サピエンス全史(下) 2


 昨日の続きです。

 認知革命、農業革命ときて科学革命に入ります。西暦一五〇〇年頃まで、人類は様々な分野で新たな力を獲得する能力が自らにあると思っていなかったが、現状維持のために政府や裕福な後援者が教育や学問に資金を割り当てていたとありました。しかし、割り当てられた方々が、新しい医薬品を発見したり、新しい武器を発見したり、経済成長を促したりできることがわかり、研究を通して新しい力を獲得する自らの能力を次第に信じるようになったとありました。この辺りを読んで、弊社の投資も現状維持に向けたものが多いと反省させられました。

 ただ皮肉にもそうした発展によって、戦争の被害もひどいものになって行き、その極めつけが原爆投下なわけですが、当然科学は防衛にも大きな役割を果たしており、「多くのアメリカ人が、テロリズムの解決策は政治ではなくテクノロジーによるものだと信じている。」とありました。この辺りはそう簡単ではないと思いますし、アメリカ人が信じていてもなぁと思ってしまいました。

 テクノロジーの凄まじい発展によって、現在、科学革命のもっとも重要なプロジェクトは、人類に永遠の命を与えるというものだとありました。倫理的な問題もクリアしなければなりませんが、そうしたことが出来そうな世の中になっているのでしょうね。このプロジェクトを、古代シュメールの神話で、自分は絶対に死ぬまいと、詩を打ち負かす方法を模索したギルガメシュからとって「ギルガメシュ・プロジェクト」というのだそうです。壮大なプロジェクトのはずなのですが、我々くらいの年代の男性には、かつての深夜番組が思い浮かんでしまうのではないかと思います。かなり重要なところなのに、飯島愛の顔ばかりちらついてしまった私なんて、永遠の命を与えられることはないでしょう。

 こうしたテクノロジーが、上巻で登場した帝国と融合して、邪悪な目的にも使われるようになってしまったとありました。この辺りは眼を覆いたくなるような悲惨な話が多いのですが、理解もしておかないといけないのでしょう。イギリス人がベンガルを征服するも、自国の利ばかり求める杜撰な政策を講じて、大飢饉を起こし、1000万人のベンガル人が亡くなったとありました。仁徳天皇の民の竈の時代から1200年経ってもこんなことになってしまうのですから、なんとも残念な話です。

 さらに続きます。

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