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西野亮廣さん『意味変が新しい価値を生む』

「Climbers 2021 (ブレイクスルーを実現した30人による人生の特別講義」の西野亮廣さん(お笑い芸人/絵本作家)『壁にアルバムのものが価値を生む』のアーカイブ映像を視聴しました(5/31の18時まで無料で視聴できます。ご覧になっていない方は是非。https://2021online.climbers-evt.com)

意味変とは

一番印象に残ったのは、価値の変換(意味変)を行うこと。商品をヒットさせるには、『意味変』がとても大切だという。

具体例 シングル盤CD

例として、CDを挙げている。シングル盤CDは1998年に最も売れ、宇多田ヒカルや安室奈美恵などが軒並みミリオンセラーとなった。現在と比較して当時は配信がなかったから売れたのも事実だが、90年代前半のヒットは数十万枚レベルなので、90年代後半は販売数量が大きく伸びた。90年代前半も、ZARDやWANS、チャゲアス、ドリカム、中山美穂などの曲があり、内容的にそれほどの差があるとは思えない。

では、なぜ98年にCDが爆発的に売れたのか?

実は、96年に宇多田ヒカルがデビューしたとき、シングル盤CDのパッケージがそれまで紙と一部プラスチックであったのが、アルバム盤と同様、プラスチックパッケージとなった。そしてプラスチックパッケージのCDを収納するCDラックが売られ始め、ヒット商品となった。当時、CDラックは、おしゃれなグッズとして、所有すること自体がステータスシンボルであった。CDラックは、インテリアとして、レコード店のみならず、家具屋で販売された。

こうしてCDラックが普及し始めると、CDラックの棚にCDを埋めたいという欲求が高まり、CDの購入に向かった。それで一人当たりのCDの所有枚数が一気に高まったことが、CD販売数の急増につながった。

AKB48のCDに付いている握手券やビックリマンチョコのおまけのシールも同じ『意味変』である。CDラックをインテリアに、AKBのCDをファンの握手券に、ビックリマンチョコを小学生が集めるシールに『意味変』して売ったことが、1人当たりの販売数量の増加につながり、ヒット商品に結びつく原動力となった。

『えんとつ町のプペル』

絵本『えんとつ町のプペル』も国内や海外で個展を開き、そこでおみやげとして絵本を配った。つまり、絵本の主要な販売先は書店ではなく、個展であった。

また、表紙をめくると、英語のロゴが入ったおしゃれなデザインが現れ、インテリアとして美容院やカフェにも置くことができた。

また「フィリピンの子供たち3千人に、この絵本をプレゼントしよう」プロジェクトが企画され、クラウドファンディングを募って、絵本をプレゼント(ギフト)に『意味変』した結果、フィリピンの子供たちに絵本を贈りたい人がまとめ買いしたことで、結果的に本の販売数量を短期間を伸ばすことにつながった。

私も、買った商品を他の人に配るギフトに『意味変』することが、これからの時代は必須になるとみている。

ギフトに意味変

これから日本人として向き合わなければならないのは、「今後、貧富の差が激しくなること」。そうなった場合、裕福な人もそうでない人も、一律、商品の価格が同じというビジネスモデルは、いずれツムだろう。

今後は、裕福な人がそうでない人にギフトするという行為が当たり前になっていくかもしれない。そこで支援したいお金を配るためのサービスが増えていくだろう。

「意味のあるもの」

また、商品として売る際には、「役に立つもの」か「意味のあるもの」の2通りの売り方がある。「役に立つもの」は、今やコンビニの陳列を見ても分かるように、一番のものしか必要とされない。究極的にはGAFAとの競争にもつながり、そこでの競争に勝つのは極めて困難である。

一方、「意味のあるもの」は、消費者それぞれが好きなものを選ぶことであり多種多様な選択肢がある。そこでは「特定のあの人が作った商品を買いたい」といったコミュニティが形成されている。

私が考えるのは、岡田斗司夫さんも主張されているように、ネットでは貨幣経済から評価経済に移りつつあること。すなわち、お金より、個人の信頼・評価の方が大事であり、信頼・評価の高い人に、お金や人が自然に集まるということだ。そして、人に与える(ギフト)ことで、信頼関係が構築され、お金も入ってくるということだ。そこでは、意味変するという発想を持つことが欠かせないだろう。

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