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乳製品の真実

牛乳をはじめ乳製品は栄養価が高く健康に良いという印象が今でも強く残っています。しかし、その乳製品でのアレルギーで悩んでいる方も多くいます。また、牛の成長を早めるために成長ホルモン剤を投与している情報もでています。多くのマイナスの情報があるにも関わらず本当に健康に良い食品と呼べるのか考えてみましょう。

乳製品は完全栄養食品とも言われ、たんぱく質・ビタミン・ミネラルなどを多く含み老若男女問わず、摂取されることが多い食品です。ですが近年、牛乳が身体に悪いという科学的データや論文が存在するのを皆さんはご存じでしょうか?

乳製品はもともと日本人が摂取してきた食品ではありません。終戦後の食糧難の時期に援助物資という形で送られてきたのが、小麦と粉乳でした。その後もアメリカから輸入することになります。アメリカのビジネス的な戦略であったという意見も少なくありません。

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〈含有成分と悪影響〉
 牛乳には様々なホルモンと栄養成分が含まれていますが、その多くで問題が指摘されています。

1. 女性ホルモン
日本の子どもたちは、本来は性ホルモンの分泌が始まる前には存在しないはずの女性ホルモンを、牛乳を摂取することによって多量に口にしています。現在、日本で市販されている牛乳には女性ホルモンが多量に含まれています。
経口摂取した遊離(未抱合体)型のエストラジオールやエストロンの生物活性は比較的低いのですが、口から入ったエストロンの硫酸抱合体の生物活性は高く、一日に摂取する量から換算すると、その量は環境ホルモン物質や植物エストロゲン(植物性女性ホルモン様作用物質)が発揮する作用の数万倍に匹敵します。

現在、日本で販売されている牛乳は、妊娠中の雌牛からも搾乳されます。雌牛は生後14ヶ月になると人工授精で妊娠し、仔牛に5日間授乳したあとは、人用 の牛乳生産のため搾乳されます。出産後3ヶ月で人工授精させられ、出産する2ヶ月前まで妊娠中も搾乳されます。下図に示すように、妊娠中は卵胞ホルモン (エストロゲン)や黄体ホルモン(プロゲステロン)が多量に分泌されるため、妊娠中に搾乳された牛乳中にもこれらのホルモンが多量に分泌されます。

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実際に販売されている牛乳を調査した結果では、卵胞ホルモンは妊娠していない牛から搾乳された牛乳に比べて1.5~2倍、黄体ホルモンは6~8倍も含まれています。牛乳加工品中の濃度も高く、調整粉乳にも含まれていると思われます。女性ホルモンは細胞性免疫を抑制して感染症に対する抵抗力を落とし、IgEの産生を亢進させてアレルギーを起こしやすくさせる作用があるため、牛乳に含まれる過剰な女性ホルモンが発達過程にある小児の免疫・神経・生殖(特に男児)に影響する可能性は大きいと思われます。妊娠牛からの搾乳は70年ほど前から行なわれてきているため、70年前から先進国を中心に世界中の子どもたちが女性ホルモン含有量の多い牛乳を飲んでいると考えられます。

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1955年を基準にして、各食品の摂取量を比較すると、1975年ごろに牛乳製品、肉、卵摂取量がピークに近づきました。実は、この年はアレルギーの視点からみると特徴的な年です。

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図は、1986~2000年までに食物を原因としてアナフィラキシーを起こした人たち(154症例:男性86、女性68例)が、いつ生まれたかをグラフにしたものです。1975年以後に生まれた人たちがアナフィラキシーを起こしやすい傾向が分かります。つまり、牛乳摂取が多くなったころから、激しいアレルギー反応を起こす人たちが増えてきています。特に、男性に多い傾向があります。

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2000~2001年にアレルギー精査の目的で検査した5342件のIgE値を年齢ごとに調べました。IgE値の年齢変化をみると、思春期前までは IgE値に性差はみられず、思春期をピークにしてその後は減少していきます。本来男性は、思春期以後には分泌された男性ホルモンによってIgE産生が抑制されるはずです。男性は妊娠する必要がなく、Th2(T型リンパ球のヘルパー2型機能)を発達させる必要がないため、男性ホルモンはTh2機能の一部であるIgE産生が抑えられます。ところが、男性のアレルギー患者は、思春期以後になると女性よりもIgE値が高くなります。このことは、男性の免疫が女性化 し、Th2機能が亢進してIgE産生が高くなっている可能性が考えられます。
この原因として、様々な女性ホルモン様の作用を持つ環境ホルモン物質や牛乳・牛乳加工品に含まれる女性ホルモンが小児期の免疫発達に影響している可能性が考えられます。女性ホルモンは卵や肉(特に牛肉は雄牛を去勢し、女性ホルモンを使って育てる)などにも含まれるため、これらの食品からの摂取によっても影響を受けているはずです。

