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野良デザイン#21-25|釜蓋灰皿 他

こんにちは。

本来の用途を超えた道具の活用「野良デザイン」
その蒐集を通して、道具の新たな可能性を発見する試みです。

早速今週発見した野良デザインたちを見ていきましょう。

野良デザイン#21|釜蓋灰皿

繁華街の裏手で見つけた灰皿の野良デザイン。
the 野良デザイン といった具合にわかりやすい。

円柱状の板金でできた灰皿に、お釜の木蓋が載せられています。

分煙の環境整備が進んだせいか、灰皿自体 普段見かけることが少なくなりましたね。
お店の軒先で目にするこの手の灰皿、金属製の円柱が唐突に感じていましたが、一見不相応な木製の蓋が載るだけで、こんなにも街の景観に溶け込むのかと感心しました。

木と金属の素材の調和に加え、もしかすると、大味な造りの木蓋の懐かしさが、ポジティブな印象を与えてくれたのかもしれません。

炊き上がったご飯の湯気と、タバコの煙の関連を想像してしまうような、ユーモラスな野良デザインです。

◎釜蓋のアイコニックな形状
◎唐突さや場違いが醸し出すユーモア

インスピレーション・メモ

野良デザイン#22|コンクリートブロックの看板立て

喧騒の中、軒先に並んだ看板の数々。飲み屋街の活気に触れると元気がもらえますね。未だ厳しい状況にあると思いますが、どうにか凌いでいただきたいです。

そんな看板たちにも、野良デザインが宿ります。

こちらのお店では、イーゼル型の看板立ての後ろ脚を、コンクリートブロックに差し込むことで固定しています。

室外機の落書きや、そばに立てかけられたシャッターの柱なども相まって、ラフな景観が出来上がっています。

ブロックの穴の角に看板の脚がかかるよう、看板の向きに角度がつくようにブロックが置かれている点も興味深い。

◎機能する肉抜き穴

インスピレーション・メモ

野良デザイン#23|買い物カゴのホース入れ

道路に面して敷地ギリギリに建てられる商店。その軒先にも、環境を良くする工夫が多く見られます。

例えばこのお店のように、スペースを見つけては緑を置くなど。限られたスペースにも関わらず、店ごとにみられる工夫の数々。非常にクリエイティブです。

草木には水を与えなければいけませんが、こちらのお店では軒先に水道を引き、ホースを使って水を撒いているようです。そして、そのホースは巻いてスーパーの買い物カゴに収められています。

実際に会わずとも、お店のオーナーの生真面目さが見えてくるようです。

野良デザイン#24|コンクリートブロックのトングホルダー

ごみ置き場って、その土地柄や暮らしの規模が現れる気がします。
ネットを置いただけの簡素なものから、金属製のゴミ箱を置いたもの、さらにマンションなど大勢が利用するところでは、簡易的な小屋まで建てられます。

こちらの10世帯ほどが住むアパートの前に設置されたごみ置き場は、背の低いコンクリート壁で区割りされています。
よく見ると、その壁の表面を覆う石タイルの溝を、トングを固定する用途として使っているではありませんか。

朝家を出るって時にカラスに荒らされたゴミ置き場を見ちゃうと絶望しちゃいますよね。

このアパートに住む一人はとてもマメな性格なのでしょう。溢れてしまったゴミを拾うためのトングを常備しているのです。

このタイルとタイルの間の1cmほどの溝は、貼り合わせた際の見栄えを整えるためのものと思われますが、生産に関わった人の中で誰一人、この溝がトングを固定するために使われるなど想像もしなかったことでしょう。

◎自立したトングのジオメトリックな外観

インスピレーション・メモ

野良デザイン#25|坂道の親子台

古いビルが立ち並ぶオフィス街、その坂道の途中でこの野良デザインを見つけました。

大型のゴミ箱がゴムバンドで電柱に固定され、建物側の段差と、2つのサイズの異なる足場台の上に乗っています。

ゆるやかな坂道の中腹、大小2種類の足場台を使うことで、坂の傾斜によって生じる高さの異なるスペースを埋め、ゴミ箱を水平にしているのです。

こちらも、先ほどの「買い物カゴのホース入れ」同様、敷地ギリギリに建てられたビルと道路の間の、限られたスペースの活用から生まれた工夫ですね。

◎同様な要素の大小=親子・兄弟関係

インスピレーション・メモ

遠出しにくいこの頃。このストレスフルな状況は、一方で、近場の新しい一面を発見できる機会でもあると思います。
是非、みなさんの暮らす街の野良デザインも見つけてみてください!

また次の投稿でお会いしましょう。