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経営戦略ありき、という本来の経営フローに戻すだけ

自分のプロフィール紹介兼仕事依頼記事。長すぎるけど、読み返してみると、なかなかまとまっている。が、長すぎるので切り売りしてみようと思って数回に分けて紹介、のシリーズパート4。過去の3回分は、以下に。

私はコミュニケーションを経営戦略に沿って実現するための手段、という考え方を持っています。ゆえに、まず大事にするのは経営ビジョン。そしてその達成の具体策である経営戦略・中期経営計画です。中小企業になればなるほど、おろそかにしているものです。

経営戦略を達成するために情報発信があり、その結果として営業成果や各種成果が同時進行でアップする、というあたりまえの流れを作る

わけです。

「うちではしっかりつくって実践しているよ」とよく言われるのはIT系の会社の社長さんたちです。が、商材ベースのマーケティングに偏重してしまう傾向にあり、コミュニケーションのバランスがやはり崩れてしまっています。どうしてバランスが崩れるのか、というと、実行前に財務・情報・人材・プロダクト・開発というおおまかな経営要素に対してそれぞれの方針をざっくりとすら決めていないからです。

Strategy Wheel

経営ビジョンから経営戦略に落とし込み、情報発信を中心とするコミュニケーションをどうマネジメントしていくか、という流れを作る。パブリックリレーションズの仕事は、広告代理店の片棒を担ぐことではなく、むしろ戦略系経営コンサルタントの仕事に近いのが真実です。

どんな会社にも、以下の仕分けで戦略が存在します。

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これらは上場企業のもののように思えますが、世の中のほぼすべての会社、とくに銀行から融資をしてもらっている会社はこれと似たようなものを事業計画書の中で作っています。っていうか、会社が動き出している時点でこれらすべてのことに対応しないといけなくなっています。それぞれの戦略は「今後の方針」なわけで、それらを改めて言語化し、整理するのです。そして、それぞれの戦略において、どんなコミュニケーションが必要なのか、「要素出し」をし、まとめるのがコミュニケーション戦略の骨子になります。わたしが提案するパブリックリレーションズは、何らかのコミュニケーション実施のためにバックグラウンドを上記のように整理してもらうことと、実践です。

この記事シリーズでやり玉に挙げている(笑)、企業の情報発信ニーズのリストを改めてここでもあげてみます。

   マーケティング(を強化したい)
   SaaSやテレワーク導入(したい)
   ホームページをちょっと改善したい
   SNS運用体制を検討したい
   コンバージョン解決したい
   報道対応ででっかくメディアに取り上げられたい

これらのアイデアは、本来は経営戦略に基づいて、どこのステージのどんな何かを解決したいがためのニーズであるはずですが、募集記事のほぼ100%にそのストーリーが書かれていません。こういった記事のほぼ100%は、基礎知識を積まないなんちゃってパブリックリレーションズ担当者(自称・その会社のコミュニケーションの専門家)による立案です。そしてこれまたほぼ100%目先の自分の立場に関する問題解決を主題にした募集です。

はい、あらためて基礎知識ない、の記事はこちら。

木を見ることしかできないコミュニケーション専門家の話は、こちらね。

わたしが書いている「経営戦略示してね」というのは、戦略系経営コンサルタントさまたちが得意とする分野でもあり、中小企業診断士なども多用する「経営者への説得材料」です。パブリックリレーションズ、日本で言われる広報とはまったく違う分野のように思われますが、パブリックリレーションズはすでに経営系戦略コンサルタントを情報発信面から見つめたものになっていて、最近ではストラテジックコミュニケーションと呼ばれ体系化されています。基礎知識がある人はこういった変化についていけますが、現場でたたきあげるしかなかった広報担当者や自称コミュニケーション担当者たちは、目先の問題解決こそが主題になりがちで、それが極まると経営方針から逸脱したプランがほいほいほいほい出てくることになります。

基礎知識なし、を修正する

まず、自社の担当者のプロフィールをもう一度見てみて、基礎知識があるかないかで、今出している募集要項をチェックする必要があります。ストーリーが欠如している場合には、経営が最終的に目指しているものとその募集内容がずれていないかを再考したほうがいいですね。

募集要項の立案を社長さん自身がやっている場合は、基礎知識のあるコミュニケーションの専門家であることはほとんどないので、目先の課題解決から募集をしているのだと思いますが、いったんそれは横に置いて、本来どういう集客やつながりを外部と作りたかったのか、を書いてみてほしいです。それが実は経営の理想とするビジョンと強いかかわりのあるヒントになりますし、基礎知識のあるまっとうなパブリックリレーションズ専門家を縦横無尽に使いこなすキーになります。

基礎知識がなければなくていいのです

情報発信を中心とするコミュニケーションの基礎知識など、この国で持っている人を探すことはほぼ不可能です。アメリカのようにPR学部卒者を毎年1万人以上世の中にリリースしているわけではないので、いつまでたっても担当者の目先課題の解決を目的とした単細胞な募集しか出ないわけで、それを受け入れたうえで、その募集を経営面から再度フィットさせる「整体」をすればよい、というだけのことです。

その要素は経営戦略と経営ビジョンで、戦略系コンサルタントたちが登場するテーマかもしれませんが、そういう人たちにまかせずとも、創業時に事業計画書を作った時にその要素のほとんどを作っているはずなのです。それをブラッシュアップしなおすだけで、単細胞な募集に色を加え、もしかしたら基礎知識を持った本当の専門家が助っ人に来てくれるかもしれません。基礎知識を持った真のパブリックリレーションズプラクティショナーは、素材が準備されていなければ仕事をしません。PR系を雇い続けて成果が出なくてうんざりしている社長が多数いるのも知ってますが、その原因は社長が会社の重要なストーリーを話さないか、基礎知識なしの担当者に丸投げしていることです。どっちも社長のせいなのです。

さて、この国に経営ビジョンから会社のありようを語れる社長は増えてくるのでしょうか。

<おおもとの記事はこちら>





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