【映画レビュー】「YUMMY ヤミー」(2019年 ベルギー)~美味しくて美しいゾンビ映画~
【タイトル】
「YUMMY ヤミー」(2019年 ベルギー 88分)
監督、脚本 ラース・ダモワゾー
出演者 マイネ・ネーヴィレ、バート・ホランダース
※本作には暴力、グロテスク、性的な描写が含まれております。
【あらすじ】
自分の胸が大きいことで悩むアリソン。彼女は自分の胸を小さくするため、恋人のミカエルと母親を連れて整形外科病院へ行くことに。
その病院は不気味な雰囲気で、ミカエルはヤク中の職員に連れられて地下へと行く。
すると、そこには全身を拘束された女性が。
ミカエルは事情がわからず、その女性を解放したのだが、なんと彼女はゾンビだった。
実はこの病院、「永遠の若さを研究し続けた結果、ゾンビを生み出してしまった」のだ。
解放されたゾンビは暴れまわり、次々と病院内に居る人々を襲い、ゾンビ化させていく。
整形外科病院を舞台にし、美容とゾンビがコラボした恐怖のゾンビパニックホラー。
【感想】
整形外科病院を舞台にしたブラックな笑いとエグすぎるグロ描写、人間同士の醜い内輪揉めなど、先の読めない正統派ゾンビ映画だった。
主人公であるミカエルが気弱でトコトン報われなく、頑張っても徒労で終わってしまう姿が軽く笑える。
そんな頼りない彼がラストでようやく覚醒するも、悲惨な結末が待ち構えており、とことん救われない……。
ストレートにバッドエンドなゾンビ映画も珍しいな。
このゾンビパニックに対して「神から与えられたモノ(身体)を弄りすぎたから罰がきた」というセリフが重い。
アリソンの母親はこの整形外科病院の常連なのだが、ゾンビのせいで肉体が無残なことになってしまうので、なにか言いようのない虚しさと哀しさを感じてしまう。とんでもない皮肉である。
この監督、なかなか悪趣味だ(褒めてる)。
整形外科病院をテーマにした皮肉の効いたゾンビ映画だった。
ちなみに「YUMMY 」(読み方 ヤミー)は「美味しい」って意味ではあるが、同時に「美しい」「セクシー」という意味でもある。
この映画の場合、たぶん、両方の意味が込められているんだと思います。
「(ゾンビ的な意味で)美味しい」「美しい」。
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