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6月10日(水)マーケット情報〜YCC導入が期待されるFOMCとドル円相場〜

昨日のNY市場は、ナスダックはハイテク株が堅調で上昇、一時10,000ポイントを超える場面も、ダウ平均は反落した。

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ドル円相場と米国際利回りは以下のようになっています。米金利は今週木曜開催のFOMCのYCCの見通しもあり少し下げる形になった。ドル円は、リスクオンムードの一巡などを理由に直近2日はドル高方向に向かい現在107円台後半で推移している。

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S&Pによると日本の財政悪化への懸念強まるとし、当面格上げの可能性低くなったと、国債の格付け見通しを下げる形となった。これの形から

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これまでの国内外の注目ニュースを振り返ります。

まずは、日経新聞からです。

1面:地方の財源不足 最大規模 コロナ対応で「貯金」7割減 起債弾力化、国が後押し

新型コロナウイルス対応で地方の財政難が深刻になりそうだ。財源不足は過去最大だったリーマン危機後の18兆円を超える恐れがある。自治体の「貯金」にあたる基金の取り崩し額は既に都道府県の総額の7割の1兆円に及ぶ。景気の悪化で税収が落ち込む一方、検査・医療体制の強化などで支出は膨らむ。政府は自治体が非常時をしのぐため弾力的に起債できる仕組みを整える。

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47都道府県の5月末までの計画を集計したところ、取り崩し額は少なくとも全体の約7割に当たる1兆円に達した。過去15年間でちょうど1兆円ほど積み上げてきたのがコロナで丸ごと吹き飛んだ計算になる。

東京都は9千億円超の残高の9割以上、大阪府も1千億円超の7割を取り崩した。秋田県は80億円あまりの基金を5月末までに全て補正予算に繰り入れた。感染再拡大のリスクがある以上、対策は持久戦になる。

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地方全体の税収は、企業が納める地方法人2税(法人住民税、法人事業税)の伸びなどで、20年度当初に43兆円と過去最高水準を見込んでいた。しかし企業業績とインバウンド(訪日客)消費の失速で今後は税収の落ち込みは避けられない。

総務省は自治体の借金である地方債の運用を弾力化する。道府県や政令指定都市などは共同で市場から資金調達する仕組みがある。従来の10年債に加え、返済期間の短い1年債を認め、需要に応じた機動的な資金調達を後押しする。

地方債は地元の金融機関が市場を通さず相対で引き受けることも多い。信用力の低い小規模な市町村を念頭に、国が低利で財政融資する特例債を設ける。1年債も特例債もリーマン危機への対応時にもなかった初めての措置だ。


経済:ドル供給 邦銀利用突出
FRBから24兆円、世界の半分 海外での調達不安なお

米連邦準備理事会(FRB)が新型コロナウイルス対応で3月に拡充した各国の中央銀行経由のドル資金供給策で、邦銀の利用が突出している。日銀の調達額は4日時点で2221億ドル(約24兆円)と世界全体の半分を占める。コロナ禍で高まったドル不足の懸念は中銀の連携による大量供給で落ち着いたが、邦銀の海外事業の調達不安も改めて浮き彫りになった。

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日銀は9日、期間3カ月のドル資金を供給するオペ(公開市場操作)を実施した。3月に初めて供給した3カ月物のドル資金が償還を迎えるため注目された落札額は約160億ドルと3月の初回の半分強だった。大和総研の中村文香氏は「一時期よりドル需要は落ち着いてはいるが、なお調達の懸念は根強い」とみる。

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FRBがドルを大量供給するのは、海外勢がドルを確保するために米国債を投げ売りすれば金利の上昇を招き、経済の重荷となる懸念があるためだ。あくまで市場の混乱を回避する一時的な措置であり、邦銀のドル調達の不安が一掃されたわけではない。

金融庁幹部は「邦銀の需要が突出している点が米国で政治問題になる懸念がある」と話す。米企業向けの支援を主に日本勢が使っているからだ。足元では米金融市場も落ち着きを取り戻しつつあり、ドル供給が縮小される可能性もある。邦銀が代替の調達先を見つけるのは簡単ではない。

