『情報編集力』とは何か
先日、藤原和博氏の講演を聞く機会を得たので、そのエッセンスをご紹介したい。
昨今、AI・ロボット社会の到来で、10年後に今ある半分の仕事がなくなるといわれている。AIでなくなる仕事と、なくならない仕事の境目はどこにあるか?
これは人間が本来やるべき仕事といってもいいかもしれない。
たとえば、駅の仕事について考えてみよう。過去なくなった仕事といえば、切符切りをする駅員である。では、10年後に消えていく仕事は何か?
たとえば、運転士はなくなるだろう。電車は自動運転で制御できるためである。では、車掌はなくなるか?
車掌はなくならないだろう。なぜなら、急患など想定外のことが起きた際、的確な判断力が求められるからである。想定外のことが起こった際に、AIが的確な判断をするというのは、なかなか容易ではない。
『情報編集力』を鍛える
では、AIに代替されない能力を身につけるにはどうしたらよいか?『情報編集力』を鍛えることである。
『情報編集力』と対になった能力に『情報処理力』がある。『情報処理力』は、一般的な暗記勉強や速読、ソロバンなどで磨かれる能力で、「正解」をいかに速く出すかが求められ、「頭の回転の速さ」が身につく。
一方で、『情報編集力』は、正解のない課題に対して、「納得解」を立てることにあり、「アタマの柔らかさ」が求めれる。「納得解」を立てるためには、仮説をたくさん立てて、その中から、皆が納得できる仮説を立てていくことにある。
「納得解」を出すためには、常識というフィルターを外して、自由に発想してみることが大切だ。その際、既知のものと別のものを組み合わせることで新しい発想が得られやすい。
また、自分が考えた「納得解」を、他の人とシェアすることも重要だ。他の人とブレストすることで、自分一人では見つけることができなかった新しい気づきが得られることが多い。
「ナナメの関係」を豊かに!
コミュニケーションでは、タテ、ヨコ以外のナナメの関係を豊かにすることが大事だ。タテは、親子や先生・生徒との関係。ヨコは、友達や同級生、同じ職場の人との関係を指している。
一方で、ナナメの関係というのは、年齢がかけ離れた人、職種の異なる人、国籍の違う人など、自分の世界とは異なる世界にいる人たちと関係を持つことを指している。多様性を受け入れ、自分とは異なった考えを持つ人と関わることで、新しい気づきが得られ、人は成長していく。
建物でもタテ(柱)やヨコ(梁・ハリ)だけでは丈夫にはならない。筋交い(スジカイ)と呼ばれるナナメの柱があってこそ、建物は頑丈な構造となる。
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