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ありふれた日常が いつか答えをくれる 【014/200】

季節は断りもせずに移ろい、桜は今年も刹那の満開を迎えた。
花が散り、陽射しが強くなり木々が青くなってから、夕立の降った後の夏の夜も、透き通った青空に紅葉が映える秋の午後も、白い息を吐きながら駅へ急ぐ冬の朝も、桜のことなんか見向きもしない。それなのに僕らは、出番が来れば「待ってました」と満開の桜に満面の笑みを浮かべる。それが、僕らのありふれた日常だ。


3/30のワンマンは、正直、今の自分を出し切った感がある。ファンのみんなからも、ポジティブな声も、もっとこうしてほしいという要望も、まだまだこれが足りないという冷静で的確な指摘も、たくさんいただいた。次の7/13ワンマンに向けて、新しいプロジェクトも始動している。充実している、のかもしれない。ただ、何か自分の中でしっくりきていない部分もある。


僕は疲れているのかもしれない。アンテナが鈍くなっている、あるいは「感じなくなっている」と思うことがある。昨年の後半から、自分の中にあるものを出し続けてきたせいだろう。それは音楽に対してだけでなく、仕事についても、NPOの活動についても、つまり3枚の名刺すべてにおいて、僕はアウトプットに偏った時間を過ごしてきたのだと思う。単純に、インプットが足りない。枯渇しそうな週末シンガーソングライター。

休めばいいのかもしれない。ただ、何を休めばいいのだろう?


4/13から再開するソロでの弾き語りライブは、新曲を歌いたい。アウトプットに偏っている、と言いながら、新曲を書いている時間は、心から楽しい。枯渇した井戸から何が出てくるのか。意外な言葉も、やっぱり自分らしい言葉も、それらを紡ぎあげて、声が求めるメロディを探り当てて、曲を作る。誰かのために書いたはずなのに、出来上がってみたら、誰かが自分に言ってくれているメッセージのようにも見える。今回もまた、そんな曲が書けた。



Compass

飛び跳ねてもっと 海原は君のものさ
追い風がそっと 航路を示すから

呼びかける君の声
大丈夫 聞こえてるよ
面舵も取舵も
すべて君の思うままさ

その胸の中にギュッと しまい込んだ想いを
今はそのまま 吐き出してしまおう
ありふれた日常が いつか答えをくれるから
今はそのまま 進めばいいさ

吹き荒れる 飛沫風(しぶきかぜ)
大丈夫 進んでるよ
突き抜ける その先に
広がる まばゆい未来

その胸の奥でそっと 指し示してるよずっと
君の心が 向かおうとしている方
ありふれた日常が いつか答えをくれるまで
どうかこのまま 迷わないで

その胸の中にギュッと しまい込んだ想いを
今はそのまま 吐き出してしまおう
ありふれた日常が いつか答えをくれるから
今はそのまま 進めばいいさ
迷ったら君のその胸に手を当てて



インプットをくれるのは、非日常の経験だけじゃない。ありふれた日常が、本当に多くのことを教えてくれる。枯渇した井戸に潤いを与えてくれるのはきっと、僕の周りで動いている日常のすべてなんだろう。

日々を感じること。空を見上げること。草木の匂いを嗅ぐこと。鳥の声を聴くこと。風に手をかざして触れること。咀嚼して舌でじっくりと味わうこと。身体を動かし、歩くこと。

世界が僕に教えてくれることを、ひとつひとつ丁寧に受け止める。
それが今の僕に必要なことなんじゃないかと思う。

noteを読んでくださりありがとうございます。 歌を聴いてくださる皆様のおかげで、ヤマカワタカヒロは歌い続けることができています。 いつも本当にありがとうございます。