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「この世界の片隅に」/「オッペンハイマー」〜事象の裏には必ず、する側とされた側が存在する〜

毎月1日はファーストデイと言って、映画が安くなる。

ので、4/1は1日に映画を3本見た。ただ、僕の脳の処理能力と容量的に、映画館で観るのは2作品/日が限度のようだ。3本目の「君たちはどう生きるか」(2回目)では軽く寝てしまった。

スクリーンで映画を3本観るには、午前・午後を使う必要がある。
1本目に観たのがこの世界の片隅にであった。

https://eiga-chirashi.jp/view_item.php?titleid=10824

【ものがたり】
18歳のすずさんに、突然縁談がもちあがる。
良いも悪いも決められないまま話は進み、1944(昭和19)年2月、すずさんは呉へとお嫁にやって来る。呉はそのころ日本海軍の一大拠点で、軍港の街として栄え、世界最大の戦艦と謳われた「大和」も呉を母港としていた。
見知らぬ土地で、海軍勤務の文官・北條周作の妻となったすずさんの日々が始まった。

夫の両親は優しく、義姉の径子は厳しく、その娘の晴美はおっとりしてかわいらしい。隣保班の知多さん、刈谷さん、堂本さんも個性的だ。
配給物資がだんだん減っていく中でも、すずさんは工夫を凝らして食卓をにぎわせ、衣服を作り直し、時には好きな絵を描き、毎日のくらしを積み重ねていく。

ある時、道に迷い遊郭に迷い込んだすずさんは、遊女のリンと出会う。
またある時は、重巡洋艦「青葉」の水兵となった小学校の同級生・水原哲が現れ、すずさんも夫の周作も複雑な想いを抱える。

1945(昭和20)年3月。呉は、空を埋め尽くすほどの数の艦載機による空襲にさらされ、すずさんが大切にしていたものが失われていく。それでも毎日は続く。
そして、昭和20年の夏がやってくる――。

引用:https://konosekai.jp/


まごうことなき、戦争映画の傑作。

日本の代表的なアニメーション戦争映画といえば、「はだしのゲン」「火垂るの墓」が二大巨頭であった。2作品に共通することは、戦争描写が多いことにある。原爆で焼かれた街や、ガラスの破片が突き刺さった人間の身体などがそのまま描かれている。つまり、映画の主テーマは「戦争の悲惨さ」であり、それを全面に押し出した作品である。

しかし、「この世界の片隅に」はそうではない。

主人公・すずさんの日常がほとんどを占めており、戦争のシーンをクローズアップして描くシーンはあまりない。これが意味することは、当時の日本で生きる人たちにとっては、「戦争が日常」であったということなのだろうと思う。

この映画を家で鑑賞した時に、なぜスクリーンで観たかったのだろうと深く後悔した。だから、緊急上映が決まったと聞き、速攻映画館に足を運んだということである。


また、この2日後の4/3には、オッペンハイマーを観ることが既に決まっていた。

https://earthcinemas.co.jp/films/now_showing/21638/

日本では、6ヶ月遅れての公開だったらしい。
こちらも明らかに傑作だろう。

【STORY】
第二次世界大戦下、アメリカで立ち上げられた極秘プロジェクト「マンハッタン計画」。

これに参加した J・ロバート・オッペンハイマーは優秀な科学者たちを率いて世界で初となる原子爆弾の開発に成功する。
しかし原爆が実戦で投下されると、その惨状を聞いたオッペンハイマーは深く苦悩するようになる。

冷戦、赤狩り―激動の時代の波に、オッペンハイマーはのまれてゆくのだった―。

世界の運命を握ったオッペンハイマーの栄光と没落、その生涯とは。
今を生きる私たちに、物語は問いかける。

https://www.oppenheimermovie.jp/#


オッペンハイマーは「原爆の父」と言われている。彼がリーダーとして指揮をとった「マンハッタン計画」で作られた原爆が、広島・長崎に落とされた。

つまり、「オッペンハイマー」はする側、「この世界の片隅に」はされた側、を描いた映画なのだ。


する側とされた側。
世の中の事象には必ず、する側とされた側が存在する。

だから、目の前で起こった出来事に対して一側面からのみで接することは必ずしも適切ではないはずだ。する側にはそれをした理由や葛藤がある。された側には、された前後の揺れ動きなどが存在するだろう。

片方の意見や主張だけを鵜呑みにすることはあってはならない。物事を複眼的に観察し、思考する。それが考える力を育てるのであろう。


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「神門レポート」という、ファクトベースの記事を書いているのでこちらもぜひ!代表作は、北海道百貨店総覧〜小売から見る地方経済〜



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