山で縦走?とかしないと見られないような景色を、ただドライブしてるだけで見せてもらえちゃってる気がする(知らんけど)。

無理やり日本の道で例えると、

ベースとしてはビーナスラインの強化版で、
走りやすさはターンパイクでスピードはもっと出せて、
磐梯吾妻スカイラインみたいな岩山もあって、
しかもアップダウンの繰り返し。

神か!?

いや、天使だ。


まぁ、そうそう全てが完璧というわけではなく、なかなかデンジャラスな一面もありまして。

後半(東側)に入ると、落石が目立ってきた。

ときおり、またげないサイズのも落ちてたり、なんならまさに落石が落っこちてくるところにも遭遇したりと。

少ないとはいえ対向車も来るから、避けるにしても慎重かつ迅速に。

しかも1〜2カ所ではなく、15分ぐらい、1分おきに落石に遭遇してたような感じ。特に何の警告もなくてこんなんだから、さすが自己責任の国。


あ、あったわ警告の標識。「イシー」って。

※ICY=「ICEっぽい」、つまり凍結注意



これほどの道は日本には存在しない上に、最近は阿蘇周辺のドライブが中心だったこともあり、ひさびさにハイになっちゃって。

「気持ちよくなって途中の絶景スポットをスルー」を幾度となくやらかし。

クソみたいなタイヤを履いたレンタカーのカローラで、よう走ったなとw

しかし、さすがに100kmともなると、ひたすらハイスピード(それでも合法)でコーナーを攻め続けること1時間半とかだから…。

「いつまで続くんだよこれ…」

と、5回はボヤきましたw



終盤はどうやらスキー場エリアらしく、突然スーパーとガソリンスタンド、おまけに小学校まである町が突然現れ。

Angel's Crest Highwayは終わり、道はそのまま今宵の目的地・サンバーナディーノに向かって行きます。

右手には「アメリカの超長い貨物列車」が。

2分経っても、その貨物列車がまだ続いてるのが驚き。

道は高速道路に合流。



こんな感じで、戦艦アイオワでミリオタ活動を堪能し、Angel's Crest Highwayで峠も堪能し、明日の予定的にも動きやすい、サンバーナディーノという街に向かってるんですけど。

カリフォルニア州で最も危険な街!
全米の犯罪率ランキングでもワースト19位www

…ということを、昨晩知りましたw

いや、宿のレビューはくまなくチェックしていて、治安面の不安を挙げてる人もそんなにいなかったから、まったく意識してなかったんだけど。

ふと、「サンバーナディーノ 治安」でググったら、まぁ統計上はヤバいヤバいw

もともと到着は夜予定で、そのまま宿に引きこもるつもりだったから特に行動は変えないものの、周りの車の動きも警戒しつつ、街の様子も観察しながら運転。

特別ボロい車が多いというわけでもなく、地元民と思われる歩行者もいるにはいる。めちゃくちゃ治安が悪いという雰囲気は感じない。

一方で、交差点で謎に踊ってるオッサンもいたりして、あれはホニャララ中毒者かな…。でもアメリカの街だと、さほど珍しくもない。

そうこうしてる内に、何事もなく宿に到着!



サンフランシスコの(空振り)エアショー2days、そこからの長距離移動2daysを経て、ミリタリー×ドライブな旅が本格始動。

ようやく天気にも恵まれ、ここからさらに天気の良いエリアに移動しながら、お楽しみを重ねて行きます!

次回もすごいよ…。
どうぞお楽しみに!



ここまで楽しく読んでもらえたなら、ぜひ「いいね」の♡をタップしてください!それがnoteを書いていく原動力になるので、よろしくお願いします!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?