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本の紹介📚|サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福(上・下)

地球上のあらゆる動物と一線を画し、繁栄を遂げたホモ・サピエンス。私たちは何がそれほど他の生物と異なるのだろうか。
本書の序盤で提示されるその答えは、意外なようでそうとしか考えられなくなるような、新鮮な驚きと視点を与えてくれる。
それは「虚構を信じる能力」。想像力、ないしは妄想する力と言っても良い。太古の人類が他の類人猿を駆逐して繁栄するには、物理的に連携しうる小集団を大きく超えた大集団で連携するしかなかった。そのためには、実際に見聞きした範囲を超えて情報を伝え合い“信じる”ことが必要だったのだ。
この虚構はその後の歴史を大きく発展させてきた様々な概念に通じる。それは神話であり宗教であり国家であり、貨幣や企業、文化やジェンダーでもある。これらはすべて実態も根拠もなく、生物学的な人間の習性に由来するものでもないが、皆が同じように信じることで成立しているものだ。
あらゆる生物の習性や行動は、生物学的繁栄を望む遺伝子によって決められている。私たち人類だけが、自分たちが信じることに従い、自分たちの望む幸福のために行動ができるのだ。
だからこそ、筆者が投げかける大きな問いは、未来を考える上で重く響く。「私たちは何を望みたいのか?」

サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福(上・下)
ユヴァル・ノア・ハラリ|河出文庫

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