新しい学力の育て方

 ヒロユキ先生著「中学受験なしで難関大に合格する 新しい学力の育て方」を読みました。著者は2000組以上の親子に関わってきた小学校教師で教育コンサルタントです。著者スクールの同期生では記念すべき最初の出版ということで、すぐに手に取りました。

 タイトルにある「新しい学力」とは「自主性」、「創造力」、「モチベーション」といったペーパーテストでは評価しにくい力で、心理学では「非認知能力」と呼ばれるもの、教育学で「新しい学力」と呼ばれるのだそうです。あるレベルの大学の頭文字をとってMARCHなんて言いますが、それより上のレベルの大学では、この「新しい学力」が問われる試験が導入されており、今までの受験勉強だけでは入学は厳しいとのことでした。また、それを育てるのは学校でも塾でもなく、親のかかわり方次第ということです。

 そこから親のかかわり方について、著者自身や、著者が関わってきた親子の事例が紹介されていきますが、著者が親子で登山をした話が印象的でした。著者の子供が保育園の年長の時に八甲田山登山を経験したとありましたが、「えっ?!八甲田山って保育園児でも登れるの??」とびっくりしました。新田次郎著「八甲田山 死の彷徨」なんて言う本が思い出されたのですが、タイトルの印象とは大きく違う山の様です。まだ読まずに積読してあるので、来月読みたいと思います。

 子供が小学生の時、山頂について今まで歩いてきた道を見て「ぼくは一歩ずつしか進んでいないのに、二日でこんなにも歩いて来たんだね!」、「一歩は1メートルもないのに、二日続けると、こんなに長い道になるんだね。!」と言ったのだそうです。小学生が、コツコツ積み重ねることの大切さに、自分で気が付くというのは大変重要だと思いました。稲盛和夫氏は著書「生き方」で「短兵急をめざしても、まず今日一日を生きない事には明日は訪れません。かくありたいと思い描いた地点まで一瀉千里に行く道などないのです。千里の道も一歩からで、どんな大きな夢も一歩一歩、一日一日の積み重ねの果てに、やっと成就する者です。」と言っています。それを言われても、なかなか大人でも実践できない中で、自ら気づいてしまった小学生がどんなにすごい人物になるのやら。

 そんな子に育てる方法が満載でした。私には子供がいませんが、子供を部下と置き換えても良い様と思える一冊でした。

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