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日本人は、植物に含まれる植物エストロゲンを欧米人に比べて10倍以上摂取しており、遺伝子的にはこれらの植物エストロゲンを処理する能力をもっていますが、過剰な動物由来の女性ホルモンを処理する能力は少ないと思われます。また、欧米でも現在のような女性ホルモン含有が多い牛乳の生産は約70年前からのことであり、様々な影響を受けている可能性があります。この点は、精巣癌や前立腺癌の発生増加との関連が注目されています。胎児期、出産後から思春期前までの小児期には、性ホルモンの影響が少ない状態で体の各臓器が発達します。思春期になり、性ホルモンの分泌が始まってからはじめて、性ホルモンの作用で女性型免疫、男性型免疫、女性型の脳、男性型の脳が完成します。したがって、小児期における過剰な性ホルモン作用を有する物質(環境ホルモン物質、女性ホルモンなど)の影響を少なくし、それぞれの性に適した正常な免疫を発達させることが、アレルギー性疾患予防には重要と思われます。

日本人は、野菜や少量の海草、大豆、それらを煮込むこと、漬物にすること、醸造すること(味噌やしょうゆなど)によって、ミネラル、ビタミン、乳酸菌などを摂取してきました。北に移住し、牛乳中の乳糖を離乳期が過ぎても消化できる遺伝子を突然変異によって獲得した人たちが、野菜や大豆の代わりとして、牛乳やヨーグルト、チーズを食べて生き延びてきました。日本人の遺伝子を持つ人であれば、牛乳の摂取をやめて、本来の食べ物である野菜や少量の海草、大豆、およびその加工品を摂取することが大切です。

牛乳加工品にも女性ホルモンが多量に含まれているため、乳児用の人工ミルクも同様と思われます。つまり、ヒトの母乳中には含まれていない過剰な女性ホルモンが人工ミルクには含まれている可能性があります。ただし、人工ミルクは油脂を搾乳した牛乳に含まれていた油脂から植物性油脂に換えているため、油脂中の女性ホルモン(主にはプロゲステロン)は排除され、牛乳そのものから作った加工品よりは含有が少ないと思われます。アレルギー用の人工ミルク(MA1 など)は、たんぱく質をアミノ酸まで加水分解してあるため、女性ホルモンも普通の人工ミルクに比べるとさらに活性が少なくなっていると思われます。したがって、過剰な女性ホルモンの害から正常な免疫の発達を守るためには、なるべく母乳を飲むこと、もし、人工ミルクを使う場合には、アレルギー性疾患のある 子供も、アレルギー性疾患がない子どももアレルギー用にたんぱく質を分解したミルクを使うことが望ましいと思われます。


2. 成長ホルモン
最近アメリカの一般のスーパーでもオーガニック・コーナーを設けている所が多くなってきました。  
オーガニック牛乳も、数年前に較べると随分手軽に手に入るようになりました。オーガニック牛乳の箱には、大抵、以下のような記述があります。

“This milk was produced without the use of (GROWTH)HORMONES, ANTIBIOTICS or PESTICIDES.”

つまり、こう表示されているオーガニック乳製品以外の、乳製品には、ほとんど全てに(growth) HORMONES,ANTIBIOTICS,PESTICIDESが含まれているということですが、それは一切表示されていません。乳牛に投与されている“growth hormone”(成長ホルモン)、その中でも問題視されているgenetically engineered rBGH (Recombinant Bovine Growth Hormone). 遺伝子組み換えによって作られた通称rBGHホルモン(ヨーロッパでは、このホルモンには発がん性があると言われている)についてです。

このホルモンは、牛乳の生産量を著しく増加させる(通常の10~40%)ホルモンとして米国化学メーカーのモンサント社(Monsanto Corporation)によって開発され、アメリカでは1993年に承認され、あっと言う間にアメリカの多くの乳牛に投与されることになりました。そのようにして量産された乳製品は、バター、チーズ、ヨーグルト、アイスクリームなど様々な形で身体に入って来ていることになります。

