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『セサミストリート』が大切にする多様性の世界観

日本でも「多様性」という言葉をいろいろなシーンで耳にするようになりました。今や、多様性に富んだ社会のあり方が、求められる時代となり、ビジネスシーンに至っては、多様な人材を登用し、「違うこと」でより豊かなアイディアや価値が生まれるというふうに考えられています。

多様性にも種類がある

 そもそも「多様性」って何なんでしょう?オックスフォード英語辞典によると、多様性(diversity)は「互いに非常に異なる人や物の集まり」と定義されています。自然界を例にとって考えると、さまざまな生物が存在していることを「生物多様性」と表現されますよね。一方で、我々が生活する社会にとっての多様性とは、民族的な多様性、性別、宗教、価値観など、さまざまな視点で語られます。どちらかというと、これまでマイノリティ(少数派)とされてきた方々について、社会的に認め受け入れていくという文脈で使われることが多いと思います。

 さて、その多様性にも実は2種類存在し、表層的多様性と深層的多様性があります。表層的な多様性とは、性別、人種、国籍、年齢、身体的な障がい等の、生まれ持った特徴で変えることができない、比較的わかりやすい特徴のことを指します。一方で、価値観、宗教、経験、嗜好、言語、受けてきた教育といった内面的な特徴を、深層的な価値観と言います。このように多様性にも2面があるということを、前提として押さえておくことが大切です。

多様性は特別なことではなく、私たちの生活の一部

『セサミストリート』の多様性の世界観

 こうした多様性を、ようやく日本社会も重要視するようになり、多様性をいかに受け入れ、よりインクルーシブ(包括的:みんながまるっと含まれるような)社会を作れるかが認知されるようになりました。実は、50年以上も前から、その多様性の大切さを、社会的な課題と捉え、世界に向けて発信してきたTV番組があります。それが、今回のテーマである『セサミストリート』です。『セサミストリート』といえば、エルモ、クッキーモンスター、ビッグバードといったカラフルなキャラクターでお馴染みの、アメリカの子供向け番組です。テレビ放送は1969年にアメリカで開始され、50年以上もの間、150以上の国と地域で放送されているご長寿番組。

 その『セサミストリート』が大切にしていることとして、多様性に富んだ、さまざまな人種が交わり合うような、カラフルな世界観があります。当時のアメリカ社会は非常に不安定で、人種差別、経済格差、移民問題などが社会問題となっていました。そういった家庭の子供たちは、家の外を歩けば暴言や暴力の対象となり、家から出られず一日中引きこもっている状況もあったといいます。そんな子供たちが家でテレビを見ながら、メディアを通して、よりよい教育を受け、多様性を身につけていくことが社会課題を解決する鍵となると考え、『セサミストリート』が放送されていたと言います。

さまざまなキャラクターが登場する『セサミストリート』(公式通販サイトより)

「違い」を受け入れることの大切さ

 また、『セサミストリート』が大切にしているもう一つのこととして、子供たちが互いに持つ「素晴らしさ」を見つけて尊重できるようになるということです。人は自分と違うこと、周囲と違っていることに対し、必要以上に指摘したり、時に仲間はずれにしたり、排除しようとする傾向があります。またマイノリティの方々の表層的、あるいは深層的な「違い」を、「できない」「変」と捉えがちです。それが差別や、社会的弱者を生み出す根本的な原因となっています。できないことばかりに目を向けるのではなく、できているところや、そもそもその人がその人であることの素晴らしさを認め、受け入れることのほうがよっぽど素敵です。

「居場所と出番を創り続ける」御殿場西高校における多様性

 御殿場西高校では、「居場所と出番を創り続ける学校」を目指し、一人ひとりがありのままの姿でいられる学校を目指しています。そのためには、まず、ありのあままの自分を自分自身が認めてあげることが大切だと思っています。それができて初めて、他者のありのままを受け入れ、違いを歓迎し、多様性のある学校をみんなが作り上げていくことができます。決して難しいことではありません。とことんお互いの素晴らしさを認め合う学校にあるという、シンプルなことだと思います。そのために今、学校の中で障壁となってしまうことについては、なるべく見直していく必要があると思います。それも、先生主導ではなく、生徒のみんなと一緒にやっていきたいと思います。そんな当たり前の学校を、みんなと一緒に作っていきたいと思います。始業式、入学式で伝えたことをもう一度。
 ・Enjoy making mistakes. 失敗を楽しもう。
 ・Enjoy differences and diversity. 違いと多様性を楽しもう。
 ・Enjoy creating our school. 学校づくりを楽しもう。

スクールドッグも多様性の一部です。

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