大学の授業を4象限で考える ③ 《時空の呪縛からの解放/自由な学びへ》
時間と空間の共有/時間割と教室割という呪縛
「大学の授業を4象限で考える」のその3。「時空の呪縛からの解放、そして自由な学びへ」というタイトルをつけました。
前回、その2では、実はオンデマンドとかライブとか、オンラインとか対面とかっていう問題は、客観的、普遍的なレベルで見ると、 時間を共有する、空間を共有する、時間から解放される、空間から解放される、そういう4象限なんだ、という話をしました。
それは、抽象的には、時空からの自由、時空からの解放という問題だということです。
そして、大学のキャンパスにおいては、具体的には、時間割と教室割の問題として現れる、という話をしたわけですね。
その3では、再び「ライブ/オンデマンド」「 オンライン/オフライン」という4象限に戻して考えたいと思います。同じことなんですけれども、ただ、次元が違うということです。繰り返しになりますが、その2で確認したことは、次の2つです。
1つは、客観的、普遍的な、抽象的なレベルで、 「時間/空間」という問題としての4象限とぴったり重なるという話が1つ。
それから、具体的には「教室割/時間割」の問題と重なるんだと。この問題はね。そういう問題なんだ、ということですね。
その上で、それを前提に、「ライブ/オンデマンド」、「オンライン/オフライン」にもう1回戻すということです。
その3の最初の4象限です。 左下からいきましょう。「対面授業」。
対面授業は時間割と教室割に縛られる
ちょっと真ん中のところに、「対面授業/オフィスアワー/オンラインライブ/オンラインオンデマンド」というふうに書いてあるんですけれども、この4象限に位置付けると、結局こういうことなんですが。
左下、第3象限ですね。これは結局、具体的には、「時間割と教室割に縛られている」ということです。
オンライン・ライブ型は時間割に縛られる
その上、第1象限。これは先ほども言ったとおり、 先ほどというかその2で言ったとおり、「オンラインライブ」っていうのは、 結局「時間割に縛られている」ってことなんですね。オンデマンドが好きとか、ライブが好きとか、 対面が好きとかいうレベルの問題じゃなくて、これは「時間割に縛られているだけの話」だということですね。
オフライン・オンデマンド型は教員だけが縛られる
そして右下、「オフィスアワーや時間割外」ですね。時間割外の教育、教授、学習については、 これは実は「在室中」にしなきゃいけない。これ、教員ですね。「教員だけが縛られる」んです。 学生は全く縛られないんです。まあ縛られないというか、オフィスアワーに 質問に行こうという人はその時間を意識しなきゃいけないわけですけど、それはある意味、主体的にその時間を利用するわけですから、ただ教員の場合には来るか来ないかわからない学生を、 研究室で待ち続けなきゃいけないという話なんですね。
オンライン・オンデマンド型だけが時間と空間から解放される
右上。「オンライン・オンデマンド」のメリットは、 この「時間割、教室割から解放」される。これはまさに、「時間から空間から解放される」。 まあごくごく当たり前の話なんですけれども。
そしてその次行きますね。
教員の自由/不自由と学生の自由/不自由と
もう一つ「四象限」の図を入れてあるんですが、これを教員と学生の自由という観点から見るとどうなるかということです。
対面授業は教員も学生も不自由である
ここで問題になるのは教員と学生なんですが、面白いのはオフラインの「対面授業」ですね。
オフラインライブの対面授業っていうのは、 「教員も不自由、学生も不自由」。この不自由っていうのは時間と空間に対してです。
時間と空間からの不自由、「時間と空間に縛られる」という意味での「不自由さ」を持つということです。
教員がその時間、前の日飲みすぎて寝倒して、 酔っ払って二日酔いで、あるいは健康を害して出られなければ、もう対面授業は「休講」になるわけです。学生が前日夜更かしして遊びすぎて、 その日の授業に出られなければ「欠席」になって「単位を落とす」わけです。
そもそもなぜその時間と空間だけでしか教育を提供しないのか
これは「まさに不自由」なわけですよね。そもそも「なぜその時間と空間でしか教育が提供されないのか」ということです。このオンライン・オンデマンドが可能になっている時代にですよ。なぜそんな時間と空間に縛り付ける必要があるのかっていうことです。全くナンセンスだと思いますね。
オンライン・ライブ型は教員も学生も時間に対して不自由である
そしてその上です。「オンライン・ライブ」。これは実は「教員も不自由、学生も不自由」。空間からは自由なんですが、 「時間的には不自由」ということで教員と学生の両方が不自由ということになります。
