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プロダクトマネジメントを読んで 第Ⅱ部 プロダクトマネージャーの役割

前回の記事に続き、「Melissa Perri氏著・吉羽 龍太郎氏訳の「プロダクトマネジメント - ビルドトラップを避け顧客に価値を届ける」を読んでの感想戦です。第Ⅱ部は「プロダクトマネージャーの役割」です。例によってネタバレはしすぎないよう書いていきます。

プロダクトマネージャーとは?

プロダクトマネージャーはプロダクトからアウトカムを生み出すためにチームの方向性を決定していく責任があります。アウトカムにつなげるために、ビジネスも顧客も理解する必要があり、チームになぜプロダクトを作るかを常に示してモチベートすることも大切です。プロダクトマネジメントはプロダクトのフェーズにもよって、様々な要素が必要になります。

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最初スクラムのプロダクトオーナーとの違いがどういうものか気になってましたが、その点についてもしっかりと触れられていまいた。プロダクトオーナーシップはプロダクトマネジメントに必要な要素の一つで、プロダクトマネジメントは上記の図のようにより広い概念です。それが故に、プロダクトマネージャーは何でも出来なきゃいけないのだろうかという疑問も浮かぶと思います。当然それが出来れば理想的かもしれませんが、かといって独断ですべてを決めるのは良くないプロダクトマネージャーの典型です。UXDや開発における専門性は専門家に任せて、彼らと会話できるレベルを保つことが大切ということです。

プロジェクトマネジメントとプロダクトマネジメント

この話については"Project to Product"という良い本があっていつかご紹介したいんですが、「プロダクトマネジメント」でもすごい分かりやすい説明があったので引用します。

プロジェクトマネージャーは「いつ」に責任を持ちます。いつプロジェクトが終わるのか?全部が予定どおりか?締め切りに間に合うか?そういったことが関心事です。
プロダクトマネージャーは「なぜ」に責任を持ちます。なぜこれを作るのか?どうやって顧客に価値を届けるのか?ビジネス目標を達成する上でどう役に立つのか?このようなことに責任を持ちます。

プロジェクトマネジメントは、前段として「何を作る」かが決まっている状態から始まります。その「何を作る」かをの部分とともに「なぜ作るのか」の部分をプロダクトマネジメントで価値を作り込んでいくわけです。これも「正しいものを正しくつくる」の考え方と同じで、プロダクトマネジメントで「正しいもの」が何かを見極めながらプロジェクトマネジメントで「正しくつくる」を実現していくわけです。

プロダクトマネージャーをどう育てるか

プロダクトマネジメント自体がまだ浸透しきっていない概念だと思うので、プロダクトマネージャーの役割を正しく果たせる人材は中々いないかもしれません。それに類する働きをしてきた方はいるかもしれませんが、本書で定義されているような体系だった形で運用している組織は少ないのではないでしょうか。プロダクトマネジメントもそのレベルに応じてCPO(Chief Product Officer)から、バリューストリームに応じたVP、プロダクトマネージャーと階層構造で構成すると本書では説明されています。このラインを組織内にプロダクトに沿う形で作ったり、あるいはプロダクトマネジメントの経験がある方を新たに雇ったりしてうまく考え方を組織に浸透させていくことが求められるでしょう。

1箇所だけ反論したい点

本書ではScaled Agile Framework (SAFe®) において以下の点を弱点として指摘しています。

SAFeでは、プロダクトマネージャーはプロダクトオーナーのマネージャーであり、外部との対話や作業に責任を持ちます。顧客と話しをして、プロダクトの要求やスコープを定義し、それをプロダクトオーナーに渡すのです。プロダクトオーナーは内部を向いていて、ソリューションのコンポーネントを定義したり、開発チームと一緒に働いたりします。

SAFe 5 Program Consultantとしてこの点は訂正させていただきますが、「プロダクトマネジメント」の原著である"Escaping the Build Trap: How Effective Product Management Creates Real Value"は2018年の11月に出版されており、その時点ではSAFeのバージョンが4系だったのでそれについての指摘かと思われます。その翌年2019年10月に出たSAFeのバージョン5ではCustomer Centricity (顧客中心)やUXDが取り入れられカスタマーリレーションなどが重要視されました。

また、SAFeのProduct Ownerのページには以下の文がプロダクトオーナーの説明の序文に記載されています:

This role has significant relationships and responsibilities outside the local team, including working with Product Management, Customers, Business Owners, and other stakeholders.
(このロールは、プロダクトマネジメント、顧客、ビジネスオーナー、その他ステークホルダーとの連携など、自チーム以外に対しても関係と責任を持つことが重要です。)

このように内部だけに目を向けるようなプロダクトオーナー像とは異なります。スクラムガイドも最近最新版が出ましたが、SAFeもこのように時代に合わせてアップデートしているのでこういったことが起こるのは仕方ない部分ではありますね。このような情報を知っている側から発信をしていくことも大切だな、と読んでいて感じたところです。

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