見出し画像

為替の決まり方について:金利だけでは語れない複雑な世界 ~ドル円相場を例に~

こんにちは!個人投資家のTAKA Chanです。
「なぜ円安やドル高が進むのか?」その逆も最近起こり始めています。

疑問ではないでしょうか?

ニュースでは為替のことで「日米の金利差」が主な要因として挙げられますが、事実為替レートの決定要因はそれだけではありません。

今回は、金利差以外の要因も踏まえ、為替レートの複雑なメカニズムをドル円相場を例に解説します。


金利差は重要だが、唯一の要因ではない

これ当たり前で大事なことなのですが、金利が高い国の通貨は買われやすく、低い国の通貨は売られやすい、これは基本的な考え方です。

しかし、金利差だけで為替レートが決まるわけではありません。

例えば、最近のドル円相場では、日米の金利差拡大が円安の主な要因とされています。しかし、日本経済が好調な兆しを見せたり、国際情勢が不安定になったりすると、金利差があっても円高に振れることがあります。

ソロスチャートの考え方

ソロスチャートとは、2国間の通貨供給量(マネタリーベース)の比率と為替レートの間に強い相関関係があるという考えに基づいています。

  • ポイントは、通貨供給量が増加すると、その国の通貨は下落する というのが基本的な考え方です。

例えば、ドル円相場の場合、日米のマネタリーベースの比率をグラフ化し、為替レートの動きと比較します。
もし、アメリカの通貨供給量が日本の通貨供給量よりも速いペースで増加すれば、ドルは円に対して下落する傾向があるとされます。

2国間のマネタリーベース(資金供給量)を比較したチャート。
著名投資家のソロスが考案したと言われています。外国為替相場はマネタリーベースとの相関性が高いとの前提に立ち、2国間のマネタリーベースの比率と外為相場の値動きを比較するものです。ソロスチャートでは、資金供給量が多ければ多いほど、その国の通貨安が進みやすいとされています。

2国間のマネタリーベース(資金供給量)を比較したチャート。
著名投資家のソロスが考案したと言われています。外国為替相場はマネタリーベースとの相関性が高いとの前提に立ち、2国間のマネタリーベースの比率と外為相場の値動きを比較するものです。ソロスチャートでは、資金供給量が多ければ多いほど、その国の通貨安が進みやすいとされています。

大和証券のサイトより引用

ソロスチャートの利用方法

ソロスチャートは、主に以下の目的で利用されます。

  • 為替レートの将来的な動きを予測する

  • 為替市場への投資判断を行う

これは理解して欲しいのですが、あくまでもソロスチャートは、過去のデータに基づいて将来の為替レートを予測するものであり、必ずしも正確な予測を保証するものではありません。
しかし、対極的な為替市場の動向を分析する上で、一つの有力なツールとして活用されています。

ソロスチャートの注意点

先の通り、ソロスチャートはあくまで一つの分析ツールであり、為替レートの動きを決定する唯一の要因ではありません。金利差、経済指標、政治情勢など、他の要因も総合的に考慮する必要があります。

また、ソロスチャートは、短期的な為替レートの変動を予測するのには適していません。

長期的なトレンドを把握する上で有効なツールであると言えます。
また日銀やFRBの発表とのタイムラグが生じます。

日本のマスコミや、財務省、日銀もマネタリーベースのデータは毎月出していますが、マスコミがこのチャートの存在を触れることは稀で殆どありません。

マネタリーベース観察で定期的に見ているサイトを貼っておきます。
そのうち更新されます。ご参考までに。

最新は2024/08/02更新版です


おさらい:為替レートに影響を与える様々な要因は?

為替レートは、経済、政治、市場心理など、様々な要因が複雑に絡み合って決定されます。主な要因としては、以下のものが挙げられます。

  1. 経済指標: GDP成長率、貿易収支、インフレ率など、各国の経済状況を示す指標は、通貨の信頼性に直結し、為替レートを大きく左右します。

  2. 政治情勢: 政情不安や政策変更は、投資家の信頼を揺るがし、為替レートに大きな変動をもたらします。

  3. 市場心理: 投資家の心理や思惑は、時に経済合理性を超え、為替レートを大きく変動させることがあります。

  4. 中央銀行の介入: 各国の中央銀行は、自国通貨の安定を図るため、為替市場に介入することがあります。

ドル円相場の今後はどうなるのでしょうか?

今後のドル円相場は、日米の金融政策の違いやそれぞれの経済状況、国際情勢など、様々な要因によって左右されるでしょう。
曖昧な言い方ですがよめません。
手がかりを使いながら推測するしかないでしょう。

日銀が金融緩和を続ける一方で(最近利上げしましたが)、FRBが利上げを継続する場合、金利差拡大によって円安が進む可能性があります。

しかし、日本経済が力強い回復を見せたり、アメリカ経済が減速したりすれば、円高に転じる可能性も十分にあります。2024/08/04現在、その辺りの攻防でしょう

まとめ

為替レートは、金利差だけでなく、経済指標、政治情勢、市場心理など、様々な要因が複雑に絡み合って決定されるものです。

「円安だから日本経済はダメだ」「ドル高は米国株経済の強さのあらわれだ!」といった単純な図式で捉えるのではなく、多角的な視点で為替レートの動きを理解することが大切です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?