オルゴール一妻の詩(26)

実家に置いていた オルゴール
大切に包んで 我が家まで運んだ

黒い 漆調のオルゴール
物心ついた頃から いつもあったオルゴール
ネジを回して
そっと開け
その音色に耳を傾けたものだった

あの頃のように
ネジを回して そっと開ける
懐かしい 「乙女の祈り」が流れてくる

ああ 母が生きているうちに
このオルゴールを手元に持ってきてよかったなあ!

母亡き後に
このフタを開けて
この音色が流れてきたら
切なくて 胸がつぶれるかもしれない

曾祖父母と祖母 両親 工場の人たちに囲まれて過ごした
私の幼い日々は
遠い昔の日々となった

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