カナダでは、過去8年以上に渡って検討の末、1999年にrbSTを認可しないことに決めています。カナダの研究では、ホルモン自体の人体に対する影響への懸念もさることながら、ホルモン投与により、牛の乳腺炎をはじめとする乳房の感染が増加し、その感染を防ぐために抗生物質が多用されることになり、その結果ミルクに抗生物質が残留し、それを飲んだ人間にも当然悪影響があるとしています。
このようなホルモン投与は乳牛だけではなく、アメリカでは食肉牛にも、その成長を促す3種類の天然ホルモン、3種類の合成ホルモン、合計6種類のホルモン使用が許可されており、ほとんどの牛に投与されています。オーストラリアでは5種類、カナダでは3種類、日本では4種類が認可されており、EUでは一切認められていない。アメリカでは、このようなホルモン剤は人体に害はない、安全だと証明されたからFDAによって認可されているとされていますが、カナダやEU諸国では反対の見解を取っており、このホルモン剤の安全性を一切認めていません。このことからこれらのホルモン剤を投与されたアメリカの乳製品、食肉の輸入を1985年以来一切認めていないという事実は消費者として重視するに値する問題です。
このような両サイドの見解の違いは「ホルモン戦争」と呼ばれるまでに発展しています。それは、EUへの輸出をしたいアメリカがEUの輸入禁止措置が「科学的根拠に乏しくSPS協定に違反している」と提訴し、それを受けてEUはさらに、科学的根拠を示した上で1999年にアメリカ産牛肉の全面禁止措置をとり、両者の争いが過熱したからです。

イタリアやプエルトリコ、フランスではホルモンの残留する牛肉を食べた幼児に乳房が大きくなったり、体毛が生えたり、初潮の早期化が報告されています。アメリカでも、近年、初潮の始まる時期が非常に早くなってきており、ホルモンの影響ではないかと巷では囁かれています。ただ、そのような懸念が即、ホルモンの使用禁止につながるわけではなく、冒頭のような疑念を抱く人はオーガニックという選択肢をとるようになってきているのです。

肥育用ホルモンの作用
1.性質が温和になり集団飼育が容易になる
2.成長が早まり飼料の節約できる
3.肉質が柔らかくなる
4.肉の量が増加する
EUでは、先にも述べたようにホルモンに関しては非常に慎重な姿勢を取っており、天然型、合成型伴に禁止しています。日本では以前は、天然型ホルモンは自然界に存在するので問題がないとして認められ、合成型ホルモンは禁止されていましたが、1995年の食品衛生調査会の答申で、「低用量であれば問題なし」ということで残留基準地をクリアしていればOKということで認可され、そういったアメリカ産牛肉が輸入されていることになります。 
3. 飽和脂肪酸による動脈硬化
乳製品に含まれている脂肪は飽和脂肪酸です。飽和脂肪酸を摂取しすぎると中性脂肪やコレステロールを増加させる作用があります。この2つが血中に増加し続けると動脈硬化のリスクが高まります。
飽和脂肪酸は、肥満のもとになるだけではなく、癌(乳がん・前立腺がん・卵巣がん)やアレルギーの原因になると言われたり、老化のもとになるとも言われたりしています。現在も医学界では大きな論議をされているテーマの一つです。

4.たんぱく質とアレルギー
カゼインとラクトグロブリンというたんぱく質が、アレルギー反応を引き起こします。
カゼインはカルシウムを運ぶ働きがあり、ラクトグロブリンはビタミンAの運搬を担ってします。しかしこれらの成分は、人間の母乳には含まれていません。
βラクトグロブリンだけを摂取することはありませんが、カゼインは様々な加工品に含まれていることがあるのでカゼインに対するアレルギーが強い場合は、加工品を与える際は特に注意が必要です。
市販の加工品には、思わぬ物にも乳成分が含まれていることがあります。乳成分については表示義務がありますので、ラベルの表示を確認しましょう。

牛乳アレルギーの軽い人は、第一制限食品の除去だけで良い場合もありますが、素人判断ではなく医師の指示にしたがいましょう。

表4.乳製品アレルギー制限食品例
制限食品種類 食品
第一制限食品 牛乳、ミルク、ヨーグルト、チーズ、バター、コーヒー牛乳、カルピス、ヤクルトなどの乳酸飲料
第二制限食品 カステラ、ケーキ、プリン、マーガリン、乳成分混入表示のある菓子類、パン粉、カレールー、ホワイトソース、シチューの素
第三制限食品 牛肉、羊肉とその加工品(ハム、ウインナー、ベーコン、ソーセージ、ゼラチン)、乳成分混入表示のあるジュース類や果物缶詰
(参考:アレルギー症状と治療)

