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パラレルキャリアで人生の選択肢を広げるうえで重要な、「人からフィードバックをもらう」経験

9月28日の日経新聞で、”新型コロナウイルスへの対応でテレワークなど働き方が変わり、女性の意識が変化している”という記事が載っていました。

8月下旬に実施された調査では、1136人のうち54.6%が「転職や副業、起業、学び直しを具体的に考えたり、行動したりした」と回答していたそうです。

パラレルキャリアという選択肢

「人生100年時代」が言われるようになって、女性に限らず、キャリアの見直しは誰にとっても身近なものになりました。長い時間軸でキャリアを検討するとしたら、はたして今の選択で合っているか?これに確信を持つのは難しいことです。さらに、コロナ禍における倒産件数も話題になる中、「会社には頼れないから、自分の身は自分で守る。そのために、武器を身につけたい」という意識が強くなっているのでしょう。

武器を身につけるため、コロナで時間ができたから、キャリアアップのための勉強をする方も多いと思います。そこで、「いま勤めている会社を辞めるわけではないけれども、複数の会社や仕事を持つ」ということに興味を持っている方も増えつつあります。本業を辞めるわけではないという前提が置ければ、本業の仕事をしている間に、色々な選択肢を吟味できるというわけです。

「パラレルキャリア」と言う言葉があります。Wikipediaにはこのような定義が載っています。

パラレルキャリア(英語:parallel career)とは、ピーター・ドラッカーが著書『明日を支配するもの』等にて提唱しているこれからの社会での生き方のひとつ。現在の仕事以外の仕事を持つことや、非営利活動に参加することを指す。

概要を見ると、このような記載があります。

ピーター・ドラッカーの著書によると、歴史上はじめて人間の方が組織よりも長命になったために、人は組織のみに頼らず、それとは別に第2の人生を始める必要が生じたという。その第2の人生のひとつがパラレルキャリアである。近年のパラレルキャリアの論調は、軸足はあくまで本業の会社におき、社外活動であっても何らかの形で本業に結びつけることを意識し、社外との関わりを作ることを指す場合が多い。この点が、本業と全く関係ない仕事を時間外に行う副業と異なる点だ。パラレルキャリアを推奨することで、企業は従業員の教育コストと時間を省いて従業員に新たなスキルを習得させることが可能になる。

パラレルキャリアへ興味を持った方にとっては、「具体的にどのようなステップを踏み出していったらいいのか?」という悩みも出てくるでしょう。

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はじめの一歩は「身近な人からフィードバックをもらう」

はじめの一歩の踏み出し方には色々とあります。

●知り合いの経営者のつてをたどって、仕事を手伝う
●Web上のクラウドソーシングサービスなどに登録してみる
●SNSなどで機会を探す
●オンライン、オフラインのコミュニティで機会を探す

さて、いかがでしょうか。一見すると、きっかけを探すという意味ではよさそうに思えますが、それでもハードルが高いな・・・と感じる方も多いのではないでしょうか。

そこで、はじめの一歩としてお勧めなのは、「仕事で自分と関わったことのある人」と「プライベートで仲の良い友人」に、自分のことについて聞いてみることです。すなわち、身近な人にフィードバックをもらうのです。

仕事で自分と関わったことのある人には、自分がうまくできていること(=強み)について聞いてみます。営業のお仕事をされている方であればお客様に聞いてみてもよいかもしれません。営業でなくとも、社内で接点のあった人に聞いてみましょう。上司や先輩、場合によっては後輩でもよいでしょう。

ここで大事なのは、「自分では意識していないけれども、他の人から見ると”得意”だと認識されていることは何か?」ということです。ストレングスファインダーのような便利な診断ツールもありますが、できれば、「具体的に、どういう場面でそれを感じたのか」という生のフィードバックを人からもらうようにしたほうがよいでしょう。

また、プライベートの友人であれば、「自分のよいところは何か?」という質問になります。これは、性格的な長所を聞くのだと思われるかもしれません。ただ、仕事における強みと同様に、「具体的にどのような場面でそれを感じたか?」を聞くことが重要です。

なぜフィードバックをもらうことが重要なのか?

いきなり新しい「つながり」や「機会」を探すよりも、既に存在するつながりの中で、自分にフィードバックをくれる人にまずは聞いてみる、というのは非常にお勧めです。

なぜかというと、パラレルキャリアなどで本業の会社以外の活動をするときに、多くの方にとって気になるのは、「これは、果たして人の役に立っているのだろうか?」がわからないことだからです。

会社勤めをしていれば、人事評価や上司からのフィードバックがあり、そこで自分の立ち位置、あるいはどう見られているかがわかります。あるいは、営業職ならお客様からの評価がダイレクトに「売上」と言う形で実感できるということもあるでしょう。

しかし、本業外の活動においては、本音のフィードバックをもらうことは難しいのです。なぜかというと、本業の活動ぐらいのレベルでコミットしていない状態では、自分に責任が発生していないことが多いので(副業として、きちんとお金を頂いて仕事としてやっている場合は除きます)、誰かに何かのお役立ちをしても、本音のコメントがもらえるとは限らないからです。

自分に責任が発生していないということは、フィードバックをする相手にも同様に責任がありません。人は誰だって、嫌われたくはないですから、仮に不満があったとしても、「無難な」表現をします。

話を戻すと、「仕事で自分と関わったことのある人」と「プライベートで仲の良い友だちに聞いてみる」というのは、フィードバックをもらうのに慣れるというプロセスです。

フィードバックをもらうことに慣れれば、そのうち、自分にとって耳の痛いことでも進んで聞いてみようかという気持ちになります。そして、良い点も改善点も含めて、フィードバックをもらっていくことがうまくなっていき、それを通じて、本音のコメントを引き出しながら、自分の強みや立ち位置というものがリアルにわかってくるのです。

フィードバックをもらう際に、「ネガティブなことであっても耳を傾けよう」という姿勢は重要ですが、別に、自分の心が痛むような辛辣な言葉をわざわざ求めにいく必要はありません。あくまでも、「オープンに、人からのフィードバックを受け入れる」というオーラが自然とにじみ出ることにより、よりリアリティのあるコメントをもらう回数が増えていくということです。

基本的には、課題や弱みよりも、「強み」に関するフィードバックを集めていきましょう。そのうえで、はじめの一歩においては、安心してコミュニケーションできる相手に聞いていきましょう。

そして、フィードバックをもらうときに、具体的な場面をセットで聞いておけば、そこには確かさが宿ります。それが根拠の伴う自信になります。本業外の活動へ踏み出すときに、自分が根拠の伴った自信を持っているかどうかは大きなポイントです。

キャリアアップのために、空いた時間で勉強をするのもいいですが、「どちらの方向に向かって努力するか」を考えたときに、自分の強みや位置をまずは把握していきましょう。

そこで初めて、向かっていく方向性がはっきりするのです。

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