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透明の鉄格子から星ばかり眺めるレジのホァンさんの夜/ryu.0_0

2022年3月17日(木)の15時部屋の題「格子」でバラを取った短歌。

「透明な鉄格子」なら、実は罪を犯しているというニュアンスになる。

しかしここでは、「透明の鉄格子」である。透明で鉄格子のような役割を果たすものという意味に取れる。

下句の「レジ」でその正体がわかる。新型コロナウイルス対策の透明なシートだ。コンビニなどの店員と客との間に垂れ下がるあれだ。

しかし、そこから星が見えるということは、窓ガラスのこととも取れる。コンビニなどの大きな窓ガラスである。

星を眺める「ホァンさん」を見ている主体は、同僚だろうか。それとも、商品を選びながら、店員のことを盗み見ている客なのだろうか。

「ホァンさん」はベトナム人留学生のアルバイトだろう。日本語学校、専門学校、大学、大学院、いずれかの学生だろう。「星ばかり眺める」余裕があるのだから、それなりにアルバイトに慣れている頃だ。

同じシフトにベトナム人がいなければ、淋しさから星を眺めるのだろう。星も、星を見ている人も孤独なのだ。

コロナ禍の留学生は一時帰国できていない。家族とは電話やメッセージでやり取りするだけだ。ベトナム人は各学校、各大学で割合多いので、交友関係には困りにくい。それでもやはり一番は家族なのだろう。

遠くを眺め、国を、国の家族を思っている留学生の憂愁が読み取れる。

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