「当たり前」を問い直す
はじめに私が専攻する文化人類学は、「奇妙を当然にして、当然を奇妙にする」(ロスリン 2021:212)ことを、その主な目的としている。人類学者は、私たちにとって「異文化」や「奇妙に見える文化」に飛び込みフィールドワークを重ねる。そこから見えてくるのは、「私たちの当たり前」が、いかに相対的であるかだ。「当然だと思い込んでいたものが、実はそうではなかった」、「絶対に理解できないと思っていたが、根っこの部分ではわたしたちと同じ考えだった」など、我々の認識を大きく揺さぶるのが人類学と