ラヴクラフト全集 1 2(ネタバレします)

 昨日の続きです。

 「闇に囁くもの」も、「インスマウスの影」とは違ったバケモノが登場します。そのバケモノの描写が「身の丈が五フィートほどの薄桃色をした生きもので、甲殻類のような胴体に数対の広い背鰭か、もしくは膜のような翼と、何組かの関節肢が付いている上に、本来なら頭のあるところに一種の渦巻型をした楕円体がのっていて、それには多数の極めて短いアンテナがついていたそうである。」というものでした。著者がどのようなものを想像して、この文章を書いたのやら、不思議で仕方がありません。こうした描写から絵を描くような方もいるかと、検索してみるとトレーディングカードやマンガもありました。

 そんなバケモノに苛まれている研究者と主人公が手紙のやり取りをしているのですが、その手紙が無くなったり、送った荷物が無くなったりして、さらには、手書きの文字が徐々に乱雑になってから、いきなりワープロ打ちに変わるなどします。ワープロ打ちになった途端に、今まで「危ないから来てはいけない」と言っていた研究者が、「安全だから来ても大丈夫」と言い出して、完全に騙しに来ているとしか思えないのですが、主人公はのこのこ行ってしまいます。主人公は何とか逃げ帰ってくるのですが、研究者のところで先述したバケモノが宇宙由来であり、そのあたりの設定も底知れぬものがありました。

 筒井康隆が好きで「この人、イカれてるなぁ」と思いながら、あれこれ読みましたが、著者もたいがいイカれています。細かく調べてはいませんが、著者の作品からネタを頂いているSF小説がいくつもありそうな気がします。「三体」の発想にも驚かされましたが、本書、特に「闇に囁くもの」にも同等に驚かされ、その作品が戦前のものなのですから、更に驚かされました。また、20歳そこそこでこんな本から着想して9分を超える大作を作ってしまうメタリカもイカれていますね。「イカれている」を連呼してしまいましたが、全て頭にに「いい意味で」が付きますので、ご了承ください。

 どこまで想像を超えてくれるのか、他の本も読んでみたいところですが、著者の作品ばかり読んでいると、私が悪い意味でイカれてしまいそうなので、薄めながら読みたいと思います。

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