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素敵なブランドショップの下にシェルターがある街

1975年から15年もの間内戦のあったレバノン。

今、ベイルートの街を歩く限りは内戦をしていたなんてわからないくらい。再開発されたベイエリアはまるでヨーロッパかと思うくらい素敵だ。でも、欲目をこらすと古い建物には弾痕が残っている。

五つ星ホテルの真裏にあるこの大きな建物にもあちこちに弾痕があり、なぜかこの建物の1回部分には戦車が配備されていて軍人が自動小銃を持ってウロウロしている。

稀にこんな建物はあるものの、ベイルートのダウンタウンはとにかく素敵だ。

中東、レバノン、ベイルートと聞いて何を想像するのだろう?

中東 → イスラム、ムスリム、過激派、テロ?

レバノン → 内戦、レバノン杉、フェニキア?

内戦後、復興と経済発展を目指したベイルートは見た目は素敵な街だが、レバノン人の話を聞くと目に見えない色々なものに驚くことがある。

その一つにシェルターがある。

立ち並ぶ高層ビルや綺麗なマンションが印象的なベイルートだが、同僚のレバノン人によると大体どのビルにも地下室があり、地下3階くらいにシェルターがあるという。主に人が住むマンションの話のようだけど。

シェルターには食料や水、移動用の簡易トイレや防寒着などが常備されていることもあるとか。

北斗の拳に出てきたような核シェルターか?!


内戦時代、シェルターにはたくさんの子どもたちがかくまわれていたという。ビルによってはシェルターのない古いビルもあるため、近所の子どもたちを含め30人とか40人とかがシェルターに隠れていたらしい。


ベイルートのダウンタウンにはヨーロッパの高級ブランドやポルシェなどの高級車が売られているショップがあちこちにある。街を歩く人もいかにもどこかのエグゼクティブかというような格好いい男性と素敵な女性。

でも、その下にはシェルターがある。

また、いつかイスラエルと戦いだすかもわからない。

ISなどのイスラム過激派テロ組織が何をするかもわからない。

人々の生活と街の発展はいつも危機と隣り合わせのような感じだ。


死は生の対局ではなく、その一部としてあるという言葉があるが、まさに人々の生活で死はいつも生きることの一部としてあるかのようだ。

人口400万人のレバノンに100万人以上のシリア難民がやってきた。社会も経済も急に人口の25%が流入してきたために多大な影響を受けている。


ある日、ベイルートにある赤十字国際委員会(ICRC)のレバノン事務所に仕事で行った。話では地下三階にあるシェルターには非常食の備蓄がされているらしい。彼らがオフィス物件を決める上での判断材料の一つは、シェルターがあり緊急事態にも対処できるところ、とのこと。が、しかし、今は火事などの際に使う非常用梯子がないため、ビルのオーナーに緊急脱出用のハシゴをつけるよう依頼しているらしいがつけてもらえないらしい。


一見ヨーロッパのような街並みのベイルート。でも、所々内戦の傷跡が残っている。そして、次起こるかもしれない非常事態への備えも忘れない。

人々の心にも言えない傷がまだ残っている。2017年、できるだけ平和で心おだやかに日々が続き、何事もない1年であって欲しい。


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