アファーマティブ・アクションは違憲

 アメリカの連邦最高裁判所は、大学の入学選考において人種を考慮に入れることは違憲であると判決を下しました。アメリカで長年採用されてきた「アファーマティブ・アクション」を覆すことから大きな議論を呼んでいるようです。

 「アファーマティブ・アクション」とは、1961年にアメリカのジョン・F・ケネディ大統領が大統領令で初めて使用した言葉だそうです。「affirmative」は「肯定的」、「action」は「活動、行動」といった意味ですが、弱者集団の不利な現状を、歴史的経緯や社会環境に鑑みた上で是正するための積極的な改善措置を表すそうです。民族や人種、出自による差別と貧困に悩む被差別集団の、進学や就職や職場における昇進において、特別な採用枠の設置や、試験点数の割り増しなどの優遇措置を指すのだそうです。

 今回の裁判は大学の入学選考についてですが、アメリカではアフリカ系アメリカ人やラテン系の平均の学力が低いために進学率が低いことを是正するために、大学において一定枠の確保が行われているのだそうです。クォータ制と同じようなものですね。しかしながら、同じく被差別民族であるアジア系の人種は、成績が全体として高いので対象になっていないというなんともおかしな制度です。アングロサクソンよりもモンゴロイドの方が脳細胞が多いなんて言う話を聴いたことがありますが、成績についてはそのあたりと関係があるのかもしれません。

 差別なていうことはあってはいけないし、奴隷制度なんて言う滅茶苦茶なことをやっていたことの反省からこうした制度が出来たのでしょうが、そもそも、そうやって分けて優遇してしまう時点でおかしな話でしょう。しかも、「平均の学力が低い」という事象を是正するというのもおかしな話です。アフリカ系もラテン系も白人もアジア系もひっくるめて平均を算出すればよいはずです。しかしながら、そう考えられるのは差別とは無縁の、恵まれた人生を送ってこれたからでしょうから、お世話になった方々に感謝しなければいけません。

 民主党と共和党ではこの判決に対する意見は大きく分かれており、記事でも「保守よりの判決」とか「保守系の裁判官が増えた」なんて話も聞きますが、そもそも裁判官に保守系とかリベラル系とかがあっちゃダメなんじゃないかと思います。極端な制度があって、それに対する揺り戻しみたいな事象も出て来て、揺り戻しに対して今回の判決があって、なんて言うか徐々に波が小さくなれば良いのかなと思います。

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