5.乳糖と老化
乳性品には乳糖を分解する消化液がラクターゼです。ラクターゼは、成長とともに分泌されなくなり、日本人の約8割の成人がこのラクターゼの分泌がされないという現状です。乳性品を摂取することで腹部膨満感や痛み、下痢など様々な悪影響があります。
乳糖はラクターゼによって、グルコースとガラクトースに分解されることで、小腸からの吸収が可能になります。ヨーグルトやチーズなどの発酵乳酸品はラクターゼの代わりに乳酸菌で分解でき、ガラクトースが作られます。このガラクトースが老化のもとになったり寿命を縮めたりする原因だと動物実験で明らかになっています。ヨーグルトやチーズにはD-ガラクトース※が多く含まれているためだと論文では指摘されています。
最近では、アンチエイジングという言葉がよく使われますが、乳製品はエイジング食品と言えます。

 ※D-ガラクトース
ラクトースの主成分で、天然に広く存在し、動物では脳や神経組織にある構成成分のこと。

6.カルシウムと骨粗鬆症
牛乳のカルシウムは、小魚などの食物に含まれるものより吸収がよいと言われますが、人間の血中カルシウム濃度はホメオスタシス(恒常性)によって一定に保たれています。ところが乳製品を摂取しすぎると、血中カルシウム濃度は急激に上昇してしまいます。そのため、体は血中のカルシウム濃度をなんとか通常の状態に戻そうというコントロールが働き、血中や骨の余剰カルシウムを腎臓から尿に排泄してしまうのです。つまり、カルシウム摂取のために飲んだ乳製品が、かえって体内のカルシウム量を減らしてしまいます。


 7.IGF-1と発がん性
近年の研究で、乳製品は発がん性があるということが解明されてきました。特に乳がん・前立腺がん・卵巣がんなどのリスクを高めるとされています。肺がんの原因が、大気汚染や喫煙であるように乳がんなどは乳製品が原因であるという研究者もいます。
乳がん・前立腺がん・卵巣がんなどの原因が乳製品だという理由のひとつが乳製品に含まれるIGF-1(インスリン様成長因子)です。IGF-1は、細胞の成長促進作用があります。下垂体前葉が分泌する成長ホルモンは、それ自身が細胞分裂を刺激するのではなく、肝臓などでIGF-1の産生を促すことによって間接的に成長促進作用をもたらします。

成長ホルモンそのものはヒトとウシで異なりますが、その刺激によって産生されるIGF-1はヒトとウシで同一です。そのため、乳製品の摂取によってヒトの体内に増加するIGF-1は人に対しても成長促進作用を示します。
IGF-1は70個のアミノ酸からなるポリペプチド(-CO-NH-の形で2個以上のアミノ酸が縮合する化合物)で、牛乳には4-50NG/mlのIGF-1が含まれています。牛乳中のIGF-1が直接吸収されるのかあるいは他の牛乳成分がIGF-1の生成を促すのかわかっていませんが、乳製品によって血液中のIGF-1は確実に増加します。

イギリス・シェフィールドで行われた研究によると、1日当たり平均486mlの牛乳を18か月飲んだ12歳の女の子(44名)の血中IGF-1濃度は、160mlの牛乳を飲んだ同年齢の女の子(38名)に比べて10%高くなりました。また、モンゴル・ウランバートルの46名の学童(10-11歳)に1日710mlのアメリカの超高温殺菌の市販牛乳を飲ませたところ、血液中IGF-濃度が290・9から358・3nmol/mlへと23%上昇したという報告もあります。
乳児の細胞分裂を刺激するようにデザインされた物質を、成熟したヒトが口にしたら特定のがんの罹患率が上昇します。乳製品に含有しているIGF-1は、細胞の分裂増殖が最も盛んなとき(子どもでは乳児期と思春期。おとなではがんに罹ったとき)にその力を発揮します。離乳期を過ぎた人間は牛乳などを飲んではいけないのです。

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多くの乳製品が身体に対して害を与えることから、代替品として豆乳を飲むという積極的な考えが必要です。

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