オフライン・オンデマンド型は教員だけが不自由である
面白いのが「オンデマンドのオフライン」ですね。オフィスアワー。「学生は自由」なんですね。「教員だけが不自由」になる。そういう仕組みだっていうことなんですね。
オンライン・オンデマンド型だけが自由な時間と場所で自由に教育を提供することができる
「どちらも自由」になるのが、オンライン・オンデマンド型です。つまり、「自由な時間と場所で、自由に教育内容を伝達する」。それが「オンデマンド・オンライン」上に載っかることで、 学生は自由な時間と自由な場所で、それを学び取ることができる。 これは教員と学生の「双方にとって自由」だということです。
オンライン・オンデマンド型は教員の自由な教授と学生の自由な学びを実現する
ここで何が見たいかというと、授業形態の問題は、単なる授業形態の問題じゃないということです。ここにはそこに関わる 「教員と学生」という2種類の「主体」がいるわけですけれども、その「2つの主体からすれば」、 こういう「自由と不自由の問題」になるんだという、そういう話です。
なので、この「時空からの解放」。そして「教員の自由」「学生の自由」。これを実現すればいいじゃないかということです。
こうして考えるべきは、次のテーマになるわけですが。
ここで問題は、今ずっとこの1、2、3で見てきたのは、授業形態を「ライブ/オンデマンド」「 オンライン/オフライン」で位置づけると、それは時間と空間の問題として言えば、 「時間の共有」「空間の共有」の問題であるということ。そして、それは裏側から見れば「時間と空間に縛られる」ということ。呪縛されるということ。すなわち「不自由」だということです。
しかも、その「不自由さ」っていうのは、 実は教員と学生では違いますよということを見てきたわけです。さらに、具体的な問題としては「時間割の問題」「教室割の問題」として、これが学務課職員、教務課職員の不自由と 労働強化にも繋がるっていうことです。全く無駄ばかりなんですけれども。
オンライン・オンデマンド型は教育としてふさわしいのか
ここで次の問題は、結局「オンデマンド・オンライン教育」は、学生も自由で、教員も自由でいいかもしれないけど、それはむしろ「教育にふさわしくないんじゃないか」 という話が出てくるわけです。
それぞれの授業形態のメリットとデメリットを明らかにする
次のテーマは、当然出てくるのは、ここで、「オフライン・ライブ=対面授業」、 そしてオンラインライブの「オンライン・ライブ授業」、そしてオンデマンド、「オンライン・オンデマンドの授業」、そしてオフィスアワーなどの「時間割外の授業、教授」。このそれぞれのメリット、デメリットですね。それぞれの授業形態には、どういうメリットがあり、 どういうデメリットがあるのか、
今見てきたのは、「時間と空間」と「自由、不自由」ってことだけで 見てきたので、一番大事なのは、「どの授業形態が最も教育的か」「教育的に効果があるか」。「学生にとって教員にとって、どういうメリット、 デメリットがあるのか」っていうことを見ていくことが、次の大きなテーマになってくるわけです。
オンライン・オンデマンド型の優位性の確認へ
ここで、「オンデマンド・オンラインの優位性」ということがはっきりすれば、「なぜ、未だに日本の大学はみんな 対面授業にこだわり続けるのか。」その理由は何なのか。「なぜ不自由な思いをしてまで 対面授業にこだわり続けるのか。」ここにはいろんな問題があるわけです。それを「阻んでいるものは何か」、それも明らかにしていきたいと思います。
とりあえずこれは、ここまで。もう前提の前提の話ですね。
教員と学生にとって自由な学びとは何なのか
大学の授業形態、単にライブかオンデマンドか、 オンラインかオフラインかっていうだけの話じゃない、非常に「教育の本質」に関わる、 あるいは「自由な学び」、「教員」にとっても「学生」にとっても 「自由な学びとは何なのか」っていう、もう「教育の本質に関わる問題」と 結びついてるんだっていうことです。
対面かオンライン・オンデマンドか:それは単なる授業形態の問題ではない
それは「単なる授業形態の問題じゃない」ということが、ここまでの話の結論となります。
もう大学の授業になってきたね、これ。ポッドキャストっていうよりもね。ということでここまでにしたいと思います。その3、終了。
ここまでで一応、この「授業形態の4象限」は終わりです。次に、今言ったとおり、「それぞれの教育効果」、それぞれの授業形態の「メリット・デメリット」を見ていきたいと思います。
ではまた。
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