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名選手が名監督になるとは限らないってよく聞く話 感想文; 部下を持ったら必ず読む 「任せ方」の教科書 [出口 治明 (著)]

2021年のゴールデンウィークは都市圏に住む人にとってはとても退屈な時間であったかもしれない。一方で、日常の忙しさから離れて回復するには最適な一週間だったのではないだろうか。私はゆっくりと書棚の整理整頓などしながらのんびりしていました。そんなときに、以前にタイの海外駐在時に読んだこちらの本が目に止まりました。

部下を持ったら必ず読む 「任せ方」の教科書
「プレーイング・マネージャー」になってはいけない (ノンフィクション単行本) – 2013/11/22
出口 治明 (著)

★こんな方にお薦め
・新しくマネージャーになられた方
・部署内で一番自分が忙しく働いていると感じているマネージャーの方
・うちの部署は上司がうまく機能していないと感じている中堅・若手の方

ご存じ出口治朗さんの著書です。出口さんはかつてネット保険を立上げられ、2021年現在は立命館アジア太平洋大学の学長をしておられます。
https://www.apu.ac.jp/home/about/content2/

200ページ程ですが、わかりやすいチャートも多く挟んであり、2~3時間でさっと読めるコンパクトな作りです。私が印象に残ったフレーズは以下のようなところです。

多くの部下を持つなら、「部下の仕事を一つひとつ丁寧に見よう」という考え方は捨てるべきです。部下に権限を与えて、仕事を任せるしかありません。「仕事のプロセスには細かく首を突っ込まない」ようにすれば、「10~15人の部下」を管理することも可能になると思います。

私はこれを見てハッとしました。自分がマネージャーとして期待されていることの1つは、そのチームの出来上がった仕事の精度を自分が提供するのと同レベルにすることと勘違いしていたからです。よく考えれば、そもそも10~15人の仕事のプロセスまで首突っ込むなんて無理なんですが、現在は、リモートワークでITツールも揃ってますし、工夫次第でやれると思い込んでいました。完全にプレイングマネージャー脳になっていました。

「協議」とはみんなで話し合う(相談する)ことです。ただし、「みんなで話し合いをする」だけであって、「みんなで決める」ことではありません。まわりの意見は、あくまでも「参考」です。最終的にどの機種を選ぶのかは、決定権者が一人で決定する」のが正しい協議の在り方です。

これも私が勘違いしていたことの1つです。みんなで話し合って会議で決めると勘違いしていました。確かにいろんな方の意見を聴くことは大切ですが、人数が多くなればなるほど、様々な意見が出てきます。それらを足して平均したような意見や判断は何かぼんやりしたものになりがち。しかも時間がかかって非効率的です。予め決定プロセスを示した上で、決めるべき人がスピード感を持って決めることが大切ですね。

的確な指示を出すための4条件:
①「期限」を示す
②「優先順位」を示す
③「目的・背景」を示す
④「レベル」を示す

これは指示を出すうえでも、指示を受けるうえでも明確にしておくべきことですね。先に出てきた仕事のプロセスまで細かく入らない前提では、結果の成功率を高めるために重要なポイントで、②・③・④を強調しているのは指示を受けた側が判断できるように工夫されている点で参考になります。

自分で抱えてしまう人の3つの特徴:
①「人間の能力や使える時間は有限である」ことがわかっていない
②部下の仕事が「60点」では納得できない
③判断のスピードが遅い

これも私が陥っている罠でした。特に②について、マネージャーがいることで、80~90点になるようにフォローアップするべきと勘違いしていました。そうではなくて、チームの誰がやっても60点が取れるようにしていく。それが出来たら65点→70点と全体を上げていく。マネージャーの役割として冒頭に挙げた10~15人診るためにのポイントと一貫しています。

任される側のメリット:
①存在価値が認められ、やる気が出る
②成長する(視野が広がる)
③責任感が身につく

確かに自分の20代を思い出すと、なんで若手の自分にこんなに任せてくれるのだろう、また苦しいのに助けてくれないんだろうと思ったことがありました。結果的に、そこで適度に負荷をかけてもらって足腰が鍛えられた感があります。トラブった案件を全て取り上げられて上司や先輩に解決してもらっていたら、いつまでも1つの仕事を仕上げる力が身につかなかったでしょう。

本書を読み終えて、自分のスタイル変更の必要性を理解できました。仕事の質を上げるために手取り足取り世話を焼くのではなく、多様な人材が活躍できるようにマネジメントに注力する。プレーヤーからマネージャーへ脱皮するために、活躍を引き出すスタイルへ変化しなくてはいけない。
かつての自分が60点の出来栄えで認められて、責任感を持てるような挑戦をさせてもらっていたことに感謝するとともに、これから自分のチームで活躍するプレーヤーを支え、成長を引き出すようになりたい。

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