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勉強コラム 熱力学編 2.状態量と熱力学第1法則

※このノートは私が分かりやすい表現で記載してます。厳密な定義は教科書を参照してください。

 熱力学の第2弾です。今回は状態量と熱力学第1法則について勉強します。これから多くのパラメータが登場しますが、状態量であるかどうか区別することは重要になります。

1.状態量

 熱力学で扱う物体は、温度、圧力を持ち、均質な物質で形状にはとらわれない。このような物体の状態は温度T、圧力P、比容積v(単位質量(1kg)あたりの体積、密度ρの逆数と同義。よく出てくる比〇〇と呼ばれる物理量ははすべて単位体積当たりの量であり、小文字のアルファベットで表記される)の3つの独立した物理量で定まる。この3つの物理量のように物体の状態を決める量を状態量(quantity of state)といい、特にT、P、vはその物質特有の状態を表す関係式が存在する。

この関係式をその物体の状態式(equation of state)という。なお、物質は均質であるという巨視的な視線で扱うことに留意する。微視的な視線で見れば、物質内で密度や温度が均質ではないことがあるが、古典熱力学では扱わない。

2.物質の体系(系)について

 熱力学では物質の状態の変化を取り扱うので、エネルギー保存則を勉強する前に、物質の体系(物質の境界)についてはじめに定義する。ある物質(気体)について、熱力学ではその物質の体系(または系(System)と呼ばれる)は以下の3種類が考えられる。
閉鎖系:物質が境界面で区切られ、物質の出入りがないが、熱やエネルギーは出入りできる系。例:風船の中の空気(中の空気は出入りできないが中の空気の温度を上げる、風船を外から圧縮する等のエネルギの授受はできる。)
開放系:物質が境界面で区切られておらず、物質及び熱、エネルギーは出入りできる(入れ替わることができる)系。例:お部屋の空気(窓やエアコン、換気扇等を通じて外から空気が流入してくるし、外気温や日当たりによって室温が変化する。)
孤立系:物質が境界面で区切られていて、物質および熱、エネルギーの出入りがない系。例:真空断熱の魔法瓶内の空気(真空断熱容器によって熱が出入りせず、容器が変形しないためエネルギーを授受することができない、密閉されていれば物質の出入りもない。

図1 閉鎖系の例(風船の空気)
青矢印は物質の出入り、オレンジ矢印は熱の出入り


図2 開放系の例(部屋の空気)
図3 孤立系の例(真空断熱の密閉容器内の空気)

3.エネルギー保存則(熱力学第1法則)

 熱力学のエネルギー保存則について考える。
 まず、摩擦を考慮しないボールのような通常の物体(質点系)のエネルギー保存則は、運動エネルギーをEk、位置エネルギー(その物体のもともと持っているエネルギーとしてpotential energyと英語表記する。)をEvとすると、

質点の運動に関するエネルギー保存則(const.とは一定という意味)

と表される。このような系を保存系(理想力学系)といい、逆にこの関係式が成り立たない系を非保存系という。非保存系では、ポテンシャルエネルギーと運動エネルギーだけでなく、摩擦による熱エネルギーが考慮される。つまり、熱をエネルギーの1つの形として考慮し、エネルギー保存則は力学的エネルギーと熱エネルギーとを含めて成り立つ。これを熱力学の第1法則(the first law of thermodynamics)という。

4.まとめ

 今回は、状態量と熱力学第1法則について勉強しました。まとめると、
①状態量:物体の状態を決める量。圧力P、体積v、温度Tが基本的な状態量。(今後、様々な状態量が登場します。)
②物質の体系は
 ・閉鎖系:物質は系を出入りしない。エネルギーは系を出入りする。
 ・開放系:物質およびエネルギーが系を出入りする。
 ・孤立系:物質およびエネルギーが系を出入りしない。
 の3種類がある。
③熱力学第1法則:力学的エネルギー(ポテンシャルエネルギー+運動エネルギー)と熱エネルギーの和が一定である法則。力学的エネルギーと熱エネルギーによるエネルギー保存則。

 ご精読ありがとうございます。次回はいよいよエネルギーの式について勉強していこうと思います。ここで記載したエネルギー保存則や状態量に関する関係を数式で表現するとどのようになるか勉強します。
 もしよろしければ、スキ、コメント、フォローよろしくお願いします。ありがとうございました。



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