見出し画像

UXデザイナーにデザインセンスは必要なのか?

すいません、タイトルが意味不明なので説明します。僕自身もそうだったのですが、「UXデザイナーに興味あるけどデザインセンスないんだよね」というのをよく聞きます。僕自身も「デザイナー」って何か特別な能力が求められる気がしていました。

そもそもここで言われている「デザインセンス」とはなんでしょうか?おそらくこの二つだと思います。
   1. アートとしての絵を描くのが上手い
   2. クリエイティブな思考を持っている

おそらく「中高で美術が得意だった」=「デザインセンスがある」といった雰囲気だと思います。今回はこの二つの能力がUXデザイナーにとって必要なのかを考えていきます。


1. UXデザインに必要な絵の技術は誰でも取得できる

僕の周りだけかもしれませんが、UXデザイナーで絵を描くのが苦手な人は多いです。僕も苦手です。少なくともアメリカのUX市場では美大・芸大出身者はあまり見ないです。なのでアートとしての絵の巧さは必要ないのかなと思っています。僕なりの理由を書いてみます。


それぞれのUI要素を描くのは難しくない

画像1

UXに力を入れていることで知られるAirbnbですが、見て分かる通りそれぞれのUI要素は誰でも描けます。文字、ボタン、四角の窓、星印、アイコンなど、一つ一つは練習すれば描けるようになるレベルだと思います。(もちろんそれらの要素を正しく配置するにはトレーニングが必要です...)


直線・丸・三角さえ書ければあとは慣れ

画像2

UXデザイナーは実際にデザインソフトウェアでデザインする前にペンでスケッチします。上のスケッチを見てもらって分かる通り直線・丸・三角さえ書ければあとはそれを組み合わせるだけです。家や人の形もこれらを組み合わせれば割と簡単に描けると思います。

画像3

僕は絵に対して苦手意識があるので簡単な人や図形を描く練習をしていました。上の写真は昔友人に送った絵の練習のSnapchatです笑 こういう風に暇な時間にちょっとした絵を練習するのは効果的だと思います。絵が下手な僕でも慣れてからはなんとかデザインの仕事ができています。


デザインの基本は抑えるようにする

格好よくデザインできる力はUX人材のメインスキルではないですが、デザインの基本は勉強してもいいかなと思います。僕自身はロゴ・アイコン・配色のデザインにはほぼ関わりません。大きい会社に所属している方にとって、これらは会社のアセットの中にすでにあることがほとんどなので自分で0から作ることは少ないです。なので僕はUI要素の配置に関するデザインだけ意識しています。例えば以下の二つのルールは頭に入れています。

1. balance, contrast, repetition, alignment, proximity, white space
「タイトル未設定」にはなっていますが、分かりやすくまとまっているので興味ある人は一度覗いてみてください。

2. hierarchy, grouping, sequence
各UI要素の間の関係にはhierarchy, grouping, sequenceの3種類があります。下のスクリーンでいうと
1. "Review and set a policy"と"Policy setting options"は親子の関係にあるのでHierarchyです。
2. "Dynamic recommendation"とその周りにある要素はまとめてgroupingされます。
3. "Update syncing"からの4項目は箇条書きになっているのsequenceです。
デザインするときは各UI要素の関係が三つのどれなのかは常に意識しています。

画像4


アート力も大事?

画像7

でもやっぱり格好いいデザインの方がユーザーも好きになってくれるというのは真です。なのでアートの能力もあれば+αになると思います。もしアート能力があるならそれを武器として最初から格好よいデザインを作れます。ただ上記で述べたようにアート能力が必要なUIを作る機会はあまりありません。(分野によるとは思いますが...)もしアート能力が現在ないのであれば、必要に応じてチームメンバーに頼りながら他の強みで戦っていけばいいと思います。例えば次の章で書くロジカルシンキングも強みになるかもしれません。


2. クリエイティブよりロジカル

他の人が思いつかないような創造的なデザインを作れる能力がUXデザイナーに必要なのかという議論もあります。ですが、個人的にはロジカルシンキング>クリエイティビティーです。


UXデザインはプロセスをロジカルに繋ぐ仕事

画像5

UXデザイン職の定義は無数にあると思いますが、一つの定義がUXデザインプロセスのステップをロジカルに繋ぐことだと思います。例えば上記のプロセスの中で「問題定義」されたものに対して効果的なアイデアが出なければ意味がありません。ここではクリエイティブなアイデア以上に「問題定義」のステップを正しく認識した「アイデア出し」の方が大事になります。もちろんそれぞれのステップの中でのクリエイティビティーはプラスにはなりますが、より大事なのはステップを繋ぐロジカルシンキングだと思います。


クリエイティビティーよりアイデアの量で闘う

画像6

従来の開発プロセスでは一度デザインが終わったら後はエンジニアリングチームに任せるウォーターフォールモデルだったので一発目で良いデザインを出さなくてはいけませんでした。なので一発目で高い質を出す「クリエイティブセンス」が必要だったかもしれません。

しかし、現代はプロセスの中で複数回テストをしてデザインを改善する機会があります。ゆえに複数デザイン案を何度もテストして最終案に近づけるという「質より量」的な戦い方もできるのです。これを踏まえて、クリエイティビティーよりも早く沢山のデザイン案を出せるスキルの方が大事だと僕は思っています。(もちろん低クオリティーを量産はダメですが...笑)


3. 結論

結論、UXデザイナーにとって「デザインセンス」はそこまで大切な能力ではないと考えています。正直自分があまりデザインスキルを持っていないのでこういう風に思い込んでいるというのもあります笑  UXデザイナーの仕事はユーザーの問題解決であり、見た目を格好よくすることではありません。なのである程度の絵の基本を練習を通じて身に付けたら、それ以降はロジカルシンキング力の方が大事だと思っています。

「デザインセンス」はさほど大事ではないという結論でしたが、僕は「Visual communication」や「Information presentation」といった授業を通じて「デザインセンス」を鍛えました。機会があったらこういった授業を取るのもありだと思います。

「アメリカでUXデザイナーとして働く」という本を書きたいのでぜひサポートお願いします!