見出し画像

ストリート花屋をはじめたのは、ナスの山椒揚げのおかげ。

3月に入ったばかりのある日の午後、会社の同期(※後述)からナスの山椒揚げが食べたいという連絡がきた。わたしはナスの山椒揚げを食べたことがなかったけど、字面からしてとてもおいしそうだったので、一緒に食べに行くことにした。場所は新宿。会社の同期の名前はりえ。わたしは貴子です。

ちなみにお店はここ。

花屋をやる。

ナスの山椒揚げはまじでおいしかった。「最近どう?」というめちゃくちゃ平凡な話に花を添えてくれた。そのうち「なんかおもしろいことしたい」という、その会話が繰り広げられた後に、実際におもしろいことが繰り広げられた実例はあるのだろうかという中身のない話になった。とはいえそのぐだぐだ具合が最高なんだよなあと、それなりの幸せを噛み締めながらおひらきになりかけたその時、「花屋になりたかった」という、過去になりたかった職業を吐露するターンがはじまった。こちらも、思い出話の部類であり、「花屋派かケーキ屋派」かだったり「ウルトラマン派か仮面ライダー派」かという不毛な対立構造が生まれると思いきや、わたしたちはふたりとも花屋派だった。

画像3

そこから、花屋っていいなあという話がはじまった。いまはオンラインの花屋があったり、ポストに花を届けてくれるサービスがあったりしていいよね、などたわいもない話。

いつもだったらここで話は終わってたんだけど、何故かナスの山椒揚げを食べて口の中がお花畑になっていたからか、「花屋やろうぜ」の一言が出て、「無店舗ならできるんじゃない?」という思いがもたげて、「ユニット名を決めよう」「花の仕入れってどこでやるの?」といった実現に向けた道をつくりはじめた。甘いと言われたらそれまでだけど、やろうやろうで止まってたところから、実際に一歩踏み出したことは大きいと思うの。

コンセプトについて。

SNSのトレンドや、イシューに対する注目度は高かったけれど、早々「#花のある生活」はわたしたちが目指すところではないのではないかという話になった。別に否定するわけではないし、この先歳を重ねていく中で、生活の中に花を据えることに憧れを抱くこともあるかもしれない。だけど、まだ無敵感を捨てきれない花の20代なので、「誰かのためにブーケをあげる」とか「自分の世界観をきちんと投影した部屋の中、生活の中に飾る」のではなく、片付けられない散らかったままの部屋に、自分が「その時の」気分で選んだ花を添えたいと思ったのです。

画像2

「こうありたい自分」を目指して頑張ることは否定しないし、自分たちだって普段そうして日々を送っているわけだけど、花を選ぶときにはその時の自分の気持ちを反映させていきたいよね、ということです。わかりやすく例えるならば、絵的におしゃれだからパスタを食べたけど、本当はねぎを山盛りにした家系ラーメンが食べたかったなという時とかあるじゃないですか。逆も然りだけど。別にどっちもおいしいことにかわりはない。だけどパスタを食べたいときにパスタを、家系ラーメンを食べたいときには家系ラーメンを食べられる世界だったら、きっともう少し幸せだろうなと。わたしたちの活動を通して、そんなことが言えたらいいな。

コロナのせいでできなかったこと。いまできること。

活動をはじめるにあたって、当たり前だけどわたしたちは花に特別詳しかったわけでもないし、花の仕入れの経路だったり、方法だったり、とにかく何の知識もなかった。でも花の仕入れに関しては市場であろうということは想像に難くなかったので、とりあえず電話した、世田谷市場に。電話口のおじさまの「見学は自由、予約はいらない」の言葉に「お、とにかく一度行ってみるか」と思ったのだけど、次の瞬間「コロナの影響でいまは見学を自粛してもらっているんです」という切ない言葉をちょうだいした。そのときは4月12日までとのことだったけれど、多分もっと延びるだろう。悲しいけれど、コロナが収束したら真っ先に行くからな。

いまできることについて、考えたときに出てきたのは、花を持って、わたしたちを象徴する写真を撮ろう、ということだった。撮影場所は新宿。ナスの山椒揚げを食べて、わたしたちが花屋をはじめると決めた場所。

わたしたちの役割分担と、これからやりたいことについて。

りえはデザイン、わたしは文章を書くことが好きなので、それぞれやることにしました。この辺は本当にするっと決まった。花屋をどうやるかについては、いろいろ考えた結果、まずはフリマでの出店を目指すことにしました。いつかライブやイベントで、出演者・カメラ・フード・フラワーっていう並びをつくりたい。これはいつかね。

思い立ったが吉日が最悪のタイミングかもしれないけれど、できることはやっていきたいというのがわたしたちの思いです。写真をあげたり、思いを発信したり、夜が明ける前にできることはまだまだきっとたくさんあるはずなので、粘り強くやります。

これからどうぞよろしく。なにか一緒にできることがあったら、ぜひ声かけてください。

そういえば、ふと思い立って保育園の卒園アルバムを見返したら、わたしは将来の夢にがっつり「ケーキ屋」と書いてたけどいいよね?

画像1


この記事が受賞したコンテスト

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?