ドイツ証券の小山賢太郎氏は「有事のドル調達を中銀にこれほど依存する邦銀の脆弱性が浮き彫りになった」とみる。新型コロナ対応は長期戦になる。日銀の超低金利政策も出口は遠く、邦銀は海外に活路を求めざるを得ない状況は当面続く。ドルの安定調達という長年の課題は相変わらず残る。


国際:米でワークシェア急増
労働時間減らし解雇防止 年初から給与補填申請100万件

新型コロナウイルスが雇用に影を落とすなか、米欧で1人当たりの労働時間を減らして解雇を防ぐワークシェアリングの活用が急増している。米国では年初からの申請件数が100万を突破し、欧州も5千万人に達した。ただ今回の急増は政府支援の効果も大きく、長期に及ぶと財政の悪化を招く恐れがある。

米国ではワークシェアを実施し、失業給付制度を使って給与の目減り分を補填するには、州ごとの法整備が必要になる。2008年の米金融危機の直後から導入する州が増え、今年4月には東部バージニア州が採用を決めた。地元メディアによると、西部ワイオミング州も法整備を進めており、30州に迫っている。

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一方で課題もある。米国では制度の認知度が低いほか、手続きの煩雑さが指摘されている。米国に加え、フランスなどでもワークシェアを対象にした奨励金を設けて利用を促している。短期間で経済再開にこぎ着けるという前提が崩れると、財政悪化や財源確保が課題になりかねない。

人員整理を通じて社会全体として生産性が低い分野から成長が見込める領域に人材をシフトする動きが弱まり、再教育で一人ひとりの能力を高めることが難しくなることへの懸念もある。専門家の間では「ワークシェアの期間中に、時短勤務の対象となりやすい若年労働者の職業訓練を進めることが重要だ」といった声があがっている。


マーケット総合2:市場で「悪い円安論」浮上 ヒト・モノ・カネ停滞、国力低下で細る需要

9日の東京市場では投資家のリスクオン(選好)ムードが一服し、株高・円安の巻き戻しが進んだ。対ドルの円相場は再び1ドル=105~110円の狭い範囲内での動きになる気配もあるが、一部の市場参加者は別のシナリオを描き始めている。新型コロナウイルスによる経済停滞の長期化でヒト・モノ・カネの流れが滞り、円買い需要が細る「悪い円安」がじわじわと進むとの見立てだ。

9日は対ドルの円相場が1週間ぶりの高値となる1ドル=107円台をつけた。先週後半には欧州中央銀行(ECB)の大規模な追加緩和や米失業率の改善といった市場予想を上回る好材料がリスクオンの円売りを促し、110円台に迫る場面もあった。この日は「9~10日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、持ち高調整の円買い戻しが進んだ」(三菱UFJ銀行の内田稔氏)。

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ただ市場参加者の間では別の理由で円安が進むとの読み筋も出ている。「外国人が円を買うニーズが細ってきた。『悪い円安』が進みつつある」。米大手金融機関の幹部はこう話す。象徴的なのはインバウンド(訪日客)の急減だ。4月の訪日外国人は前年同月比99.9%減の2900人とほぼ消滅し、厳しい入国制限の継続が見込まれる当面は回復が期待できない。日本人の海外旅行消費も急減しているが、訪日客消費と差し引きした旅行収支の黒字額は4月に前年同月から92%減った。外貨を売って円を買うニーズは大幅に縮んでいる。

自動車などの輸出が急減し、貿易収支も悪化している。4月は1兆円弱の赤字、5月上中旬も1兆円を超す赤字だ。コロナの収束後も世界経済の回復は緩慢になるとの見方が多く、輸出の低迷による貿易赤字は続きそうだ。輸入超過は円安要因になる。

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日本に向かう投資マネーの動きはどうか。外国人による日本の株式や債券などの売買を示す対内証券投資をみると、市場の混乱が極まった3月は13.5兆円の大幅な売り越しで、4月も約4000億円の売り越しが続いた。ここ数年の不動産市場の活況を演出してきた外資マネーの流入も当面は滞る可能性が指摘され、やはり円買い需要は細る公算が大きい。

国際収支で存在感が大きいのは日本企業の過去の海外投資の果実である第1次所得収支で、コロナ後も月2兆円規模の黒字を保っている。コロナ禍が収束すれば訪日客が徐々に戻り、輸出の回復で貿易収支も改善に向かう可能性はある。

