野球選手のためのテーピング-肩関節-
CI-Baseball育成メンバーの新海 貴史です。
前回のnoteではテーピングの総論について佐藤 康さんに説明していただきました。おさらいとなりますがテーピングは以下のような目的で使用されます。
■怪我の予防
■応急処置
■怪我の再発予防
それぞれの選手の目的・用途に合わせて適切なテーピングを施すことが大切です。
テーピングの総論に関しては下記のnoteをご参照下さい。
今回は野球選手のためのテーピングについての情報を肩関節に絞ってお届けしたいと思います。
一般的に投球動作は以下の5つの相に分けられています。
特に肩関節の怪我や痛みが生じやすい投球相は「Early-cocking~Late-cocking」、「Acceleration」、「Follow-throw」です。
|Early-cocking~Late-cocking
腱板損傷や肩峰下インピンジメント、SLAP損傷が発生しやすくなります。肩関節が外転しながら内旋位から外旋位に切り替わる際に肩関節に疼痛が出現します。SLAP損傷は外転外旋位での上腕骨頭の偏位が要因となって発生します。
|Acceleration
腱板損傷、後方上インピンジメント(PSI)やSLAP損傷などが発生しやすいです。PSIは外転外旋位で発生し、前方関節包の緩み、肩水平外転角度の増大、後方関節包のタイトネスなどが原因として挙げられます。
|Follow-throw
肩峰下インピンジメントや前上方インピンジメント(ASI)が発生しやすくなります。これらは肩関節屈曲位での内旋運動時に関節窩の前上方部への衝突が生じることで惹起されます。
投球障害肩の病態と動作に関しての詳細は下記のnoteをご参照下さい。
それではここから、実際に野球選手に行うテーピングについて説明していきたいと思います。
今回はキネシオロジーテープを使った肩関節へのサポートの方法をご紹介します。
テーピングを事前に採寸し、カットする際は角を丸く切っておくことで剥がれにくくなります。また貼付する際のテンションが強すぎると皮膚への負担が増加するため、0〜10%とかけすぎないことがポイントです。
1.コッキング時に腕が挙上しにくい、痛みがある
①肩関節に対するサポート
コッキング時に腕が上がりにくい選手に対する肩関節へのサポートテープです。
|目的
■肩関節挙上・外転の補助
■棘上筋・三角筋のサポート
|使用するテーピング
・50mmキネシオロジーテープ 2本
|方法
③肩甲骨に対するサポート
コッキング時に腕が上がりにくい選手に対する肩甲骨へのサポートテープです。
|目的
■肩甲骨上方回旋の補助
■僧帽筋上部線維・下部線維のサポート
|使用するテーピング
・50mmキネシオロジーテープ 2本
|方法
2.MERでの痛みに対するテーピング
Late-cocking〜Accelerationにかけての肩関節外旋角度の増大に伴い疼痛が生じている場合に有効なテーピングです。
|目的
■上腕骨頭前方編位の防止
■肩峰下インピンジメントの防止
■肩過外旋の防止
|使用するテーピング
・50mmキネシオロジーテープ 1本
|方法
3.フォロースルーでの痛みに対するテーピング
フォロースルー時に肩に痛みを訴えたり、減速期におけるブレーキングによる肩後方筋群へのストレスを軽減するためのサポートテープです。
|目的
■肩甲上腕関節の伸展・内転・内旋の制動
■棘上筋、外旋筋群のサポート
|使用するテーピング
・50mmキネシオロジーテープ 2本
|方法
以上が野球選手の肩関節に対するテーピング-肩関節-編になります。
テーピングの使用は怪我の予防や再発防止のために有効だと考えます。是非野球現場や臨床の場でご活用下さい。
次回はテーピングの肘関節編になります。次回作も是非お読み下さい。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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