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5月29日(金)マーケット情報〜国家安全法成立と深まる米中の溝〜

おはようございます。

昨日のNY市場は、日中小売、資本財を中心に底堅く推移したが、アメリカのトランプ大統領が全人代での香港に対する国家安全法成立を踏まえ、翌日に中国に対する発表をするという発言をしました。それ受けて、その分の上昇幅を全て回収し、昨日の終値は100ドル下げた形になりました。

セクター別騰落率では、エネルギー、金融セクターが主に下落を見せています。

また、トランプ大統領は27日にTwitter社が大統領の投稿に対し注意喚起の文章を加えたことに反発し、SNS運営会社が利用者の投稿を規制する場合、SNS各社の法的保護の取り上げを可能にする新たな大統領令に署名しました。

前週分の新規失業保険申請件数では、10週間に4000万人を超え、米雇用者の4人に1人が失業している状態になりました。

アメリカ総務省が発表した1-3月期実質GDPは年率換算で速報値に比べ、0.2ポイント下方修正する形となり、-5.0になりました。個人消費はマイナス幅を縮めるが、在庫投資などの下方修正が主な要因になっています。


それでは、今日の国内外の注目記事です。

まずは日経新聞からです。


1面:中国、国家安全法制定方針を採択 全人代閉幕 香港へ統制強化

北京で開いた全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は28日、反体制活動を禁じる「香港国家安全法(総合2面きょうのことば)」の制定方針を採択して閉幕した。中国が国家安全に関する機関を香港に設置して直接取り締まりができるようになる。香港で言論の自由が中国本土並みに制限され、高度な自治を認める「一国二制度」が形骸化するとして、米国や香港の民主派は反発を強めている。

北京の人民大会堂で習近平(シー・ジンピン)国家主席らが出席して採決し、賛成2878、反対1、棄権6で可決した。方針には「外国勢力が香港に干渉することに断固反対し、必要な措置をとって反撃する」と明記。中国の分裂や共産党政権の転覆、組織的なテロ活動、外部勢力による内政干渉を禁止する。「中央政府の機関が香港政府に組織を設置し、国家安全に関連する職責を果たす」とした。

李克強(リー・クォーチャン)首相は全人代後の記者会見で「決定は一国二制度を確保して香港の長期繁栄を守るものだ」と述べた。米中は「互いに核心的利益を尊重すべきだ」として、米国の介入をけん制した。

6月にも全人代常務委を開き、立法作業を進める。9月に香港立法会(議会)の選挙を予定しており、夏までに成立させるとの見方が強い。中国共産党序列3位の栗戦書(リー・ジャンシュー)全人代常務委員長(国会議長)は「香港の同胞を含む中国人全体の利益となる」と述べた。

香港の憲法といわれる香港基本法は23条で香港政府が自ら国家分裂や政権転覆などを禁じる法律を制定しなければならないと定める。香港政府は2003年に立法を試みたが大規模な反対活動にあい条例案の撤回に追い込まれた。

19年には「逃亡犯条例」を巡り香港でデモ活動が長期間続いた。このため習指導部は香港政府が自力で国家安全に関する立法措置を進めるのは難しいと判断し、自ら制定に乗り出した。

習指導部は香港基本法の例外規定を使い、中国本土の法律を直接適用する立法措置をとる。国家安全法の施行で、香港の抗議活動への締めつけがさらに厳しくなるのは確実とみられる。中国国営中央テレビ(CCTV)によると、中国軍の香港駐留部隊の司令官は同法に関して「分裂勢力や外部の干渉勢力を震え上がらせる」と強調した。


経済:金融緩和支えに国債大増発
大型補正で残高1000兆円超 成長へ「賢い支出」必要

政府が過去最大の国債増発に乗り出す。日銀の金融緩和で国債の利払い費が抑えられ、新型コロナウイルスの感染拡大に対応した大規模な財政支出を国債発行で賄う。2020年度末の国債発行残高は初めて1000兆円を突破する。危機からいち早く抜け出して経済を健全な軌道に乗せるためにも、新たな経済成長のモデルにつながる「賢い支出」が欠かせない。

