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写真で辿る旅行記 vol.13 沖縄 2013年

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#写真で辿る旅行記

ケラマブルーと呼ばれる青い海を持つ沖縄・慶良間諸島は、沖縄本島から船でわずか1時間で行くことができる。アクセスの良さから、本島からのファンダイビングツアーでも人気の場所だ。

社会人になってからの友人4人で行った旅行。出身地も大学も全く違う彼らと出会ったきっかけは小さな偶然の積み重ねだった。オープンマインドで、面白いことを思いついたらまずやってみようという人たちだ。この旅行もいつの間にか企画ができあがり、那覇で現地集合というゆるさで始まった。

目的地は慶良間諸島の阿嘉島。一泊二日の初日は午後から体験ダイビングを予約していた。朝一番のフェリーで本島の泊港から移動する。

甲板に出て海を見ていると1時間はあっという間だ。島に到着したアナウンスが聞こえて、慌てて荷物をまとめて下船した。

だが、慌てて降りた場所が阿嘉島の手前にある座間味島だと気づいて、みんなで青ざめた。午後の体験ダイビングに間に合わせるためには次のフェリーを待っていることはできない。急遽釣り用の小さな船をチャーターして座間味島から阿嘉島まで移動することになった。

一人旅だったら、ただただ焦って心細くなっていただろう。しかしこのときの友人達はトラブルにも動じず、小さな釣り船で島から島に移動するという貴重な体験を逆に楽しんでいた。

そうして着いた阿嘉島は、島時間が流れる静かな島だった。集落は一つしかなくフェリー乗り場もその端にあるため、移動はすべて徒歩。ときおりフェリーと、ダイビング器材などを運ぶ車の音がする以外は、波の音、風の音、虫の鳴き声などの自然が奏でる音と、人の声しか聞こえない。夜になると、民宿などから聞こえる人の声がやけに大きく感じたことを覚えている。

人と人との距離感も近い。大きな自然の中で人が寄り添って暮らしているせいか、開放的な環境がそうさせるのか、ダイビングショップの人も、商店の人も、民宿の人も、初めて会ったのにごく自然と親しみを感じさせてくれる人たちだった。

この島にいると、普段は人と人工物であふれた都会に暮らす自分たちも、そこで無意識に獲得してしまったベールを取り払って、素直に物事に接することができる。自然の中で生きているという忘れていた感覚を教えてくれる。島の不思議な力。

時間がゆっくりと流れていると、たった一泊二日の旅行でも十分に島の滞在を満喫した気分になれる。初日にダイビングが終わって、民宿の屋上のテラスで海を眺めながら飲んだオリオンビールは最高に美味しかった。

阿嘉島の持つ魅力は今でも変わらない。また行きたいと思う。ただ、一緒だった友人たちとの関係は、時間の経過とともに少しずつ変わっていく。だから同じ旅行は二度とない。この旅行記を書きながら、この年齢・この時期はもう戻らないという事実に気付かされ、寂しさを感じた。

写真で辿る旅行記 vol.13 沖縄 2013年

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