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朝イカ

「ちっこいけど、けるよ」
浜言葉を訳せば、小さいが、あげるから持っていけ、と

早朝、函館山の麓の漁港
漁から戻ってきたばかりの舟の生簀から
漁師のおかみさんが
イカをどっさりポリ袋に入れてくれた
そのポリ袋のなかでキュキュと鳴き、ドンドンと暴れた

イカ釣りいざ出陣                           2005

とつぜん現れた朝イカにびっくり顔の女房が
小さくて皮をむくのが面倒だわ
とつぶやきながら、刺身にさばいた

あめ色にすきとおりこりこり感がたまらない
しょうが、うす醤油、ほかほかの白いご飯をおともに
しあわせの一言につきた

街なか イカの生干し               2000

6月初めのイカ漁の解禁後しばらくは
姿は小さく身の厚みもうすい
そのあと大きく厚く育つ

イカ刺しの旬は、7月なかごろまで
魚は小ぶりがおいしい、大柄ほど大味とは
勝手な思いだが

松前冲あたりにいるイカの群れは
やがて津軽海峡のまんなかに移ってくる

漁火                              2018

海峡が漁火で輝くころ
イカやイワシを追って、本マグロがやって来る

旬の味わいも変わりゆく


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