だが市場ではコロナの動向次第で経常収支が赤字に転じるとの見方もくすぶっている。実需の円買いがいつ戻り始めるかは見通しにくい状況だ。

日銀内では「コロナ危機でも円高がさほど進まなかったのは大きい」(ある幹部)との受け止めが多い。過去の危機時と同じように急な円高が進めば、輸出企業の収益悪化や株安で経済情勢はさらに厳しくなっていた可能性があるためだ。ただ足元の相場水準が国力の低下を映す「悪い円安」の側面もあるとしたら、素直には喜べない。


次にBloombergからです。

Things You Need to Know

Having called the city "ground zero for the ideological clash between democracy and heavy-handed Chinese communism," Kyle Bass is starting a new fund that will make all-or-nothing wagers on the collapse of Hong Kong's currency peg. He'll use option contracts to leverage the new fund's assets by 200 times, and investors stand to lose all their money if the peg is still intact after 18 months, people familiar said.

Europe joined the trillionaires club. Bond sales broke through the 1 trillion euros threshold for the year at the fastest pace ever amid funding conditions that favor borrowers. The region's syndicated bond market had its busiest day ever, with 21 deals raising around 41.6 billion euros to bring the total for 2020 to 1.01 trillion euros. U.S. borrowers hit the $1 trillion mark on May 28, about five months ahead of last year's pace. Europe was about three months faster this year.

Japan's sovereign outlook was revised down to stable from positive by S&P, which said large deficits will keep upward pressure on the debt-to-GDP ratio until fiscal 2023. Its rating of A+ for long-term and A-1 for short-term sovereign debt were affirmed. Japanese numbers today include April core machine orders, projected to have deteriorated from March, and May PPI, expected to show deeper declines in price than a month earlier.


What to Keep an Eye On

China's price pressures may have eased further in May on a mix of reduced demand and lower commodity and energy prices. Consensus is for the year-on-year slide in PPI to widen to 3.3% from April's 3.1%. CPI's rise may have slowed to 2.7% from 3.3% as pork's gain slowed again and gasoline fell. Core inflation may have picked up month-on-month, Bloomberg Economics said.

The PBOC probably kept the new-lending taps open last month to support the recovering economy. Aggregate financing—the broadest tally—may have been 3.1 trillion yuan ($438 billion). While that'd be little changed from April, it's high compared with May in recent years, according to Bloomberg Economics. Corporate bond issuance may have declined. Numbers are due by June 15.

Vigilance but no changes. The Fed will probably use today's meeting to shed light on various lending plans without easing further. Jerome Powell and Co. are unlikely to take comfort in May's payroll report and "will remain considerably dovish," Bloomberg Economics wrote. Officials will also publish their employment and growth targets for the first time since the outbreak amid increasing focus on the racial disparities in joblessness.


為替(ドル円相場)

ドル円、節目108円丁度を割り込み続落。FOMC前のポジション調整が背景

ファンダメンタルズ的に見ても、①日米金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きい米国)や、②米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、③米中対立激化懸念、④朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、⑤新型コロナの第2波リスク、⑥日本経済の先行き不透明感(実質金利上昇→円高)など、ドル円の下落を想起させる材料は引き続き沢山残っている状況です。

以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「上値の重さ」が意識されます。世界的な外出規制緩和に伴う景気回復期待は既に織り込まれつつある状況であり、ここから先は「リスクオンの巻き戻し」に警戒が必要な時間帯となりそうです。米中対立を巡るヘッドラインや、米主要経済指標の結果(米5月消費者物価指数など)、米FOMCにてイールドカーブコントロールについての議論があるか否か(イールドカーブコントロールの導入が現実味を帯びれば、米長期金利低下→ドル売りの経路と、金融株下落→リスク回避の円買いの2つの経路に注意)、欧米株や原油先物価格の動向を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。

本日の予想レンジ:107.20ー108.40

https://fx-rashinban.com/b00001-JPY/a8709-%83h%83%8b%89~%81A%90%df%96%da108%89~%92%9a%93x%82%f0%8a%84%82%e8%8d%9e%82%dd%91%b1%97%8e%81BFOMC%91O%82%cc%83%7c%83W%83V%83%87%83%93%92%b2%90%ae%82%aa%94w%8ci%81i6%2f10%92%a9%81j


今日の注目経済指標

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