那須湯本温泉逃避行の旅
はじめに
飛び石連休の中日を思い切って休みにして、四連休を作りました。
こういう時は、その中日に旅に出るのが良いのでバスに飛び乗った訳です。
バスタ新宿から那須湯本温泉までは僅か3000円ちょっと。
時間はその分かかりますが、車内で見たかった映画を一本まるまる見て、鑑賞後の疲れをうたた寝で取ることも出来ました。
割れた殺生石
中学・高校の頃、ヘビーメタルにハマっていた時期があり、そのきっかけとなった陰陽座というバンドの、9枚目のアルバム「金剛九尾」。
アルバムの目玉は組曲「九尾」という、三曲続けて1つの作品になっている陰陽座ならではの曲です。
タイトルの通り、九尾の狐の話が歌われていて、まさにこの那須がその舞台となっています。
ということは知らずに那須湯本温泉に来たので、殺生石があることを知って小躍りしました。
令和に入って割れてしまった殺生石…。
割れたことで更に禍々しさが強まった感じがします。
有毒ガスにより、動物はおろか虫まで殺してしまうという強烈な石。
殺生石という名前に負けない強さに思わず手を合わせてしまいました。
"九尾"稲荷神社
そもそも殺生石は、中国、インドから伝来した妖怪"九尾の狐"が化けた姿と言われています。
そして那須湯本温泉には、"九尾"稲荷神社があります。
つまり、ここの人にとっては妖怪ではなく神仏の類であり、私も狐ちゃんにお参りすることにしました。
読めない温泉神社
九尾稲荷神社は温泉神社の境内にあります。
普通に読めば(おんせん神社)
実はこれで(ゆぜん神社)と読むのだそうです。
温泉神社から殺生石〜賽の河原を臨みます。
虹が出ていました。
賽の河原のお地蔵さんたち
行ったり来たりしますが、殺生石の後ろを振り向くと賽の河原が続いています。
物悲しい雰囲気の賽の河原に、輪をかけて悲しさを強めるお地蔵さん達がいました。
このお地蔵さん達は、賽の河原を盛り上げるために建てられた地蔵なんだそうです。
ですが、ススキと相まって、物悲しさがありました。
民宿 田中屋さん
那須湯本温泉の名所を回った後、今回の宿に向かいました。
民宿が立ち並ぶ民宿街があって、私の泊まる田中屋もそこにありました。
インターホンを押すと頭にバンダナを結んだ女将さんが来てくれて、下駄のことや外湯のことを教えてくれました。
そして部屋へ。
素泊まりであることを伝えると、
「この辺は全くご飯屋さんないよ、ハンバーガー屋さんも夜やってないと思うよ」と命の危険を教えて下さり、計らいで夕食と朝食付きのプランに変更してもらいました。
助かった…
旅の目的でもあった鹿の湯へ!と思ったのですが、実はリモートで会議があり、しかもそれが伸びてしまったのでこの日は行けずじまい…(鹿の湯は18:00までなのです)
そうこうしている間に夜ご飯の時間になり、山菜メインの料理に一旦舌鼓を打ちました。
共同浴場めぐり
1湯目 滝の湯
さて、那須湯本温泉には共同浴場が2つあります。鍵がかかっているので地元の方か民宿に泊まった人しか入れません。
まずは田中屋から直ぐ坂を下った所にある滝の湯へ。
木造建屋に木造の浴槽、The共同浴場!といった感じのお風呂で心踊ります。
浴槽はぬるめと熱めの2つあり、どちらも白濁した硫黄泉でした。
洗い場もあって、そちらも源泉。
なので全身硫黄の香りに包まれて、温泉地に来た旅情を感じます。
かなり保温力が強いお風呂で、外は気温3℃くらいなのに服を着ると汗が出ました。
下駄で歩くとふくらはぎが痛かったので宿に戻って履き替え。
2湯目 河原の湯
滝の湯から川沿いに5分ほど下ると、もう1軒の共同浴場河原の湯があります。
女将から場所を聞いてなかったら多分見逃してました。
滝の湯よりもこじんまりとした浴室。
洗い場は無く、ぬるめと熱めのお風呂があるだけ。
でも熱さは滝の湯よりも熱くて好きでした。
熱湯の浴槽が、入口側に向かって傾いていて、平衡感覚がバグります。
外はみぞれが降り始めていました。
もう1回滝の湯
なんとなく2湯で終わるのが惜しくて、ダメ押しで再度入浴。
さっきよりも賑わっていて、特に美空ひばり熱唱おじさんと2人きりになった時はテンション上がりました。
良い湯です。
コンビニも無いし、民宿だから売店も無いし、お酒も無いし本当にすることが無いので、宿に戻ってさっさと寝ました。
鹿の湯へ
さっさと寝た割には朝起きれず、朝ごはんの10分前に起床。
そう言えば「あ、暖房代勿体ないんで大丈夫です」と言ってしまったばっかりに、室内温度は廊下よりも冷えていました。
窓の外を見ると、雪がうっすら積もっていました。
ほんとうにプラン変更してもらって良かったなぁと思う朝ごはんを食べて、女将さんこだわりの珈琲もいただきました。
チェックアウトの際、女将さんから鹿の湯の入り方を教わりました。
かぶり湯は、頭にタオルを掛けて、200〜300回描けるんですよ、と。
タオルかけないと息できなくなるからね、と。
さあ、鹿の湯どんな感じなんでしょう。
まず外観とシチュエーションが素敵すぎて、ワクワクが止まりません。
入浴料の500円を払い、店内へ。
脱衣場とお風呂場は繋がっていて、かぶり湯は入ってすぐの所にありました。
48℃の温泉を柄杓で200回掬っては掛け、掬っては掛けする訳です。
はじめ柄杓の存在に気づかず、手元にあった桶で被ってたので腕がパンパンになりました。
浴槽は6段階に温度が異なっていて、私は42℃→44℃→46℃→48℃に浸かりました。
腰→胸→肩までの順に1分ずつ入るという入浴方法で、しっかり温もります。
周りを見ても48℃に入ってる人はおらず、それもそのはずで、上がった時の足の色は真っ赤を通り越して赤みがかった紫になってました。
めちゃくちゃ良い泉質で、上がってから数時間経っても温もりが持続しています。
これは凄い。
忙しない旅でしたが、那須湯本温泉はこれで終わりです。
湯治場ということもあり、本当は何日か滞在したかったのですが、それはまた今度ということで。
ありがとうございました。
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