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2022年にアジャイルきっかけで読んだ本

今年読んで特に良かった本をふりかえっていきます。多くはアジャイル実践している方々が登壇やTwitterの中で紹介されていたり、個人的に直接紹介してくださったり、執筆や翻訳をされた本です。

組織を芯からアジャイルにする 市谷聡啓(著)

今年一番に紹介したい本です。「正しいものを正しくつくる」に続く私の心に刺さる市谷さんの本でした。何が自分の心の琴線にそもそも触れるのだろうと考えてみると、まず浮かんだのは本のタイトルでした。本の中でも問われる「自分は何者なのか」という問いに対する段階的な答えと一致しているのです。自分自身が正しいものを正しくつくれるように、それを組織に広げていけるように、ゆくゆくはより広い世界に広げていけるように。ジャーニーシリーズとは別のジャーニーを歩んでいくその歩調が、自分の数歩先を行きながらも頑張れば追いつけるのではないかという道標になってくれているのです。

そしてこの本をきっかけとしたコミュニティが立ち上がり、それに参加できていることも嬉しく思っています。良いコミュニティにしたいな、できるかなと不安はありますが来年は挑戦の年としたい!

「具体⇔抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問 細谷 功(著)

この本はモノの見方を得るのにとっても良い本でした。この本を読んだあとに、いろいろな争いや対立(特にSNSなどで対立の会話が見えるもの)を見てみると、異なる抽象度で交わることのない平行線的な主張を続けているとはこういうことなのか、というのがそれ用のレンズを入れたかのように見えるようになります。この考え方とNVCと小さな箱を組み合わせていればどんな対立も立ち向かえるんじゃないかって気がしてきます。

そして何よりハッとさせられたのが「抽象的」という言葉が「わかりにくいこと」として捉えられがちなことに対してのアンチテーゼです。私が仕事をする日本のビジネス環境では事例や方法など「具体的」が歓迎されがちです。ですが、それがゆえに抽象化つまりコンセプト化が苦手な人も多く結果的に岩尾先生の「日本"式"経営の逆襲」て問題提起されていたような抽象化が得意な海外のコンセプトを導入するケースが多いのかもしれません。

スイッチ!「変われない」を変える方法 チップ・ハース, ダン・ハース(著), 千葉 敏生(翻訳)

変化のデザインをするにあたって、感情を表す象と理性を表す象使いという良いメタファーを得られました。この変化の対象は個人でも、組織でもどちらでも読み解ける気がします。まさしく「組織を芯からアジャイルにする」にあるように、組織を1人の人間と見立てたときに、組織の理性と感情とは何かを考えてみるといいのかもしれません。あとは、うまく行っているところを突き詰めてブライトスポットを探すこと。壮大な計画を立てても感情がそれに追いついてこない。ならば理性と感情がともに行動できるミニマルでMVPのようなリーンな行動を起こすことが大事なんです。それにしてもNVCから学んだキリンとジャッカルこの本で学んだ象と象使いがいて頭の中が動物園になってきた。もっと増やしたい。

マネージング・フォー・ハピネス  ヨーガン・アペロ (著), 寳田 雅文 (翻訳)

この本もタイトルがとても好きです。マネジメントはなんのためにあるのかというと、組織にいる人々のハピネスのためという単純だけども強力なコンセプト。もちろんマネジメントするチームやメンバーもそうだし、マネージャー自体も幸せな働き方を模索し続けることの重要性を理解できます。この本ではそれに使えるツールやプラクティスが多く含まれていて、すでに取り組んでいてそれを補強する知識もあれば、こんな風に考えれば良いのか(ルール・原則)、これ取り組んでみたいなと思えるような内容がたくさん含まれています。なによりこの本は装丁が美しく読んでいてポジティブな気持ちにさせてくれます。

この本で紹介されているすべてを一気に導入するのは難しいと思います。ですが、1つずつならできることもあるはずです。「どれから試そうかな?」と考えるのは何か表紙にあるようなカラフルな宝物を選んでいるようで本当に楽しくなります。同じ著者のManagement3.0も読みたいなぁと思いつつ。

考える力をつける3つの道具 岸良 裕司, きしら まゆこ (著)

著者の岸良さんをお見かけしたのは、オンライン開催されたLean Conference Japanが最初でした。最後のネットワーキングあたりでオーガナイザーの高木さんに話を振られて必死に答えている私に対して、岸良さんが温かいコメントをしてくださって、Zoomの名前にあったGoldrattも含めて気になってしまった自分のチョロさがきっかけでこの本に出会えました。笑

私は大学で一留していて、それを最近までとてもコンプレックスに思っていた節があって最近素直にそれも含めてオープンにできるようになったのですが、なんと岸良さんもアリとキリギリスのたとえの中で脚注に1年生を3回も経験した話を最初にしてるのです。なんだか共感したのと自分でも頑張れるなぁと勇気をもらえました。

本の内容は表紙の3つの道具をどう使うかですが、GoldrattのTOCクラブで安田さんが人材育成やご自身の困難の乗り越え方の話と絡めて話してくださっていたので読んでる際はとても腹落ちしました。動画と書籍をセットで学ぶみたいなのはとても有効だなと思ったのでまた同じ体験をしたいです。

エンジニアリングマネージャーのしごと James Stanier (著), 吉羽 龍太郎 , 永瀬 美穂, 原田 騎郎, 竹葉 美沙 (翻訳)

エンジニアリングマネージャーの仕事や直面する問題に具体的に迫り、それに対して解決するためのヒントとなる問いを投げかけてくれる本です。私はロール的にはエンジニアリングマネージャーでもマネージャーでもないのですが、採用や退職や組織運営の話など網羅的に書かれていて、これはアジャイルチームに接する際の考え方としても有効だなと思う内容が色々ありました。「マネジメント・フォー・ハピネス」と相互補完的に読むと理解が深まるかもしれません。

終わりに

他にもリーン、UXD、1on1で紹介していただいたThe CIVILITYなどとても良い本に出会うことができました。積ん読しまくっててつまみ読みしていて細かい紹介ができないのが心苦しいところですが、特に心に残った6冊を選ばせていただきました。ふりかえっている最中、改めて自分はこれらの知識に支えられながら仕事を人生の一部として取り組めているなと感じました。ありがとうございます!私もそういった誰かの仕事の手助けになるような活動を来年もできたらいいなと思って行動していこうと思います。その後押しになってくれる良き本とまた会えることを信じて!良いお年を!

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