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とある。 episode 6 自分を見つけた日


やぶれていたと思って
ずっと埋めようとしてきたけれど

どんな道具を使っても埋めることはできなかった


不完全だと決めたのは自分で
それが完全だと知った



やぶれたところを繕おうとして

隠すように覆いをして

足りないと言わんばかりに鎧をつけて

やればやるほど


針を通すほどにちくりと痛かったのも

覆いに重たさを感じたのも

鎧がいくつあっても不安に感じたのも

それがなくても完全だと知るためだった


鎧を脱いだら
身動きが取りやすくなって

覆いを外せば
周りがこんなに明るかったと気づいて

針を通すことを辞めたら
そのままでも味があっていいなぁと思えて


はじめて自分を知る

そんなことがあるかもしれない。
あるんだと思う。



とある。 主人公なあなたへ

とある誰かのストーリーを切り取って

誰かだったり自分だったり
それとも誰でもないのかもしれない

フィクションだったりノンフィクションだったり

どちらかだったり両方なこともある

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