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近年30兆~40兆円だった赤字国債と建設国債の新規発行額は20年度に90兆1千億円まで膨らむ。財投債を加えると、900兆円台後半で推移していた発行残高は20年度末に1097兆円となる。

計画上の発行額は「空前絶後」といえるのに、発表翌日の28日も債券市場の反応は乏しかった。長期金利の指標になる10年物国債利回りはマイナス0.005%と前日終値と同水準で推移。ここ3週間ほどは0%前後の極めて狭い範囲内での動きにとどまったままだ。

日銀が積極的な国債購入姿勢を示しているからだ。4月の金融政策決定会合では政府の経済対策で国債発行が急増することを見越し、残高増加額で年間80兆円という「めど」を撤廃。国債を制限なく買えるようにした。あらかじめ国債売りの動きはクギを刺され、政府は思い切った財政出動に動きやすくなった。

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金融緩和のおかげで、国債の利払い費は大増発でも増えない見通しだ。20年前は10兆円を超えていた利払い費も金利低下に伴って18年度は7.8兆円まで減少。SMBC日興証券の末沢豪謙氏は20年度まで横ばいになると予想する。補正予算で市中に発行される国債の7割は短期国債で、その利回りはマイナス圏に沈んでいるためだ。

政府と日銀は協調路線を強めている。麻生太郎財務相と日銀の黒田東彦総裁は22日、コロナ対応で政府と日銀が「一体となって取り組む」とする共同談話を出した。約4年ぶりとなる談話で両者の連携を市場にアピールする狙いがあった。

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財政と金融政策の「一体運営」は海外でも進む。米連邦準備理事会(FRB)は3月に国債などを買い入れる量的緩和政策を再開し、購入規模も事実上無制限にすることで米政府の巨額の景気対策を支えている。

ユーロ圏や英国でも中銀の国債購入を支えに各国政府が財政出動に動く。急速な財政悪化にもかかわらず、10年物国債利回りが独仏はマイナス圏、英国が0.2%と歴史的な低水準にとどまる構図は日本と似通う。

先進国の経済政策は、政府の財政赤字を中銀が穴埋めする「財政ファイナンス」の領域に事実上踏み込んだとの指摘も増えている。コロナの収束後に積み上がった債務残高が財政危機を招かないよう配慮しつつ、金融政策を正常化させるという中銀の「出口戦略」は一段と見えなくなった。

三菱モルガン証券の集計では、海外投資家の日本国債(短期債を除く)の買越額は19年度に前年度比7兆円強(28%)減った。減少額はリーマン危機のあった08年度以来11年ぶりの大きさだ。

為替取引を絡めた投資妙味が薄れたことが主因だが「海外勢には日本の財政や国債格下げへの懸念もあり、投資需要は当面戻らない」(SBI証券の道家映二氏)との声もある。国債市場の日銀依存が一段と深まり、国債購入をやめられないリスクも高まっている。

もっとも、最大のリスクは先行きの見えない危機が続いているなかで財政緊縮を急ぎ、景気の足取りをふらつかせることだ。日本の政府債務は米金融危機後に一段と拡大し、国内総生産(GDP)の約2.4倍になっているが、財政悪化を止めるには税収増につながる経済成長が欠かせない。

景気の底割れを防ぐために財政を使って社会の不安を打ち消し、成長力を取り戻す。次の成長のモデルにつながる「賢い支出」になっているかどうかを不断に点検することが必要となる。


マーケット総合2 海外勢、日本株6週ぶり買い越し
世界株高で投資余力

東京株式市場で海外投資家の一部が日本株投資を再開する動きがみられる。東京証券取引所が28日に発表した投資部門別売買動向(東京・名古屋2市場、1部、2部と新興企業向け市場の合計)によると、5月の第3週(18~22日)に海外投資家は現物株式を6週間ぶりに買い越した。世界的な株価上昇により運用収益が改善し、投資資金の一部を日本株に振り向けている。

