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気のいいケーキ屋さん

うーん、これ絶品、エクセレント、三つ星、しあわせ。こんな美味いものが、世にあるのか。パリはシャンゼリゼ⼤通りのカフェで出会ったタルトタタン。

 ポットごと添えられた⽣クリームをどんどんタルトのうえに流して⼝に運ぶと、 熱々の林檎に冷たい⽣クリームがぶつかり、そこへパリパリのパイ⽪が分け⼊ってくる。⾆のうえで、熱さと冷たさ、酸っぱさと⽢さがひびきあい、タルトタタンのシンフォニーが⾼らかに鳴りわたった。

チッチョ・パスティッチョ

 パティシエ⼤桐幸介。北イタリア・ミラノで修⾏し、今は函館で菓⼦作り30年あまり。イタリア菓⼦店「チッチョ・パスティッチョ」を切り盛りしている。帰国のとき、ふる⾥で店を持つと告げると、同僚が、“気のいいケーキ屋さん”を意味するイタリア語の店名をプレゼントしてくれた。

たった⼀台のタルトタタン                             2019

秋、紅葉のころになると、函館近郊・七飯の林檎・紅⽟をつかったタルトタタンに挑戦してもらっている。こちらのためにだけ、歓喜の思いをいだかせる⼀台を焼いてくれるのだ。これぞ、豊かさの極みなり。

ティシエ⼤桐幸介



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