高木成未

介護福祉士。「座談会 介護/介助労働の現場から」,『季刊 福祉労働151号 介護から社…

高木成未

介護福祉士。「座談会 介護/介助労働の現場から」,『季刊 福祉労働151号 介護から社会が見える――超少子高齢社会を描く』(2016年,現代書館)に参加。「【総選挙2014】老人ホームと選挙の話」(ポリタス)など寄稿。

最近の記事

選挙の当たり前を疑ってみた〈ベータ版〉(4)

消費税増税は、介護員に打撃を与える今回の選挙の争点と言える消費税増税について、ホームヘルパーや介護員の生活に打撃を与えるものだと考える。これは、元々の可処分所得が低いからだ(ヘルパーや介護員の給料は、政府が定める「介護報酬」によって大きく左右される)。2014年の消費税増税(5%から8%へ)ですら影響は大きかった。実質的に賃下げと同じ効果があったと考えている。更に、これを10%に引き上げるとは、いかに現場のことを理解していないかの証拠だ。 特養に勤める20代の中堅介護員から

    • 選挙の当たり前を疑ってみた〈ベータ版〉(3)

      寝ていたい有権者のために今現在は健常者であり、行こうと思えば行けるが、選挙に行かないという有権者について考える。冒頭の図式で言えば、 (1)「選挙のお知らせ」が届く → (4)選挙に行かない(棄権) と表せる。 すぐ思い起こすのは、投票に行かない有権者のために使うお金のことである。2017年10月の突然の解散総選挙(「国難突破解散」)の時、かかるお金が600億円以上になると話題(もとい問題)になったが、このうち、これらはどのくらいを占めるのだろうか。 選挙にかかる600

      • 選挙の当たり前を疑ってみた〈ベータ版〉(2)

        投票所までの移動にお金がかかる?冒頭の図式の、「(2)候補者の選択・決定」と「(3)投票」の間には、投票所までの移動(自宅との往復)がある。健常者でも天候によって投票率が上下することはよく言われている(2017年10月の総選挙では、台風21号が直撃した)。障害がある有権者にとってはどうなのか。 ポリタスで「体が動く方でも、例えば、足が痛いから投票所まで行けなかったという声を聞く」とも書いた。たとえば、要介護状態の高齢者の場合、家族やホームヘルパーによる支援が必要になるかもし

        • 選挙の当たり前を疑ってみた〈ベータ版〉(1)

          はじめに 本稿を書こうと思ったきっかけは、Twitterでよく見る、選挙で選ばれたんだから、「政権を批判するな」「これが民意だ」「政権のすることに反対するな」「文句を言うな」「従うのは当たり前」「安倍さんにがんばってもらうしかない」といった言葉に違和感を覚えたためだ。これらを当然視するのはおかしいのではないか。こういう問題意識から出発して、考えを進めてみたい。 まず、選挙にまつわる一連の行動を図式化すると、下記のようになると考える。 (1)「選挙のお知らせ」が届く → (

        選挙の当たり前を疑ってみた〈ベータ版〉(4)

          「一人しかいないんだから」

          夕食前、配膳の準備をしている時のこと。 厨房から配膳車が届くので、食器を一つ一つ取り出して、入居者ごとに、お盆に乗せていきます。食事形態や禁止食などが一人一人異なるので、間違いがないように並べないといけません。その間にも、例えば、トイレの希望があったり、転びやすい方が立ち上がって歩き出そうとすることがあれば、準備の手を止めて対応する場合もあります。特に焦る時間帯です。 「ご飯まだなの?」 そうした中、ある方の声が聞こえました。更に気が急くのを感じたその時、90歳代のJさ

          ¥100

          「一人しかいないんだから」