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サックスを始めた頃の喜びを思い出した話

「ララLIFE」というテレビ番組で、芸能人のLiLiCoさんがサックスを吹いていた。
普段子ども向け番組しか観ないので、この番組は初めて観た。
実家に帰ると、父が私のために録画してくれていたのだ。

LiLiCoさんは、サックスに憧れの気持ちを抱いていたそうだ。
楽器店でマウスピース(吹き口)とネック(吹き口と本体のジョイント部分)を購入し、レッスンを受けていた。
1日練習して、翌日に演奏を披露する…という無茶な企画だったが、LiLiCoさんはやりきっていた。

音を鳴らせるようになり、知っている旋律を吹いては喜ぶLiLiCoさんを見ていると、こちらまで嬉しくなった。

そして、自分が楽器を始めて、音を鳴らせるだけで喜んだ頃のことを思い出した。

私がサックスという楽器を初めて手にしたのは、中学1年生の春だった。吹奏楽部に入ったのだ。
管楽器を始めるきっかけとしては、定番である。

一通りのパートをまわって、楽器体験をした。
憧れのトランペットは全く音が鳴らず、どうしたものか…と考えていた時に、サックスを吹いた。

先輩のアドバイス通りに息を吹き込むと、大きな音が鳴った。
空気が震える感覚。
リコーダーとは全然違う楽器の音に、少なからず興奮したのを覚えている。

その後、希望パートの聞き取りが行われた。
第一希望はパーカッションにした(ドラムにも憧れていた)
第二希望はクラリネット(こちらも音は鳴らせた)
第三希望に「なんか吹けたから」という理由でサックスを入れた。先輩達の希望とマッチしたのか、私はサックスパートに選ばれた。

サックスパートでテナーサックス担当に決まってからは、ひたすら運指を覚え、音出し。
息が苦しかった低音域が、日に日に長く伸ばせるようになった。
音階がつっかえずに吹けるようになった。
初めて上がったステージでは、伸ばす音をいくつか先輩達に混ざって吹いた。
たったそれだけで、満たされていた。

あの頃の私と同じような喜びを、LiLiCoさんは味わったのだろうか。
20年近く経ち、初心なんてすっかり忘れていた。

今は私生活の都合で楽団には入っていないけれど、久々にサックスを吹きたい気持ちになった。
LiLiCoさん、ありがとう。
次に吹く日は、中学1年生の春を思い出しながら練習しようと思う。

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