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テレワークと精神的健康

今日、日本心理学会より雑誌が届きました。
日本心理学会会員のため、『心理学研究』や『心理学ワールド』などの雑誌が届き、最新の学術的知見に触れることができるのはありがたいです。昨年、日本心理学会認定心理士となり、今年の4月から正会員となりました。認定心理士を取得しても役に立たないという声もありますが、そもそも資格は活かしてナンボです。「認定心理士になる」ではなく「認定心理士を生きる」くらいの心構えでなければ、確かに取得する意味はないでしょう。

さて、届いた『心理学研究』で気になる論文がありました。「テレワークの場所と時間の確定が精神的健康に及ぼす影響」(江・石井・大山,2022)というもので、コロナ禍でテレワークを導入した企業に勤める従業員について考察したものです。テレワークとは本来ワークライフバランスの実現を念頭に導入されるものでしたが、コロナ禍以降、企業が事業継続のために取り急ぎ導入し、その歪みが従業員の精神的健康に影響を及ぼしているようです。確かに、技術的にテレワークを導入したもののワークライフバランスという視点が欠けていれば、公私を切り離すことができずバランスが大きく崩れてしまう可能性が高いといえます。

本論文の結論としては、コロナ禍に伴ってテレワークが導入された場合、仕事の時間を明確に定め、一方で仕事の場所は明確に定めておかないことが従業員の精神的健康に繋がるとのことです。
仕事と家庭の役割葛藤を生じさせないためには、時間的には明確に線引きをして混同せず、空間/場所的には柔軟さを与え育児や介護などの家庭事情に対応できる働き方が求められます。情報セキュリティの観点などから自宅など所定の場所のみでの仕事を強いる状況は、精神的健康にとって望ましくないということになります。テレワークを推し進めるのであればセキュリティレベルも一段階上げ、本来の意味でのテレワークを実現させる対策が必要ですね。

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