28日の日経平均株価は497円高の2万1916円と、2月27日以来約3カ月ぶりの高値を付けた。東証1部の売買代金は3兆3816億円と約1カ月ぶりに活況の目安である3兆円を超えた。みずほ証券の倉持靖彦氏は「リスク回避に傾いていた投資家が戻ってきている」と話す。

東証によると海外投資家による日本株の買越額は772億円。先物市場との合算ベースでみると15週ぶりの買い越し(3892億円)となった。これまで買い手となってきた個人投資家は798億円の売り越しと5週ぶりに売り手に回った。

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海外勢が注目するのは株安局面で特に売られていた銘柄。5月18日以降に提出された大量保有報告書をみると、米ラッセル・インベストメントはラウンドワン株の保有株比率が5.08%から6.15%に高まった。カラオケやボウリング場の利用客の落ち込みから株価は年初来高値の5割弱の水準に下がっていた。

株価が急上昇した銘柄については「投資指標面で割安感が薄れており、中長期保有目的の買いがいつまで続くか不透明だ」(CLSA証券の釜井毅生エグゼキューション・サービス統括本部長)との声もある。業績の行方や株価の水準を慎重に見極める流れが当面続きそうだ。


次にBloombergからです。

You Need to Know

仕事元に読んでおきたいニュースです。

It appears Trump wasn't listening. His top economic adviser said Beijing has made a "huge mistake" in passing the security law curbing freedoms in Hong Kong and will be held accountable. "We can't let this go unnoticed and they will be held accountable for that," Larry Kudlow told CNBC. The move earlier this week to declare the territory had lost its autonomy opens the door for the president to impose penalties ranging from sanctions to revoking Hong Kong's special trading status. The president will hold a news conference about the city on Friday.

「大きな過ち」
米国家経済会議(NEC)のクドロー委員長は、中国が香港の「国家安全法」を制定する方針を採択したことは「極めて大きな過ち」であり、米国はこの責任を中国に問うことになると述べた。米経済専門局CNBCのインタビューでクドロー氏は、「中国は香港から自由を奪った」と発言した。


Latin America now accounts for 40% of daily virus deaths globally. Brazil has more cases than any country except the U.S., Mexico had its largest single increase in both cases and deaths this week, while Peru, Chile and Colombia have all set daily records in the past week.

「コロナ情報」

現在南米では、コロナによる死者数が40%の上昇をみせている。ブラジルは米国を抜いてもっと感染者が多い。メキシコは今週感染者数と死者数の増加数は共に最多だ。一方ペルー、チリ、コロンビアは過去の週と比較して日々の件数が増加している。


What to Keep an Eye On

U.S. corporate bond sales hit the $1 trillion mark. The astonishing milestone for investment-grade debt happened in the first 149 days of the year. In 2019, a fairly typical year, that figure wasn't reached until November. Thank the unprecedented support provided by the Fed. The previous quickest pace came in 2017, when sales topped $1 trillion in August. Most strategists expect a slowdown in the second-half of the year.

注目継続記事

米社債発行は1兆ドルまで到達した。今年に入って150日しか経っていないが驚くべき数字だ。典型的な年である昨年の2019年は11月にようやく到達する形になっていた。背景にはFedの前例のないサポートがある。以前の速いペースとしては2017年があげられ、10月に1兆ドルを達成している。多くのエコノミストは年後半にかけて減速をみせると予想している。

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最後に、今日発表の注目経済指数です

18:00 EU 5月 消費者物価指数(HICP、速報値) [前年同月比] 0.4% 0.1%
21:30 カナダ 1-3月期 四半期国内総生産(GDP) [前期比年率] 0.3% -10.0%
21:30 米 4月 個人消費支出(PCEデフレーター) [前年同月比] 1.3% 0.5%
24:00 米 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、発言


今日も最後まで聞いていただき有難うございます。

良い1日を、

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