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撮影は最後の砦

アニメ制作の中で「撮影」は、「最後の砦」として非常に重要な役割を担っています。
どうして撮影がこんなに大切なのか、そしてその意味は何なのか?
この記事では、アニメ制作の最終段階である「撮影」について、その役割や実際の現場の様子をわかりやすく紹介します。


はじめに

アニメ制作の流れをざっくり見てみると、撮影は制作工程の最後に位置しています。撮影の後には編集が控えていますが、現在のアニメ制作では、撮影前に「コンテ撮」や「ラフ原線撮」といった事前調整が行われることが多いです。そのため、実際には撮影よりも前に一度作業が行われています。
なので基本的には撮影したものが「V編」に差さり直接納品に関わります。
※編集さんで特殊処理をしたりカラコレしたりする場合もあるので全てがこの限りでは無いです。
このあたりは機会があればまた記事にしたいですね。  

V編とは?

撮影の次に行われる「V編」についてもちょっと触れておきましょう。
「V編」とは「ビデオ編集」の略で、アニメの最終チェックと、放送用データの作成を行う工程です。V編では、テロップを入れたり、映像の色味を調整したり、最終的な映像の確認が行われます。

この工程では、放送時に問題が起こらないように最終確認と調整が行われます。例えば、画面の明るさや色の調整、映像に不備がないか、テロップの位置やタイミングを確認するなど、細かなチェックが行われます。V編にかかる時間は作品によって異なり、2時間ほどで終わることもあれば、6時間以上かかることもあります。

「最後の砦」としての撮影

それでは、なぜ撮影が「最後の砦」と呼ばれるのでしょうか?
大原則、撮影が完了しなければ、作品は納品できません。特に、制作スケジュールがギリギリの場合、撮影の完了時間がそのまま納品時間に直結するため、撮影には心身共に大きなプレッシャーがかかります。
たとえば、「24時からV編が始まるけど、まだ撮影素材が100カットも揃っていない」という状況も過去にはありました。
それでも、撮影は質を落とさず、素早く作業を進めることが求められます。撮影は最終的に作品のクオリティを決めるため、時間がどれだけ限られていても、手を抜くことはできません。

別の記事でも述べましたが、撮影の良し悪しで映像のクオリティが大きく変わります。撮影が手を抜けば、その分クオリティが下がってしまいます。
しかし、撮影が頑張れば、たとえ厳しい状況でもクオリティを保つことができます。ですから、撮影が全力を尽くすことで、最後の最後の数時間である程度のクオリティを確保することが出来ます。故に撮影は「最後の砦」と呼ばれるのです。

料理人で例えるとわかりやすい?

撮影ってゼロから生み出すわけじゃないのに、クオリティが変わるの?」と思われるかもしれませんね。そんなときは、撮影の仕事を「料理人」と考えるとわかりやすいです。料理人は食材(ゼロ)から作るわけではありませんが、料理人の腕次第で美味しさが変わりますよね?
撮影も同じなんです。作画さん、仕上げさん、美術さんなど、多くのスタッフが丹精込めて作った「食材」が撮影の手元に届きます。それを「調理」するのが撮影の仕事です。
確かにゼロからの創造はありませんが、撮影の技術でクオリティが変わることは、料理と同じように考えるとわかりやすいと思います。

最高の食材なら、塩だけで美味しいかもしれませんが、すべてが一級品というわけにはいきません。そんなときは、料理人が手間をかけて(下処理や調味料、香辛料を使って)、美味しい料理に仕上げますよね。撮影も質のバラつきがある素材でも、撮影の腕次第でクオリティを上げることができます。
(雑に言えば何でもカレーにすれば美味くなる的な……)

つまり、「V編~最後の砦」を料理に例えるなら、「深夜に急に団体客が来て、100人分の材料を渡され、すぐに仕上げてくれ!」という状況でも、料理人がしっかり仕事をすれば、美味しい料理に仕上げられるということです!故に撮影は「最後の砦」と呼ばれるのです!(2回目)

まとめ

撮影が「最後の砦」と言われる理由は、アニメ制作の最後の工程であり、作品のクオリティを左右する重要な役割を担っているからです。撮影チームの努力と技術が、作品の完成度を大きく左右します。現場でのプレッシャーやチャレンジを乗り越え、クオリティを維持するために全力を尽くす撮影チームはアニメ制作における「最後の砦」なのです。

この記事を通して、アニメーション制作における撮影の重要性と、その現場での努力を少しでも知っていただけたなら幸いです。次回、アニメを視聴するときには、ぜひ撮影の細部にも注目してみてください。それが作品全体をどのように支えているのか、きっと新たな視点で楽しめるはずです。


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