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荒木博行著「自分の頭で考える読書」を読んで。

"学ぶことは大事だが、学び方を学ぶことはもっと大切だ"というようなことを最近思うことがあった。

そんなときに見つけたのが本記事の 荒木博行さん著「自分の頭で考える読書」である。


読書法はケースバイケース

読書法はケースバイケース。
これは著者がおすすめの読書法を聞かれたときの回答である。読書法はその人の"読書の目的"や"性質"によって合う・合わないがあるため、極論人によって最適な方法は異なる、という考え方である。

本書は著者の考える"本との付き合い方"が"部品"でまとめられており、読者自身がその部品を使って、"自分に合う読書法"を作り上げられるようになっている。
※部品:著者はコンポーネント(部品、成分、構成要素など)と説明

1章 なぜ今、本なのか?

考えながら読む

動画や音声とは異なり、自分でコンテンツを消化するペースを決めることもできます。 

P49 本の最大の魅力は「魅力的ではないこと」

本章で書かれている内容は、自分が読書をしていて既に実践していることがいくつかあった。「これが読書の良いところだよね。」と感じる点も多くあった。

僕はpodcastやUdemyで音声や動画を使って情報収集や何かを学んだりすることがある。思い返してみると、音声や動画は何かをしながら聴くことが多いので、"情報を受け取る(理解する)こと"に集中しており、"考える"ということができていないと気づいた。

一方、読書では考えたいときには本から目線を外すだけででき、内容を見返したいときにはページをめくるだけでできる。インプットするスピードを調整する手間は自動で内容が再生される音声や動画とは異なると気づいた。

自分の経験で壁を作らない

まずは”本に書いてある内容を受け入れる”こと。その上で自分の経験や考えに基づいて自分なりの答えを出す。初めから自分の経験から出した答えによってフィルターをかけて本から読み取れる内容を絞らない。

2章 どんな本を選ぶのか?

本章では"読む本をどう選ぶか"という問いについて考えられている。

本は「問い」と「答え」から成る

大体の本には、著者が考える「問い」と対する「答え」が書かれており、それらが自分にとって新しいか or 既知かによって本を読んだ時の印象が変わる。

思い返してみると、僕が本を読みたくなるときや友人の話を聞きたくなるとき、新しい出会いを求めるときは「自分の視野を広げたい」「何かに行き詰まっているとき」だと思った。「問いと答え」という捉え方を知ったとき、僕が本を読みたくなるときは自分にとって新しい「問い」や「答え」を求めている状態なのではないかと考えた。

とくに「既知のリマインド」は、自分の「正しさ」を証明してくれる本が多くなるため、負荷もなく、スピーディに読めます

P98 「読書のポートフォリオ」を組もう

たまに本屋に行って何気なく手に取った本をサーッと読むことがあるが、まさにこの状態だと思った。内容を読むというよりは、知らない情報が一つでもないかを"確認する"という感じである(そして大抵、やっぱりそうだよねで読み終わる)。

大切なのは「問い」と「答え」の新しいか or 既知かのバランス

「問い」と「答え」が自分にとって新しいか既知かによって本の印象は変わる。本書で書かれている「読むために必要なエネルギー」についてまとめてみる。

読むために必要なエネルギー
▼大 問いも答えも自分にとって新しい
自分が"当たり前"だと思っていることに対して「本当にそうか?」と問いかけることができるため、価値観に影響するくらいのインパクトがある。この本に向き合うことは価値があるが、エネルギーをもの凄く使う。年に1冊でも良いから読めると良い。

▼中 問いは既知だが、答えが新しい
新しい考え方

▼小 問いも答えも既知
自分の中にある答えの確認

読んだ本の冊数を増やしたいなら「問いも答えも既知」の本を読むことが近道ではあるが、時間を使って読書をするなら新しいものに手を出したいと思った。

3章 本を通して「問い」を育てる

抽象化する力

= 異なるモノ(出来事・分野・経験など)の間に共通点を見つける。

これを本書では「航路」が繋がっている状態と書いている。抽象化する力がつけば、何からでも学ぶことができるようになる。つまり、目の前の課題も過去に誰かが向き合っている課題であり、抽象化できれば過去の出来事から解決の糸口を見つけることができる。

本章では、ヘルマン・ヘッセ著「車輪の下で」という小説を題材に「抽象化&具体化」を行った例が書かれているが、この部分はとても面白い内容だった。

これまではビジネス書というジャンルからしか生きていく、仕事をする上で役立つアイディアを得られないと考えていたが、ここで書かれている「抽象化&具体化」ができれば、小説やエッセイからでも学びを得られると感じた。ビジネス書であってもフィクションであっても筆者の問い&答えがあれば、学びを得ることができる。ジャンルは関係無い。

5章 「読書が役に立つ」とは、どういうことか?

読書のパラドクス

= 役に立てようとする読書は役に立たず、役に立たなくても良いとする読書が結果的に役立つ。
今までの嗜好とは異なる本にも手を出すことで知識の幅を広げることができる。

脳に沈殿させる

本書で書かれていた、「沈殿物」ついてまとめてみる。

1.刻み込む
話す、書く、まとめる等、自分にあった方法で本の内容を記憶に刻み込む。自分の場合は本の内容をまとめて記事にしておく、という方法が良さそう。

2.冷凍保存
分からないことは"分からないもの"として保存しておく。自分が理解できない内容は"役に立たないもの"として読み飛ばしがちになるので、それは"分からないもの"として保存しておくこと。

3.つなげる
沈殿物(分からないもの)同士をつなげてみる。そして新たな問いとして沈殿物ができる。

読書から得た内容を何かのきっかけで思い出せるようにしておく。

ここで出てくる「自分が理解できない内容は"役に立たないもの"として読み飛ばしがちになるので…」は僕にとってかなり当てはまる内容だと感じた。分からないものは分からないものとして頭に残しておく。本を読み切るよりも重要なことである。

感想

読書は著者との対話だと感じたことが前にあった。

本書に書いてある内容は読書に限らず、人とのコミュニケーションにも通じる部分があると感じた。
例えば「まずは本に書いてある内容を受け入れる。その上で自分なりの答えを出す」ことは「相手の話をまずは聞く。鵜呑みにするのではなく、自分で考える。話の途中で自分の中で結論を出してフィルターをかけない。」ということに通じるだろうし、「抽象化する」ことは「話し手の経験を抽象化し、自分が向き合っている課題解決の糸口にする」ということに活かすことができる。文字か言葉かの違いなだけで、読書は著者とのコミュニケーションであり、身の回りの何からでもインプットできると本書を読んで改めて思った。

今回、本書で紹介されている"本との付き合い方"の"部品"の中から、自分自身が印象に残ったもの、感じるものがあったものを抜粋して記事としてまとめた。もちろん、読者によってグッとくる部品は異なると思うので、是非とも本書を読んで自分なりの読書法を作ってみてほしい。

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